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餃子を百倍楽しむ、タレで旨味爆発!〜水餃子編〜

  • 2023.5.25
アサリとココナッツのスープ、これはタレという名の宇宙、サワークリームのロシア風

餃子とタレで一皿完結

組み立てた人:原太一(多国籍料理レストラン〈LIKE〉シェフ)

例えばフランス料理が一皿の上で完結するように、イメージしたのは、餃子とタレで一皿完結スタイル。肉の旨味と植物性の旨味をタレが媒介となってつなぎ、旨味をさらに増幅させる。主役はあくまで餃子。主張はしすぎない、けれど一口食べるごとに味わいに変化をもたらしてくれる名脇役が、僕の理想とするタレです。

そこで大切にしたのが酸味、甘味、旨味、香りのバランス。旨味=だしをしっかり効かせることで骨格ができ、味がまとまりやすくなります。4つの組み合わせの中に1つ異質なものを組み入れることで、一見お馴染みと思える味の中に、おや⁉という引っかかりを表現してみました。

アサリとココナッツのスープ:アサリの旨味とココナッツが溶け合う、飲めるタレ

ココナッツオイル、青唐辛子、薄口醬油、アサリのだし
(左上から時計回りに)ココナッツオイル/ココナッツオイルで青唐辛子をさっと炒め、その後にアサリだしを注ぐ。独特の芳香でエスニックにキマる。青唐辛子/ピリリとした刺激と清涼感があるフレッシュな辛味が特徴。ココナッツオイルとの相性も良い。薄口醤油/澄んだスープの色を表現するため薄口をチョイス。普通の醤油より若干塩分が多めなので、少量でOK。アサリのだし/味噌汁の具としてもお馴染み。ひたひたの水で煮出して、滋味深い貝のだしをたっぷり味わいたい。
アサリとココナッツのスープ
アサリとココナッツのスープ/あっさりアサリのだしスープと思いきや、鼻腔を抜けるココナッツオイルが異国情緒をかき立てるエスニック風。青唐辛子のピリ辛で食欲増進。さっぱり鶏肉の餡を合わせ、スープ餃子として味わうのもおすすめ。

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〈LIKE〉シェフ・原太一

原太一(多国籍料理レストラン〈LIKE〉シェフ)

はら・たいち/1981年生まれ。カフェ、フランス料理店、ビストロなどで修業を積み、独立。渋谷〈Bistro Rojiura〉、代々木八幡〈PATH〉、白金台〈LIKE〉のオーナーシェフ。

酸味こそ最高の調味料

組み立てた人:安田翔平(発酵レストラン〈Kabi〉シェフ)

料理のおいしさを構成する要素は多々ありますが、僕はすべての味わいを引き立てる酸味こそ、最大の調味料だと思っています。酸味がないとおいしいと感じないし、酸味がない料理は食べ飽きてしまう。そして一口に酸と言っても、旨味やコクを伴う発酵食品の酸味、ビネガーなどの爽やかな酸味、あとは柑橘や果実のフレッシュな酸味とさまざま。

素材による酸味のバリエーションと強弱で、味わいをコントロールします。今回考えたのは、酸味がテーマのタレ。店で使っている発酵系の調味料はすべて自家製ですが、今回は市販の食材に置き換えて、作りやすい組み合わせで提案します。

これはタレという名の宇宙:
甘味と旨味のレイヤーが、どんどん押し寄せる!

ヒマワリの種、ミカンジュース、ラー油、キクイモ味噌
(左上から時計回りに)ヒマワリの種/自然な甘味の中に感じる、ほんのりとした苦味。ローストして刻んで、ポリポリした食感をアクセントに。ミカンジュース/ミカン果汁の甘味と酸味が味噌の旨味とラー油のつなぎ役となり、タレ全体を甘酸っぱくまとめてくれる。ラー油/唐辛子と山椒が効いたベーシックなもの。今回の組み合わせではハラペーニョのような清涼感が引き立つ。キクイモ味噌/旨味のベースはキクイモと大麦麺で仕込んだ自家製の味噌。市販の味噌と蒸したイモを混ぜてもOK。
これはタレという名の宇宙
これはタレという名の宇宙/こってりした味噌のテクスチャーにヒマワリの種の小気味よい食感、ピリリと引き締まる辛味。すべてを包むミカン果汁の甘酸っぱさがめくるめくレイヤーとなり口の中で乱舞。仕上げの香りづけにハーブオイルもおすすめ。

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〈Kabi〉シェフ・安田翔平

安田翔平(発酵レストラン〈Kabi〉シェフ)

やすだ・しょうへい/1991年生まれ。日本の星付きレストランで経験を積み、デンマークの〈Kadeau〉へ。約1年間シェフを務める。2017年、東京・目黒に〈Kabi〉をオープン。

個性を印象づける、香るタレ

組み立てた人:山田英季(料理家、and recipe主宰)

旨味のもとは、動物性のイノシン酸と植物性のグルタミン酸。タレをたっぷりつけた餃子を一口で頬張ると、口の中で餡の肉汁とタレがどんどん混ざり合い、極上のスープとなって旨味の相乗効果を生みます。餃子にさらなるコクをプラスするか、あるいは肉汁をさっぱり流し込みたいか。市販の餃子でも、タレ一つで味わいの方向性を最終的にコントロールすることができますね。

個性を表現したい時は、香りに注目。近しい香り同士を組み合わせると、それらが奥行きとなってさらに旨味を増しますし、ハーブやナンプラーなど香りの強いものはちょい足しするだけで全体の印象ががらりと変わります。

サワークリームのロシア風:サワークリームとディルで、口中に広がるロシアン

ディル、レモン、サワークリーム、塩
(左上から時計回りに)ディル/サワークリームとレモンの酸味に清涼感を与えてくれる。ディルの香りで、ロシア感がぐっと高まる。レモン/乳酸発酵の酸味と融合することで、柑橘ならではの甘酸っぱさを発揮。まろやかなコクも感じられる。サワークリーム/生クリームを乳酸菌で発酵させた爽やかな酸味とコクを併せ持つ乳製品。餃子にたっぷりのせて味わいたい。塩/味覚の五大要素の一つである塩味。酸味、旨味、甘味、苦味、雑味などを内包し、多彩なポテンシャルを発揮。
サワークリームのロシア風
サワークリームのロシア風/イメージはロシアの餃子ペリメニ。サワークリームのコクと脂分が、溢れ出る餃子の肉汁と融合。それらをレモン果汁がギュギュギュッと包み込み、喉越しは驚くほどさっぱり。ディルの余韻がたまらなく爽やか。

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and recipe主宰・山田英季

山田英季(料理家、and recipe主宰)

やまだ・ひですえ/1982年生まれ。2015年に〈and recipe〉を立ち上げ、「ごはんと、旅は、人をつなぐ。」をテーマにWebコンテンツやレシピ開発、ケータリングなどを展開。

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