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木村拓哉さんインタビュー「時代や人は変わっていくもの。その変化を面白がれたらいい」

  • 2023.5.26

成熟した艶と渋みを備え、周りを包み込みながらも、シャープな野生味も感じさせる。はたまた笑うと無邪気な少年にも還る。変わりゆく時代の中で、変わらない美学を守って進化し続けてきた木村拓哉さんが、今、大切にしているものとは?

木村拓哉 インタビュー
出典元:MAQUIA ONLINE
人を愛し、時代に愛される男

木村拓哉しなやかに進化する美学

どんなことがあっても、波乗りすると心が浄化される

木村さんにとってサーフィンは最愛のライフワーク。20代の頃から芸能活動のみならず、ファッションや私生活の一挙手一投足まで、常に熱烈な注目を浴びてきた。そんな周囲の喧騒に、時折疲れることがあっても「海に行って波に包まれたら、それだけでもうリセットできるんだ」と、かつての木村さんは語っていた。
「それは、今も変わらないなぁ。波は頭も心も洗ってくれる。海はずっと変わらずにそこにあるし、海にいる人たちもそう。仕事とは関係ないところで出会って、変わらずに付き合える人がいるっていうのは、自分の人生にすごく大きなことだなと思っている。だから、海に還りたくなるし、これからも還ると思う」

攻めの姿勢は何歳になっても必要だと思う。大切なのは、攻めのカードを使うタイミング。今は自分のためではなく誰かのために使いたい

年齢や経験を重ねても変わらない思いや美学を持ち続けてきた。けれど、一方では、自身が変化したと感じる部分もあるという。
「警戒心が強かった20代の頃に比べたら、攻撃性は薄れたかなと。以前は、切り札のカードを首からぶら下げて、Tシャツの首元からチラチラ覗かせていたというか。狡いやつや納得のいかないことがあれば、『すぐに出すぞ!』っていう姿勢でいた(笑)。今は違う。そのカードを失ったわけじゃないけれど、もっと奥に隠し持っている感じかなと」
これからもそんな心のカードとともに、攻めの姿勢は失いたくないと木村さん。
「攻めの姿勢は、何歳になっても必要だと思う。ただ、大切なのは、その攻めのカードを使うタイミングだよね。昔は、それを自分を守るために使っていたけど、今はもう自分のためには必要ない。作品だったり、家族だったり、仲間だったり。自分の大切なものが攻撃された時は、すぐにでも切ろうと思うようになったかな」
いつも、そして、これからも木村さんは愛するもののために進化し続ける。

現場では変わらない熱量を持ちながら、変わっていく時代を楽しめたらいい

スペシャルドラマとして好評を博し、続編を待望されていた『教場』シリーズが今年4月、連続ドラマ『風間公親―教場0―』として帰ってきた。木村さんは、新米刑事たちの指導官・風間公親を演じる。
「あんなに厳しい指導をする風間が、今の時代、受け入れられるのかは、少し不安ですけど(笑)。現場の空気はすごく良い感じです。若い頃からご一緒している中江監督やベテランスタッフの方々は、変わらぬ熱を持っていてこちらにも高いクオリティを求めてくるから、現場は日々気持ちの良い緊張感に包まれていて、すごく充実しています」
木村さん自身もデビュー以来、数々の歴史的なヒットドラマに主演しながら、変わらない熱い想いで現場に向き合っている。
「ただ、こちらは変わらなくても、時代は変わるし、受け取り手の意識も変わるものですよね。今はドラマを観る時間も人それぞれだし、観るツールもテレビとは限らない。スマホの人も多いのかなと。小さな画面でどんな風にこのドラマを感じてもらえるのかなぁなんて思ったりはしますけど(笑)」
とはいえ、そんな時代の変化を後ろ向きに捉えているわけではない。
「時代や人の変化を面白がれたら良いですよね。そこは自分がもの作りにかけた思いの熱さとは線を引くというか。時代は時代、他人は他人として受け入れて、自分は自分として、大切なものは変わらずに持ち続けて、前に進めたらなと思います」

『風間公親—教場0—』
出典元:MAQUIA ONLINE

INFORMATION『風間公親—教場0—』2020年、2021年に新春SPドラマとして放送され大好評を博した『教場』シリーズ最新作。木村さん演じる風間公親が教官として警察学校に赴任する以前、新人刑事の教育に“刑事指導官”として当たっていた時代を描く。毎週月曜21時〜フジテレビ系にて放送中。

MAQUIA 6月号
取材・文/芳麗 企画/萩原有紀(MAQUIA)

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