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国民年金を払っていない人は60% 未納を続けた人の末路

  • 2023.5.30

将来の年金制度への不信感から、国民年金の保険料を払わないという選択を取る人がいます。しかし、払えるだけの収入があるのに未納のままにしていると、将来の年金がもらえないだけでなく、最悪財産を差し押さえられることにもなりかねません。年金未納を続けるとどうなるのか、実際のエピソードも交えながら紹介します。

■年金を払っていない人、実はこんなに?

厚生労働省の発表によると年金の納付率は年々上昇しています。これは単純に年々督促が厳しくなっていると考えると自然でしょう。納付率は上昇しているといっても、2017年の納付率は66.3%であり、33.7%が未納です。また、同年の世代別の納付率を見ると55~59歳の世代は76.28%が年金を納付しているのに対し、25~29歳の世代は54.87%しか年金を納付していません。

若い世代は、年金に対しての実感が湧きにくいうえ、年々受給額が引き下げられている現状では納付したい気持ちが薄れてしまう面があることは否めないでしょう。

さらに、これにはカラクリがあるのです。年金の納付は、国民の義務として定められていますが、「法定免除者」「申請全額免除者」「学生納付特例者」「納付猶予者」は納付を免除されています。また、彼らの免除期間は納付率の計算式には組み入れられません。

このようなカラクリがあるため、実質的な納付率は約40%といわれています。つまり、実質的な未納率は約60%にも上るのです。

■年金を払わないと何が起こるの?

では、年金を払わないとどんなことが起こるのでしょう?個人にとってはおもに下記の3つのことが起こりえると考えられます。

・将来もらえる年金が減る
・障害年金が受け取れくなる
・財産が差し押さえられる

■国民年金の保険料を未納のまま放置…夫婦の末路

脱サラして自分で開業したKさんを例に、年金未納を続けるとどうなるのかをご紹介します。

Kさんは36歳の時に会社を辞め、妻と2人で飲食店をはじめました。会社で働いていた時は給料から厚生年金の保険料が天引きされていましたが、退職と同時に国民年金への切り替えが必要です。しかし、開店直後で資金が乏しいことに加え、例えきちんと保険料を払っていても、将来もらえる年金は自分が払った額より少なくなるかもという不安があります。

以前、国民年金の保険料を払わない人が問題になっているとニュースで言っていたのを思い出し、未納者がそれだけいるなら自分も払わないでおこうと、手続きをしないまま放っておきました。

開業直後は経営が苦しかったものの、飲食店は半年ほどで利益が出るようになりました。その後2年と半年ほどは国民年金のことは忘れていましたが、ある日、日本年金機構から催促状が届くようになります。見ると未納分の保険料の合計30万円以上を払うようにと書いています。大きな出費ですが、この時点で支払いを行っていればまだ最悪の事態は逃れることができたはずです。

放置を続けていたKさんの元には、催促状、最終催促状、督促状と次第に強い文面の書面が届くようになったほか、電話がかかってきたり、時には家まで訪問に来たりするようになりました。

頑なに保険料納付を拒んでいたKさん、ついに銀行口座を差し押さえられてしまいます。年金を払っていないだけなのに、銀行口座が使えなくなるなんてあるのか疑問に思う人もいるかも知れませんが、日本年金機構が発表した「アニュアルレポート2018」によると、2018年度には督促状が送られた8万1,597件のうち、1万7,977件で実際に財産が差し押さえられています。

凍結されたのが事業用に使っている口座だったKさんは急いで年金を払いに行きますが、そこでKさんの奥さんの分も払うように言われます。Kさんが会社員を辞めた段階で奥さんも3号被保険者を外れており、国民年金の保険料を支払う必要があったのです。

Kさんの滞納分は延滞金が加わり、40万円に膨らんでいます。Kさんの妻の分も合わせると80万円です。自分の分は払うから口座の凍結を解除して欲しいと頼みましたが、受け入れてもらえません。というのも、督促状には「財産の差し押さえは滞納者だけでなく連帯納付義務者(滞納者の世帯主や配偶者)にもおよぶ」とはっきりと書かれてあるからです。

結局Kさんは合計80万円近くの保険料を払いましたが、口座が使えるまでに1週間ほどかかり、いくつかの取引先にも迷惑をかけてしまいました。

■保険料納付が無理なら免除や猶予を利用しよう

会社員の時は公的年金の保険料を自分で払っているという意識が低いため、自営業になると月々の保険料が負担に感じ、また将来の年金制度への不信感から保険料を払わない人もいます。しかし、国民年金の保険料の納付は国民の義務なので、払わずにいるといずれ差し押さえなど最悪の事態を招きます。保険料納付が難しければ、免除制度や猶予制度を利用できる場合もありますので、早めに年金事務所に相談に行くようにしましょう。

文・fuelle編集部

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