役所広司、カンヌ主演男優賞に輝く！カンヌ最終日の大階段

2023.5.28

カンヌ大階段12日目。カンヌ国際映画祭のクロージングセレモニーに多くのスターたちが駆けつけた。フランス人監督ジュステーヌ・トリエが『Anatomy of a Fall』でパルムドールを受賞し、最終日の夜は更けていった。

1039b534a1a2d0e6f4381f9931f5fb54edcb040b376f30a7ffffdd29f2494884.jpg — ラファエル・ペルソナズ、役所広司、ブシュロンのジュエリーを身につけたアナイス・ドゥムスティエ、ヴィム・ヴェンダース監督、ル・フィッシュ・デュ・シネマ編集長のニコラ・マルカデ（カンヌ、2023年5月27日）

第76回カンヌ国際映画祭が幕を閉じた。5月27日、オフィシャルセレクションに参加した監督や俳優たちが、パレ・デ・フェスティバルの24段の大階段を上り、クロージングセレモニーに臨んだ。リューベン・オルストンドを審査委員長とする審査員団が、パルムドールを含む7つの賞を授与する時がやってきたのだ。

最終日の大階段を最初に上ったのは、元スパイスガールのジェリ・ハリウェルとオーランド・ブルームら映画『グランツーリスモ』のチーム。5月26日に映画『怪物』でクィアパルムを受賞した是枝裕和監督も女優の安藤サクラと一緒にレッドカーペットを歩いた。

続いて登場したのは、『Anatomy of a Fall』でコンペティションに参加したフランスの映画監督ジュスティーヌ・トリエ。主演のアントワーヌ・レナルツ、サンドラ・ヒュラー、パートナーで共同脚本家のアルチュール・アラリらチームのメンバーと腕を組んでやって来た。その1時間後、ジュスティーヌ・トリエは究極の栄誉であるパルムドールを手にした。本作は、不審死を遂げた夫サミュエルの殺害を疑われる妻サンドラの裁判の行方を、視覚障がいがある息子ダニエル（11歳）らの視点から描くサスペンス映画だ。

踊るドゥニ・メノーシェ

フランスの俳優ブノワ・マジメルは、パレのはずれでサインに応えた後、妻のマルゴット・ペルティエとともにカンヌの大階段を上っていった。2001年には『ピアニスト』でカンヌ主演男優賞を史上最年少で受賞する快挙を成し遂げ、22年と23年にはセザール賞を受賞した俳優は、『La Passion de Dodin Bouffant』で男優賞を狙っていた。本年の男優賞はヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』に主演した役所広司の手に渡り、マジメルは受賞を逃したものの、フランス系ベトナム人監督トラン・アン・ユンから賞賛を受けた。

レッドカーペットに審査委員長のリューベン・オルストンドが現れると、現場は和やかな雰囲気に包まれた。そしてオルストンド監督が見守る中、ドゥニ・メノーシェ率いる一部の審査員は『逆転のトライアングル』風のちょっとしたダンスを披露。大階段上では、ジュリア・デュクルノー監督、オスカー女優のブリー・ラーソン、マリヤム・トゥザニ監督が幸せそうにハグを交わし、グラン・テアトル・リュミエールへと向かった。

クエンティン・タランティーノとロジャー・コーマン

15日間の映画祭は、フランスのジュスティーヌ・トリエ監督がパルムドールを受賞して幕を閉じた。本年は、レオナルド・ディカプリオ、マヤ・ホーク、ナタリー・ポートマン、ロバート・デ・ニーロ、ジュード・ロウ、マーティン・スコセッシ、ハリソン・フォードなどのハリウッドの華々しいスターたちもカンヌのレッドカーペットを訪れた。5月27日夜には、審査員賞のプレゼンターとして招かれた俳優のオーランド・ブルームの姿もあった。

クロワゼットの常連であるクエンティン・タランティーノ監督も、妻でイスラエル人歌手のダニエラ・ピックと腕を組んで登場した。タランティーノは、アメリカ人監督ロジャー・コーマン（『忍者と悪女』『フランケンシュタイン／禁断の時空』）とともに、グランプリのプレゼンターという大役を担った。女優のエヴァ・ロンゴリアや「ゲーム・オブ・スローンズ」のニコライ・コスター＝ワルドーなど、多くのセレブたちもクロージングセレモニーに集った。

パレ・デ・フェスティバルに最後に登場したのは、アニメーション映画『マイ・エレメント』のフランス語版で声を担当するアデル・エグザルコプロスとヴァンサン・ラコスト。擬人化された水、土、火、風という元素たちが友情を育むという、軽快でありながら哲学的なストーリーが、美しいセレモニーの締めくくりに選ばれた。