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言わずとしれた名作から「怪作」まで!野球ライターが本気で選んだ“おすすめ野球マンガ”5選

  • 2023.6.27
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出典:Adam Vilimek/Shutterstock.com

 

日本が世界に誇る文化、「MANGA=漫画」。その中でも王道コンテンツの一つが「野球マンガ」で、世代を問わず人気を博しています。

そこで今回は、誰もが知る“名作”からちょっと変化球な“怪作”まで、長年野球ライターを務めてきた筆者のオススメ野球マンガをご紹介します。

WBCの盛り上がりなどを目の当たりにして今年から野球に興味を持ち始めた、というTRILL読者の方にもピッタリの野球観戦が楽しくなること間違いない作品揃いなのでぜひチェックしてみてください。

■『BUNGO-ブンゴ-』

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『BUNGO-ブンゴ-』
著者:二宮裕次

集英社/週刊ヤングジャンプ/2014年~連載中
既刊35巻

野球マンガと言えば「高校野球」がもっともポピュラーかつ王道ですが、本作の舞台は中学野球。幼少期から自宅で壁当てに熱中していた主人公・石浜文吾が地元の強豪チーム静央シニアに入団し、その才能を覚醒させていく成長ストーリーです。

チームメイトであり、世代最強打者でもある野田幸雄や、中学日本一を争う全国の強豪チームのライバルなど魅力的なキャラクターも見どころ。ですが、ただの「青春野球マンガ」ではなく、名門高校による有望中学球児の争奪戦といった“意外と知らない”中学野球の現実もしっかりと描いています。

また、本作の白眉はその試合描写。作者である二宮裕次先生による綿密な取材をもとに、「ピッチトンネル」「投手の回転軸」「最新の変化球」など、野球界で起きている最新情報が要所に散りばめられています。

■『ONE OUTS』

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『ONE OUTS』
著者:甲斐谷 忍

集英社/ビジネスジャンプ/1998~2009年連載
全20巻

主人公・渡久地東亜は沖縄の“賭け野球”、ワンナウトで無敗を誇るピッチャー。王道の野球マンガの主人公のような剛速球や鋭い変化球は持たず、120キロ程度の平凡なボールしか投げられないのに、常人離れした読心術と駆け引きだけでバッターを抑え込みます。

そんな渡久地がひょんなことからプロ野球の弱小球団「埼京彩珠リカオンズ」に入団。球団オーナーの彩川はチームを高値で売却するために黒字幅を大きくすることだけ考え、チームの強化は二の次。そんな彩川に渡久地は「1アウト500万円、1失点マイナス5000万円」というプロ野球では禁止されている「完全出来高」の契約を提示します。

明らかに雇い主側に有利なこの契約を彩川は了承しますが、蓋を開けてみると渡久地は並みいるプロ野球選手を次々と抑え込み、気づけば年俸は数十億という天文学的数字に……そこで、彩川がとる掟やぶりの妨害工作とは……?

いわゆる“野球マンガ”とは違い、細かな心理戦やヒリヒリした駆け引きが満載の“大人が楽しめる”一作です。

■『TOMORROW』

『TOMORROW』
著者:次原隆二
集英社/月刊少年ジャンプ/1996年連載
全1巻

時代は1990年代。当時、オリックス・ブルーウェーブに所属したイチロー選手が日本でバリバリ活躍しているころのお話。

そんなイチローの前に現れた千葉ロッテマリーンズ所属のアンダースロー剛速球投手トモロー・ベルトリという謎のピッチャーの正体は、なんとイチローの孫!?未来からやってきたイチローの孫と、現実世界のスーパースター・イチローが相対するというなかなのトンデモ設定。

なぜトモローは未来からやってきたのか?時代を超えた祖父VS孫の戦いの行方は……?単行本1巻で完結した幻の怪作です!

■『MAJOR(メジャー)』

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『MAJOR(メジャー)』
著者:満田拓也

小学館/週刊少年サンデー/1994~2010年連載
全78巻

プロ野球選手でもある“おとさん”本田茂治にあこがれ、プロ野球選手を目指す少年・本田吾郎の幼少期からメジャーリーガーとして活躍するまでを描いた壮大な野球マンガ。

多くの野球マンガが主人公の成長を描きながらも、たとえば“甲子園出場”、“プロ野球の世界で優勝”など、どこかで“区切り”をつけて連載を終了するものが大半。ですが本作では、幼稚園児からリトルリーグ入団、高校生、プロ、そして現役晩年までひとりの主人公の成長を最後まで描き切ったまさに“野球版大河ドラマ”。

父の死、度重なるケガといった困難を乗り越え、野球選手として成長していく姿とそのストーリーは、実際に多くのプロ野球選手もファンを公言し、影響を与えたほど魅力にあふれています。

ちなみに、現在は吾郎の息子・大吾を主人公にした『MAJOR 2nd』が連載中。親子二代の壮大な大河ドラマは、今もなお続いています。

■『ドカベン』

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出典:Amazon

『ドカベン』
著者:水島新司

秋田書店/週刊少年チャンピオン/1972~2018年連載
全48巻

最後は、言わずと知れた野球マンガの金字塔・ドカベンです。誰もが名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。「野球マンガの王道」として知られるドカベンですが、実は主人公・山田太郎は連載開始当初、柔道をやっていて単行本5巻までは柔道マンガとして連載された異色の作品でもあります。

その後、明訓高校野球部時代を描いた『ドカベン』『大甲子園』、山田がプロ野球・西武ライオンズに入団してからを描いた『プロ野球編』、新球団・スーパースターズに移籍してからの『スーパースターズ編』『ドリームトーナメント編』まで、実に40年以上、シリーズ累計205巻にわたって連載を続けました。

山田以外にも、岩城正美、殿馬一人、里中智、微笑三太郎、不知火守といった個性豊かなチームメイト&ライバルたちの存在も、作品に彩りを与えています。

また、作中では現実のプロ野球選手が実名で登場。現在では肖像権の問題で難しくなっていますが、作者である水島新司先生の野球界への貢献度の高さから、ドカベンのみ特例で選手・球団の実名掲載が許可されていたという逸話もあります。

本編では後に実際に起こる球界再編騒動などがまるで「未来予想図」のように描かれており、今読み返しても「当時からこんなことを考えていたのか?」と唸ってしまう水島先生の先見の明もまた、見どころの一つです。

名作野球マンガは他にもたくさん!

これ以外にもまだまだ読んでいただきたい「野球マンガ」はたくさんありますが、ここでは押さえておきたい大作から、あまり知られていない隠れた名作まで、5作品ほどご紹介しました。

ここまで多様な切り口で作品を輩出し続ける「野球」というスポーツの偉大さを、改めて感じることができました。



ライター:花田雪(Kiyomu Hanada)

1983年、神奈川県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、2015年に独立。ライター、編集者として年間50人以上のアスリート・著名人にインタビューを行い、野球を中心に大相撲、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、さまざまなジャンルのスポーツ媒体で編集・執筆。著書に『あのプロ野球選手の少年時代』(宝島社)『オリックス・バファローズはいかに強くなったのか』(日本文芸社)がある。

編集:TRILLニュース

※コミックス表紙画像はAmazonより。記事内の画像はイメージを含みます。

※サムネイル画像出典:104000/Shutterstock.com

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