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男性は失敗を許されるけど、女性の打席は一度が勝負。職場の不平等を人気女優が語る

  • 2023.5.26

工場の清掃員から副社長にまで上り詰めた実話に基づくサクセスストーリーを描く映画『フレーミングホット!チートス物語』で映画監督デビューを果たしたエヴァ・ロンゴリアが、カンヌ国際映画祭のトークショーに登壇し、ハリウッドにおけるチャンスの不平等さを批判した。エヴァが評価する、最新の評価システム「インクルージョン・リスト」とは?(フロントロウ編集部)

非白人男性は「2倍努力して、2倍速く、2倍安く働く必要がある」

エヴァ・ロンゴリアが、カンヌ国際映画祭のトークショー「ウーマン・イン・モーション・トーク」に登壇。2004年にドラマ『デスパレートな妻たち』のガブリエル役で俳優としてブレイクしたエヴァは、女優を続ける傍ら、2005年には映画やドラマの制作会社UnbeliEVAble Entertainmentを設立。映画『ジョン・ウィック』ではプロデューサーとしてクレジットされたほか、ドラマ『ブラッキッシュ』や『ジェーン・ザ・ヴァージン』では監督も務めている。

そんなエヴァが、新作映画『フレーミングホット!チートス物語(原題:Flamin’ Hot)』で長編映画の監督としてデビュー。チートス Flamin'Hot 激辛チーズ味を生み出し、工場の清掃員から副社長にまで上り詰めたメキシコ系アメリカ人の実話に基づくサクセスストーリーを描く同映画は、米サウス・バイ・サウスウエスト映画祭(SXSW映画祭)で観客賞を受賞。日本ではディズニープラス内のスター」にて6月9日(金)より独占配信される。

女性監督であること、ラテン系監督であること、そして初の長編映画であることを理由に、責任の「重み」を感じたというエヴァは、「自分のコミュニティの重みを感じたし、全ての女性監督の重みを感じた」とコメント。続けて、女性監督は男性監督に比べて失敗したら次はないことが多いことに触れた。

「私たちにはりんごを何度もかじることは許されない」と語ったエヴァは、最後にラテン系の女性監督が手がけた同規模のスタジオ映画が公開されたのは20年ほど前だとして、「もし、この映画が失敗したら、みんな『ああ、ラテン系の物語はうまくいかない…女性監督ではダメだ』と言うでしょう。私たちにはあまり多くの打席は与えられないのです。白人男性ならば、2億ドルの映画を監督して、失敗しても別の作品がまわってくる。それが問題なのです。私たちに許された打席はひとつ。チャンスは一回だけ。(男性の)2倍努力して、2倍速く、2倍安く働く必要があるのです」と続けた。

リドリー・スコット、マイケル・ベイ、ピーター・ジャクソンと、有名監督のキャリアには予算百億円超級の失敗がつきもの。ただSNS上では、エヴァの発言を受けて、2021年版のDC映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』を大失敗に終わらせた後にDCスタジオの共同会長兼CEOに抜擢されたジェームズ・ガンの名前を挙げる人が多いように見受けられる。

“女性の数が2倍になった”は本当か? 新評価システム「Inclusion List」とは

画像: © Eva Longoria/Instagram
© Eva Longoria/Instagram

「ハリウッドが進歩的だというのは幻想です。現実には平等という点ではるかに遅れています」と指摘したエヴァは、ハリウッドが本当に進歩しているかどうかは、それをどのように計るかが重要だと考えているという。

「スタジオやネットワークは、『カメラの後ろにいる女性の数を2倍に増やしました!』と自画自賛していますが、実際は1人から2人になっただけなのです。1人から2人になったのだから、『まあ確かに間違ってはいないけど、まだ2人しか女性を雇っていない』と思いますよね。だから、成功をどう評価するかは本当に重要なんです」

そんなエヴァが多様性を促進する評価方法として賞賛するのが、南カリフォルニア大学でエンターテインメントにおける多様性と包摂を研究するシンクタンクであるAnnenberg Inclusion InitiativeとAdobe Foundationのコラボで5月に発表された、Inclusion List(インクルージョン・リスト)。

画像: © The Inclusion List/Instagram
© The Inclusion List/Instagram

このリストは、インクルージョンに関する独自の評価方法を用いて、どのスタジオや作品がインクルージョンに真剣に取り組み、業界を変える原動力となったかを、一般の人々に分かりやすく伝えることを目的としている。この日のイベントには、リストを作成したチームの中心人物であるステイシー・L・スミスも参加しており、インクルージョン・リストについて、「これは、ジェンダー、人種、民族、LGBTQ+、障害者、65歳以上という複数のカテゴリーにまたがる表現に関して、スクリーン上でうまくやっている人々を報いるため」だと明かし、「語られていない物語を映しているのか?そして、カメラの後ろで働いているのは誰なのか?」といった点に着目したと語った。

エヴァも、「インクルージョンを(成功の)指標とするのはなる素晴らしいですよね。きちんとやっている人たちに拍手を送ることができるので」と評価した。

エヴァが自分の家族に似たラテン系アメリカ人の感動的な物語を作ることにこだわったという『フレーミングホット!チートス物語』は、メキシコ系アメリカ人の両親のもとロサンゼルス東部で育ち、10代半ばで学校を中退したリチャード・モンタニェスが主人公。彼は、食品業界に衝撃を与え、世界的なムーブメントを巻き起こした「チートス Flamin'Hot 激辛チーズ味」を考案し、フリトレー工場の清掃員から副社長にまで上り詰めた。リチャード・モンタニェスの情熱と信念を胸に意志を貫く姿を描く感動の物語は6月9日(金)よりディズニープラスのスターで独占配信。(フロントロウ編集部)

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