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恋愛を逃げ場にしない。吉本ばななさんの「流儀」とは?

  • 2023.5.26

作家・吉本ばななさんの人生訓をまとめた、『小説家としての生き方 100箇条』(NORTH VILLAGE)が、5月24日に発売された。小説家として、人として、生きる上で大切にしている「流儀」が簡潔なことばで綴られている。

本書はNORTH VILLAGEの編集者、北里洋平さんが吉本さんにインタビューした内容を書籍化したもの。

この年齢になると...

「24時間が仕事で取材」と言うほど、日々、創作活動に全力を注いでいる吉本さん。100箇条には、取材の時に心がけていることなど「仕事の流儀」も多いが、お酒の飲み方や恋愛観など、プライベートで大切にしていることについても率直に書いている。

たとえば、恋愛について。

「恋愛を逃げ場にしない。休息の場にもしない。相手のあることだから。」

この年齢になると、恋愛を休むために利用する人が多い。
恋愛をしていて、「その時間だけが休める時間なんですよ」みたいな話を、この年齢になるとよく聞く。でもそれって、結局自分勝手なことだから、相手に無理させているし、破綻しやすい。(一部抜粋)

吉本さんは現在58歳。自身の体験に基づく実感なのか、豊富な取材経験からの発言なのか、気になるところだ。

さらに、ファッションに関する流儀も。現在、公開中の特別インタビュー動画で、本書の一節が紹介されている。

「時代をよく見る。
変な服を着てもいいが、自分にとってダサい服は着ない。
私の場合は、それは会社員的な服やマダム的な服であるが、そこは人それぞれの好みであろう」(インタビュー動画より)

では、吉本さんにとって「かっこいい服」とはどんな服なのか。また、今のファッションをどう見ているのかと問われると、「少し前の服って、もっと表に向いてた気がする。人に見せるために」と指摘。アメリカのボーカリスト、ビリー・アイリッシュを例に、最近ではファッションもジェンダーが薄れてきていることを「嬉しいこと」と言い、「人に見せるために、自分のことをこう思って欲しいからっていう時代から、自分が満足するためにってなってきたのが、若い人たちを見てて、すごいいいなって思いますね」と好感を示している。

本書ではほかにも、「自分自身の生き方を貫くこと」「ものをつくりながら生きるということ」「人生を色鮮やかに見る方法」「他者との関わりあい方」などが綴られている。

小説家として、母として、女性として、吉本さんがこれまでに何を感じてきたか、その生きざまを垣間見ることができる一冊。

■吉本ばななさんプロフィール
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

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