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ワイルドライフ・フォトグラファーに必要なスキル6選、若きフィルムメーカー バーティ・グレゴリーに聞いた!【独占】

  • 2023.5.24

ディズニープラスで独占配信中の新番組『バーティのハイテク・アドベンチャー』が話題沸騰中の若きナショナル ジオグラフィック エクスプローラー、バーティ・グレゴリーにフロントロウ編集部が取材。ワイルドライフ・フォトグラファーに必要な6つの要素とは?「最も大切なことはカメラの技術ではない」とバーティは語る。

『バーティのハイテク・アドベンチャー』のバーティ・グレゴリーって誰?

画像1: 『バーティのハイテク・アドベンチャー』 ©2023 Disney
『バーティのハイテク・アドベンチャー』 ©2023 Disney

バーティ・グレゴリーはイギリス出身の29歳のナショナル ジオグラフィック エクスプローラー。10代の時に“ユース・アウトドア・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー”を受賞した後、ワイルドライフ・フォトグラファーであるスティーブ・ウィンターのもとで修業を積み、20代でナショナル ジオグラフィック エクスプローラーに。

2022年にはナショナル ジオグラフィックの新番組『バーティのハイテク・アドベンチャー』がディズニープラスで配信開始。ドローンの操縦や水中ダイビングなどを得意とするバーティが、さまざまなハイテク機材を使いながら、アフリカでライオンやタカを追いかけたり、公海でイルカを探したりしながら、自然界のストーリーを伝える。

画像2: 『バーティのハイテク・アドベンチャー』 ©2023 Disney
『バーティのハイテク・アドベンチャー』 ©2023 Disney

バーティが教える! ワイルドライフ・フォトグラファーに必要な「6つの要素」

両親の影響でサーフィンやセーリングなどのウォータースポーツをしながら育ち、学生時代に動物に興味を持ち、カメラを持って何時間も森や牧場で動物たちを追いかけまわしていたというバーティ・グレゴリー。「野生動物のフォトグラファーになるにはどうしたら良いかと聞かれる時、カメラを使うことに焦点が当たり過ぎていると思います。カメラの技術的な能力も重要ですが…」。そう語る20代の若きナショジオ エクスプローラーが明かした、この職業に必要な6つの要素とは?

画像3: 『バーティのハイテク・アドベンチャー』 ©2023 Disney
『バーティのハイテク・アドベンチャー』 ©2023 Disney

① 動物を「知る」こと

「カメラの技術的な能力も重要ですが、それ以上に重要なのは、動物に関する知識と動物の邪魔をせずに近づく能力です。なぜなら、世界一のカメラ技術者であっても、動物を見つける方法や近づく方法を知らなければ、意味がないからです」とバーティ。

まずは、近所にいる鳥やリスなどに近づいて撮影する練習をしてみて。動物に近づくことはトライアル&エラーで上手くなっていくと言うバーティ自身も、「シカや鳥、ウサギなどを追いかけていた12歳の時につちかったスキルを、大人になった今でも使っていますよ」と語る。

ちなみにバーティは大学では動物学を専攻したという。

② 最も必要とされる精神力は「粘り強さ」

何時間も何日もじっと待って野生動物を撮影できる我慢強さがない? 問題なし、とバーティは言う。「野生動物を撮影するためには我慢強さが必要だとよく言いますが、私は違うと思っています。だって、私はじっとできる我慢強さはないから。でも私は粘り強い。諦めない。野性動物の撮影は1%が撮影で99%が問題解決です。天気が良くならない、動物が見つからない。そこで諦めることは選択肢にあってはいけません。解決策を見つけなくてはいけません。そう思えるマインドが最も重要なのです」。

『バーティのハイテク・アドベンチャー』第5話でも、その粘り強さが試された。コスタリカの沖合でハシナガイルカを探しに出かけたのだが、3週間探し続けてもイルカは見つからない。問題に直面したバーティたちは、マダライルカに遭遇したときに、そこから新たなストーリーを作り上げた。バーティは、「そのストーリーは、より壮大でパワフルなものになったと思います。つまり、順応性と問題解決能力が重要なのです」とその経験を振り返る。

③ ネットワーキング力を高めて、質問をすること

今回の取材前に、20代前半の頃のバーティのツイートを覗いてみたところ、自然動物のフォトグラファーや番組プレゼンターにアドバイスを求めるツイートが多くあった。このフレンドリーなキャラクターが、彼の扉を開いたのだろうか? バーティは「その通り」だと言う。

大学卒業後にワイルドライフ・フォトグラファーのスティーブ・ウィンターのアシスタントとして数年の修業を積んだバーティ。そのきっかけが、野生動物の写真イベントでスティーブに自分から話しかけて色々質問をぶつけたことだという。

「ネットワーキング(人脈作り)は本当に大切だと思います。これは、カメラのスキルよりも、動物への知識よりも重要なことです。この業界は本当に狭いので、非常に小さなチームで遠征し、狭い空間で一緒に生活しながら、困難な状況でも協力し合わなければならない。世界一のカメラマンで、動物を探すのが得意でも、誰からも好かれなければ、誰も一緒に撮影に行ってくれませんからね」。

対人スキルが大事だとそう力説するバーティがイベントで話すときに最も興味をひかれる相手は、知りたがりな人だという。「たくさん質問をしてくる人には感心します。彼らがハングリーである証拠ですから。私が新しいアシスタントを探すとき、知識は大事ではありますが、それ以上によく見ているのは、あなたの態度です。なぜなら、カメラスキルは教えることはできますが、ハングリー精神を教えることは難しいですから」。

④ 言うよりも、聞くよりも、まずはやること

バーティいわく、ワイルドライフイベントで最もがっくりきてしまうのが、アドバイスを求めてきた人がまだ何も撮ったことがない時だという。

「私たちは、誰もがカメラを持っている時代に生きていて、とてもラッキーだと思います。スマホしかなくても心配しないでください。それでいいじゃないですか。一番大切なのは、外に出て、動物たちと一緒に過ごす時間、動物に近づく方法、動物を見つける方法を学ぶことです。もしあなたが都会に住んでいても、いいんです。都会は野生動物にとってあまり良い場所とは言えませんが、都会で活躍する動物もいます。また、もっと自然豊かな場所に住んでいるのなら、外に出て映画を作り始めましょう。配信することもできます。誰もがYouTubeやInstagramにアクセスできる。私たちは素晴らしい時代に生きているのです。外に出て、実際にやってみて、リスクを取って、失敗して、学ぶのです」とアドバイスする。

⑤ たくさん練習すること

最初はフォトグラファーとして活動をはじめたバーティだが、より多くの人に自然界について知ってもらいたいという思いから、『バーティのハイテク・アドベンチャー』でカメラの前にも立っている。

来日イベントでのプレゼンも楽々とこなしているように見えたが、本人いわく、「たくさん練習しました」という。イギリスの動物学者デイビッド・アッテンボローの番組を観て育ったバーティにとって、プレゼンターになることは夢のひとつだったそうで、10代後半から写真のプレゼンをするなどしてたくさん練習を積んで、今に至るそう。

この“練習”を重ねるという行為は写真を撮るときにも重要だそうで、現地で何日間・何週間も“練習”をして失敗を続けるうちに、最高の瞬間を収めることができるという。「ローレン・ギルというスコットランド人のフォトグラファーがいつも『練習すればするほどラッキーになる』と言うのですが、私もその通りだと思っています」。

画像4: 『バーティのハイテク・アドベンチャー』 ©2023 Disney
『バーティのハイテク・アドベンチャー』 ©2023 Disney

⑥ 助成金などツールを利用すること

写真を撮って自信がついてきたら、ナショナル ジオグラフィック協会の助成金制度を利用してみるのも◎。写真家、映画制作者を始め、科学、自然保護、ストーリーテリング、教育、テクノロジーの分野に取り組む個人に資金を提供している。資金提供を受け、一定条件を満たした人は「ナショナル ジオグラフィック エクスプローラー」の称号が与えられる。バーティ自身、スティーブと一緒に働いたあとにナショナル ジオグラフィック協会のヤング・エクスプローラー助成金に応募。それに受かり、バンクーバー島でオオカミの撮影に行ったという。

「ナショナル ジオグラフィック エクスプローラーになると資金を得られるだけではなく、作品やプロジェクトがナショナル ジオグラフィックの番組制作プロデューサーや雑誌の編集者の目に触れることにもなります。ナショナル ジオグラフィックは、初期のキャリアを持つ若きエクスプローラー(探求者)を常に募集しています。ナショナル ジオグラフィックでのネットワークや学びを積極的に支援し、最先端のツール、テクノロジー、トレーニングで力を与え、ストーリーテリングを通じて私たちの影響力と認知度をさらに高めてくれます。そこは良い始まりですね」。

『バーティのハイテク・アドベンチャー』で成し遂げたいこと

ナショナル ジオグラフィックは、より明るく持続可能な未来を目指すグローバル・プロジェクト「Disney Planet Possible(ディズニー・プラネット・ポッシブル)」を進めるディズニー・ファミリー。今年は“地球環境について考える日”アースデイに合わせて、横浜で『アースデイ WITH ナショナル ジオグラフィック OCEANS TOMORROW』というイベントを開催。バーティはこのイベントに出演して、数十年にわたる商業捕鯨のせいで絶滅危惧種になったナガスクジラの大群が少しずつ目撃され始めている件について話し、環境保全によって自然は取り戻せるという可能性を伝えた。

画像: OCEANS TOMORROWでトークを行なうバーティ・グレゴリー。© National Geographic
OCEANS TOMORROWでトークを行なうバーティ・グレゴリー。© National Geographic

このナガスクジラの話は、『バーティのハイテク・アドベンチャー』の第1話で観られるが、この“ポジティブな視点からの環境問題への訴えかけ”こそが、バーティが目指していることだという。

画像: プレスイベントでナガスクジラの復活についてトークするバーティ・グレゴリー。©2023 Disney
プレスイベントでナガスクジラの復活についてトークするバーティ・グレゴリー。©2023 Disney

「あのエピソードは、自然はチャンスさえ与えれば戻ってくるという希望が、環境問題のポジティブなストーリーとして共感を呼んだのだと思います。それが、人々の心に響いたのだと思います。だから、シーズン2でも、保護活動の勝利を祝うというテーマを貫こうとしています。そうすることで、より多くの人々にインスピレーションを与えることができますから」とバーティ。

「テレビはまずはエンターテイメントであり、その次に情報を提供するツールです。それを見失ってはいけないと思います。私たちの業界は長い間、『人々は環境問題の内情を知りたがらない』と言い続けてきました。そんなの嘘だと思っています。みんな知りたいんです。そして、それがポジティブなものであり、うまく語られたものであれば、人々は番組を観て良い気持ちになってくれる。第1話のクジラのエピソードはそのような結果が出せて、素晴らしかったです」と続けた。

バーティの魅力的なトークと革新的なカメラワークで、スリリングな自然の旅に出られる『バーティのハイテク・アドベンチャー』は、シーズン1全5話がディズニープラスで独占配信中。シーズン2も近日発表予定。

(フロントロウ編集部)

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