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「病気ではないこと=健康」ではない! 名医が教える「本当の健康」

  • 2023.5.27
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2000年にWHO(世界保健機関)が〝健康寿命〟を提唱して以来、「健康的に生活できる期間を、どのようにして延ばすか」に関心が高まってきている。多くの人が持つ「病気に悩まされず、健康なまま長生きして、ピンピンコロリで一生をまっとうしたい」という願いを実現するために必要なこととは――?

2023年5月25日に発売された自律神経研究の第一人者・小林弘幸さんの新著『自律神経を守る60歳からの正解』(マガジンハウス)は、「健康寿命」を延ばすための正しい生活習慣について解説している。

健康長寿のカギは「自律神経のバランス」に

現在、日本人全体で、平均寿命と健康寿命の差は約10年ある。小林さんによると、この差を少しでも減らし、自分自身や家族に負担をかけない生き方をするために必要なのは、「自律神経を整える」ことなのだという。

多くの人は、「病気ではないこと」をそのままイコールで「健康である」と考えがちだ。その場合、病気にかかっていなくとも、調子が悪くても、体が重く感じても「病気ではないから、健康」ということになる。だが本書によると、この状態は「本当の健康」とは呼べないものだ。

病気ではないのに体調が悪い場合、その原因は「自律神経の乱れ」にある可能性が高い。自律神経は、私たちの生命活動の根幹を支える重要なシステムで、感情と密接な関係があり、ふだんの行動やちょっとしたコミュニケーションによって簡単に乱れてしまう。

悩みごとやストレスがあると、主に活動・興奮モードをつかさどる自律神経である「交感神経」の働きが高まる。交感神経の働きが過剰に高まると、血管が収縮し血流が悪くなる。すると、細胞が傷つき内臓の働きが落ちて、疲れやすくなり、血栓もできやすくなり、「心筋梗塞」や「脳梗塞」のリスクも高まる。

また、自律神経と密接な関わりがある「肺」や「腸」は、老化による自律神経の働きの低下とともに機能を衰えさせていく。特に60歳を過ぎると、人によってそれらの良し悪しの差がおおきくなってくる。さらに、リラックス・休息モードをつかさどる「副交感神経」の働きは、男性は30代、女性は40代から10年で約15パーセントずつ低下していく。

このような自律神経の乱れや老化は病気ではない。しかし、「健康長寿」の大敵なのだ。

「整える習慣」が健康長寿をつくる

ストレスによる自律神経の乱れと、加齢による自律神経の老化。この二つの障害を乗り越えて「本当の健康」をつくるためには、自律神経のバランスを整える「呼吸法」や「腸活」が効果的だという。

たとえば、朝は陽の光を浴びて深呼吸をすること。そうすると体内時計がリセットされる。コップ1杯の水を飲んで、腸の「ぜん動運動」を活発にさせること、しっかり朝食をとることも大切だ。朝に慌ただしくして自律神経を乱さないよう、ゆっくり身支度することも重要なポイントだとされる。座ってばかりいないで立つこと、なるべくエスカレーターなどを使わず階段を使うことなどを習慣にするだけで、毎日の生活は格段に変わるという。

60代になっても、70代になっても、80代になっても......いくつになっても遅いということはない。しっかりした土台の上に家を建てるように、しっかりした体をつくり、安定した心を築くのに役立つ1冊だ。

【目次】

■小林弘幸さんプロフィール
こばやし・ひろゆき/順天堂大学医学部教授。1960年埼玉県生まれ。順天堂大学大学院医学研究科修了後、ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。自律神経研究の第一人者としてプロスポーツ選手、アスリート、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に携わる。著書、『医者が考案した「長生きみそ汁」』 (アスコム)、『整える習慣』(日経BP)、『腸の名医に教わる「やせるみそ汁」』(田中ひろみ共著/マガジンハウス)など多数。

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