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「いつまでに包まないといけないか、知ってる? 」不祝儀のNG&OKマナーを《プロが解説》

  • 2023.6.30

結婚式などの慶事では「ご祝儀」を渡す一方で、お葬式などの弔事では「不祝儀」をお渡ししますよね。しかし、みなさんは不祝儀について、どれぐらい知識を持っているでしょうか?

そこで今回は、株式会社メモリアルアートの大野屋の杉山奈緒さんに取材をさせていただきました。いざという時に備えて、不祝儀についてしっかり知識をつけておきましょう。

不祝儀と香典って違うの?

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出典:Alpaca7/Shutterstock.com

--不祝儀と同じように、弔事では香典を渡しますよね。この2つは違うものなのでしょうか?

杉山さん:いえ、基本的には特に違いがあるわけではありません。

--あ、そうだったんですね。

杉山さん:詳しくお伝えすると、不祝儀とは「祝儀でないこと」。つまり、葬儀全般に関連することを指します。香典と同じ意味もありますし、「お葬式」という言葉を避けて不祝儀と言うケースもあります。

--なるほど。複数ある不祝儀の意味の1つとして、香典と同じものがあるんですね。

杉山さん:そして香典とは、そもそも亡くなった方に供える「お香」の代金という意味。昔はお香そのものを持参していたのですが、遺族が用意するようになったため、その代金として現金を包んで持参し、お供えするようになりました。

不祝儀袋の選び方は?

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出典:Alpaca7/Shutterstock.com

--不祝儀を入れる「不祝儀袋」について、選び方の決まりなどはございますか?

杉山さん:ありますよ。不祝儀袋にも格があり、包む金額に応じて選びます。包む金額が少なければシンプルなもの5万円以上なら立派な水引のものを選びましょう。なお、関西では黄白の水引の不祝儀袋を使うことも多いです。

--金額だけでなく、地域によっても違いがあるんですね。

不祝儀袋の書き方は?

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出典:show999/Shutterstock.com

--不祝儀袋を用意できたら、外袋や中袋に表書きや名前などを書きますよね。書き方に決まりはあるのでしょうか?

杉山さん:まず、書くためのペンについて。不祝儀袋に書く際は、薄墨のペンを使います。これは、「急な不幸で涙で墨が薄くなってしまいました」ということを表すためといわれています(法事ではこの限りではありません)。

--ペンにも決まりがあったとは…。

杉山さん:驚きましたか?なお、中袋に書く金額や住所氏名については濃い墨のペンでかまいません。また、不祝儀袋の表の書き方(表書き)は、相手の宗教やお渡しするタイミングによって異なります。

--詳しくお聞きしてもよろしいでしょうか?

杉山さん:もちろん。仏式の場合、通夜・葬儀を含め四十九日を迎えるまでは「御霊前」、四十九日法要以降は「御仏前」を使います。
神式やキリスト教式でも葬儀の際は「御霊前」が使えます。それ以降は神式の場合「御玉串料」「御榊料」「御神前」、キリスト教式の場合「御花料」などを使います。

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出典:nishio/Shutterstock.com

--不祝儀袋を用意する際は、ご遺族にあらかじめ確認をとっておいた方がよさそうですね。

杉山さん:表書きの下には、自分の名前をフルネームで記入します。香典は家単位で包むという慣習のため、夫婦で参列する場合は代表として夫の名前を書くか、わかりにくい場合は夫婦連名で書いてもかまいません。

--家族ではなく、友人や知人と一緒に香典を用意した場合はどうしたらよいでしょうか?

杉山さん:友人などと連名で出す場合は、2~3名ならフルネームで連名にし、4人以上であれば代表者の名前の左側に「他一同」と書きます。その場合は別紙に全員の名前を書いて、お金と一緒に中袋に入れましょう。

--人数によって、書き方に違いが生じるんですね。

杉山さん:さて、中袋には表に金額、裏面に住所と名前を書きます。お札を入れる向きは、特に決まりはありませんが、裏向き(肖像画が書かれている面(表)が、中袋の裏面になるように)で入れる方が多いです。

不祝儀袋の金額の相場は?

--不祝儀袋の選び方、書き方の次は、中に包む金額の相場について教えていただけますでしょうか?

杉山さん:金額は、故人との関係性や地域の慣習などにより異なります。
一般的な相場としては、

・自分の両親・・・5万~10万円
・兄弟姉妹・その配偶者・・・3万~5万円
・祖父母・・・1万~3万円
・叔父・叔母・いとこ・甥・姪・・・1万~3万円
・嫁の実家・娘の嫁ぎ先・・・3万~5万円(先方の両親の場合)、1万~3万円(先方の祖父母の場合)
・近所の方・・・3000円~1万円(町内会の決まりがあるようならそれに従う)
・会社関係・・・5000円~1万円
・友人の親・・・5000円

になるでしょう。グループで包む場合は、2000円×人数が目安ですが、グループ内で相談して決めましょう。

不祝儀袋はいつまでに渡すべき?

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出典:beauty-box/Shutterstock.com

--詳しく教えていただきありがとうございました。最後に、不祝儀袋はいつまでに包んでお渡しするべきなのか伺ってもよろしいでしょうか?

杉山さん:お通夜や告別式に参列する場合は、受付で香典をお渡しします。お通夜と告別式両方に参列する場合、先に参列するお通夜のほうで出すことが多いです。

--なるほど。それでは、お通夜や告別式に参列できなかった場合はどうすればよいでしょうか?

杉山さん:参列できなかった場合や、後日訃報を知った場合は、あまり間をあけず、できれば四十九日までにお渡ししましょう。訃報を知ったのが四十九日以降だった場合は、なるべく早くお渡しすれば結構です。

--できるだけ早めにお渡しした方がいいんですね。

杉山さん:なお、直接手渡しができない場合は、現金書留で送ります。その際は、不祝儀袋と一緒に、お悔やみの言葉を書いた手紙を書留封筒に入れると丁寧です。

決まりをしっかり覚えておこう

不祝儀袋の選び方や書き方、中に包む金額やいつまでにお渡しするべきかなど、様々な決まりがありましたね。杉山さんの詳しいアドバイスを参考に、この機会にしっかり覚えておきましょう。

 

※記事内の画像はイメージです。

取材したのは…

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取材:株式会社メモリアルアートの大野屋
杉山奈緒
2016年メモリアルアートの大野屋に入社。年間2万6千件を超えるお葬式、お墓、手元供養、無料仏事相談・お問合せを承ってきた「大野屋テレホンセンター」で仏事アドバイザーを務める。お墓ディレクター2級、仏事コーディネーターの専門資格を保有。豊富な知識と落ち着いた語り口でお客様に寄り添った回答が強み。『みんなの記事監修』でも葬儀・お墓・仏壇・終活・仏事マナーの専門家として活躍中。

テキスト・編集:TRILLニュース