『あの花』岡田麿里の最新作、MAPPA初オリジナル劇場アニメ『アリスとテレスのまぼろし工場』のスペシャルステージ開催

メインキャストを務めるのは榎木淳弥、上田麗奈、久野美咲

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の脚本家・岡田麿里。監督デビュー作『さよならの朝に約束の花をかざろう』でも高い評価を得た岡田監督の完全オリジナルストーリーで、MAPPA初のオリジナル劇場アニメーション作品となる『アリスとテレスのまぼろし工場』。5月21日に東京ガーデンシアターにて開催されたイベント「MAPPA STAGE 2023」にて、本作のスペシャルステージが行われ、作品に関する最新情報が発表された。

イベント当日は最新情報が発表されるとあって会場に集まった5000人を超える観客たちの期待の眼差しが注がれる中、MCの呼び込みで榎木淳弥、上田麗奈、久野美咲が登場。彼ら3人が本作のメインキャストを務めることが発表された。

併せて、本作が「ある日突然起こった製鉄所の爆発事故により出口を失い、時まで止まってしまった町」を舞台にした物語であることも判明。この世界の住人たちは、いつか元に戻れるように“変化”を禁じられてしまう。

榎木が演じるのは、閉ざされた世界で退屈な毎日を過ごす中学3年生・菊入正宗。榎木は「正宗は14歳で時が止まっているという状態なので、退屈さや変化してはいけないこと思うところがあって、鬱屈したところからスタートしていく。睦実や五実と関わることでどう変化していくのか…ネタバレしそうで本当に怖い…！」と恐る恐る役どころを解説。「めちゃくちゃ濃厚な作品に仕上がっていると思います！」と自信満々に語った。

少し大人びた雰囲気がある同級生の佐上睦実を演じる上田は、「睦実はミステリアスな少女。この町のルール、“心を動かしてはいけない”“変化があってはいけない”という中で人一倍、“動かしてはいけない”と思っているキャラクター。なぜ、そこまでルールを守っているのか？ 本当の気持ちはどこにあるのか？ 探りながら観ていくと、より面白く観ていただけると思う」とキャラの魅力を語った。

謎の少女・五実を演じる久野は、「⾔葉も話せないですし、野⽣の狼みたいな正体不明の…話せる内容が限られていて、何⾔ってもダメな気がする（笑）」と戸惑いながらも、「正宗と睦実が五実と出会ってどう変わるかが重要なポイント」と物語の鍵を握る少女であることを明かした。

続いて、岡田監督ぁらのメッセージが読み上げられ、岡田監督からの質問にキャスト陣が回答するコーナーへ。久野は、生命力の塊である五実と自分に似ているなと思うところがあるかという質問に、「ここ最近は自分の本能というか思いのままというか、衝動的に行動しちゃっている瞬間がある。野性味の強いキャラクターなのでそういった部分で重なるところはあるんじゃないかな？」と回答。

すると榎木も久野に「野性味を感じる」と賛同。「やっぱり飲み屋での姿が…」とアフレコが終わり3人で初めて飲みに行った時に久野がはじけていたことを暴露。3人の仲睦まじいエピソードに会場は和やかな雰囲気に包まれた。

一筋縄ではいかない複雑な少女・睦実役の上田は、他の人には理解してもらえない習慣やクセがあるかと訊かれ、「猫ちゃんが2匹いて、その子たちに行ってきますと挨拶してから家を出るんですけど、『もう一生会えなくなるかも…最後かもしれない…ありがとう！』と心の中で思ってからじゃないと家を出れない」と意外な一面を披露した。

岡田監督は、榎木のオーディションテープを聞いた瞬間に「正宗を見つけた！」と思ったという。榎木はそのテープについて質問され、「オーディションの時もあまり作品の情報がなかったけれども、リアルにやってほしいと言われて。『じゃぁ、自分の好きな世界観を出そう！』と。セリフ聞き取れなくてもいいやってくらいの気持ちでやったら、岡田さんにすごい褒めていただいて。『よっしゃ！受かった！』と思った(笑)」と当時の心境を明かした。

イベント中盤では、最新のティザービジュアルと特報映像がお披露目された。陽の光に手にかざす少女のビジュアルがスクリーンに投影されると、一同「かっこいい!!」と絶賛。特報映像は、葛藤する少年少女たちの切ない表情や泣き叫ぶ少女の声が容赦なく胸に突き刺さる映像となっており、観客も引き込まれた様子だった。

最後に久野は「MAPPA初のオリジナル劇場アニメということで、岡田監督含めて、スタッフさんが命を削りながらこの作品と向き合っているので、1人でも多くの人に観てもらいたい。私も全部ぶつけてアフレコしたので、楽しみにしていただけたら」とアピール。

上田は「本当に恋っていいな、と思わせてくれる作品。大人になるにつれて恋みたいに心が激しく動くことって少なくなっていく。その中でこのキャラクターたちに触れて、こんなにも溢れて止まらないものがあるんだって、改めて恋っていいなぁって。みんなの熱量がフィルムから伝わってくる作品になっている」と作品の魅力を紹介。

そして榎木は「岡田監督が100％こだわり抜いた作品になっている。こんなにアフレコで疲れたのは初めて。それだけエネルギーを秘めた作品になっている。劇場で観たら見終わった後、茫然としてしまうと思う。公開を楽しみにしていただけたら」と期待を込め、大歓声のうちにイベントは幕を閉じた。

『アリスとテレスのまぼろし工場』は9月15日より全国公開。