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大谷翔平がふと発した一言に衝撃…数百人以上インタビューをしてきた記者が選ぶ、プロ野球選手の“神対応”エピソード

  • 2023.6.22
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写真:AP/アフロ

みなさんが球場やテレビなどで目にするプロ野球選手は、日々たくさんのメディアから取材を受けています。

今回は編集者・ライターとして年間数十人、これまでのべ数百人をインタビューしてきた筆者の経験の中から、取材時の「神対応」ぶりが特に印象に残っている選手をご紹介します!

■柳田悠岐選手(福岡ソフトバンクホークス)

MVP2回、最高出塁率4回、首位打者2回……数々のタイトルを獲得している日本を代表するバッター・柳田選手。

これまで何度もインタビューさせてもらいましたが、いつも感じるのはグラウンドで見せるスーパースターぶりとは相反した語り口の「フランク」さ。気取るわけでもなく、かしこまるわけでもなく、ほどよい距離感で、ニコニコしながら「○○っすね~」と話をしてくれるので、インタビューがいつもスムーズに進みます。

また、球界屈指のバッターにもかかわらず、対戦相手へのリスペクトを絶対に忘れないのも柳田選手の特徴。「○○投手のあのボールはヤバいっす。打てる気がしない(笑)」「○○選手のバッティングはとにかくすごい。マネできないっす(笑)」とチームメイトだけでなく他球団のライバルもべた褒め。それを聞くたびに、(いや、あなたも十分すぎるくらいすごいんですけど……)と心の中でツッコミを入れています。

■大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンゼルス)

今や世界的なスーパースターとなった大谷選手。最高峰の舞台であるメジャーリーグでも、投打で“神がかり”の活躍を私たちに見せてくれています。

筆者が大谷選手を取材したのは日本ハム時代の2015年と2017年の2度。テレビのインタビューなどを見てもわかるように、彼は柳田選手とは違い、取材の受け答えが「フランク」なタイプというわけではありません。いつも真面目に、真摯に……。

実際の大谷選手はチームメイトとふざけ合ったり、じゃれ合ったりする陽気な選手ですが、メディア対応時にはしっかりとスイッチを入れてくる、という印象があります。ただ、だからと言って決して“塩対応”というわけではありません。こちらの質問に、丁寧に、自分の言葉で返してくれます

特に印象的だったのが自分のプレーについて「たとえばホームランを打ったり、三振を取ったとしても、なぜ打てたのか、なぜ抑えられたのか説明できないようなら、それは本当の意味で打てた、抑えたとは言えないです」と語ってくれたこと。当時20代前半だった大谷選手ですが、プロとしてのあまりの意識の高さに驚いたのをよく憶えています。

■石川慎吾選手(読売ジャイアンツ)

そんな大谷選手を取材したときのことです。本拠地・札幌ドーム(当時)のグラウンドで大谷選手の到着を待っていると、ひとりの選手が声を掛けてきました。

「誰の取材ですか?翔平?あいつ、忙しいでしょ。僕なら時間もありますし、なんでもしゃべりますよ(笑)!」

それが、当時日本ハムでプレーしていた石川選手。

初対面の取材クルーに対して、いきなり満面の笑みで話しかけてくれて、なおかつひと笑い取ってくるコミュ力の高さに衝撃を受けました。チームメイト、ファン、メディア、すべての人に愛されるまさに“人間力”の塊です。

■浅尾拓也選手(中日ドラゴンズ/現コーチ)

現役時代は2011年に中継ぎ投手として史上初のMVPを受賞。球界屈指のイケメンとしても知られる浅尾拓也コーチ。

MVPを受賞した翌年の春季キャンプでのことです。インタビュー予定時間が過ぎてもなかなか部屋に現れない浅尾選手。ただ、そんなことは取材現場ではよくあること。しかし、15分ほど遅れて部屋に入ってきた浅尾選手はいきなり「遅れてしまってスミマセン!」と深々と頭を下げたのです。取材時間に少し遅れただけで、ここまで丁寧に謝罪されたのは、あとにも先にも浅尾選手だけです。

インタビューも丁寧に、真剣に答えてくれて、それだけでも感動モノでしたが、筆者がさらに衝撃を受けたのは取材終了直後のこと。実はこの日、取材後に浅尾選手のサイン会が予定されており、インタビュー中は球団関係者から終始無言のプレッシャーを感じていました。

インタビューが終わり、私が「この後サイン会があると聞きました。遅くなってしまって申し訳ありません」と謝罪すると、浅尾選手は男前すぎる笑顔を見せながら「いえいえ!もともと僕が遅れたので!ファンのみなさんには僕から謝っておくので全然気にしないでください。では失礼します!」と、颯爽と去っていきました。

取材機材を片付け、スタジアムを出ると、目の前には長蛇の列……。その先では浅尾選手がさっき以上の笑顔でファンにサインを書いていました。「いや、良い男すぎるでしょ……」一緒に取材したカメラマンと、そんなことを話しながら現場をあとにしたことを、今でも鮮明に憶えています。

ファンのことを考え懸命にプレーする選手たち

ここで挙げた4人の選手以外にも、「神対応」の選手は大勢います。書ききれずに申し訳ないですが、プロ野球選手たちはみんな、いつもファンのことを考え、懸命にプレーしています。

取材時に見せたちょっとした素顔を知って、より選手たちを好きになっていただければ、こんなにうれしいことはありません。



ライター:花田雪(Kiyomu Hanada)

1983年、神奈川県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、2015年に独立。ライター、編集者として年間50人以上のアスリート・著名人にインタビューを行い、野球を中心に大相撲、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、さまざまなジャンルのスポーツ媒体で編集・執筆。著書に『あのプロ野球選手の少年時代』(宝島社)『オリックス・バファローズはいかに強くなったのか』(日本文芸社)がある。

編集:TRILLニュース

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