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実は知られていない?「耐震」「免震」「制振」の違いは?メリット&デメリットを専門家が解説

  • 2023.5.21
「耐震」「免震」「制振」の違いは?
「耐震」「免震」「制振」の違いは?

5月に入り、石川県の能登地方で震度6強を観測する地震が発生したほか、千葉県南部でも震度5強を観測する地震が発生するなど、各地で大きな地震が相次いでいます。これから住宅を購入しようと考えている人の中には、「地震に強いかどうか」を基準に住宅を選ぶ人は多いのではないでしょうか。

ところで、ネット上で住宅情報を検索すると、「耐震住宅」「免震住宅」「制振住宅」といった言葉が登場しますが、これらの住宅は何が違うのでしょうか。それぞれどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の竹内英二さんに聞きました。

構造や使用装置に違い

Q.耐震住宅、免震住宅、制振住宅は、何が違うのでしょうか。

竹内さん「耐震住宅とは、柱や梁(はり)を太くし、壁を厚くすることで地震の激しい揺れに対し、建築物全体の力で対抗する構造の住宅のことです。

一方、免震住宅は、建物の基礎と上部構造の間に免震装置を取り付け、地震の発生時に揺れを吸収して地震エネルギーを建築物に伝えにくくした構造の住宅です。制振住宅は、柱や壁などの接合部に『制振ダンパー』と呼ばれる装置を設置して、地震による建物への加速度や風による揺れを制御し、エネルギーを吸収して揺れを小さくする構造の住宅のことです。

耐震住宅が単に柱などを太くして建物強度を増しているのに対し、免震住宅には免震装置、制振住宅には制振ダンパーといった装置がそれぞれ備わっている点が大きな違いです」

Q.耐震住宅、免震住宅、制振住宅のメリット、デメリットについて、教えてください。

竹内さん「耐震住宅は、一般的にコストが安い点がメリットです。ただし、免震住宅や制振住宅に比べると、地震発生時に地震のエネルギーが直接建物に加わるため、損傷が大きくなる点がデメリットです。

免震住宅は、建物の揺れを抑える効果が大きい点がメリットですが、建築コストが高く、免震装置の定期的な維持費がかかる点がデメリットです。制振住宅は、耐震住宅よりも揺れが少なく、免震住宅よりもコストが安い点がメリットです。ただし、耐震住宅よりもコストが高く、制振ダンパーの維持費がかかる点がデメリットです。建築コストは、耐震住宅、制振住宅、免震住宅の順に高くなります」

Q.では、耐震住宅、免震住宅、制振住宅の中で一番地震に強いのはどの住宅なのでしょうか。

竹内さん「一般的に、耐震性能が一番高いのは免震住宅です。免震住宅は、耐震住宅に比べて、地震時の揺れを3分の1から5分の1に抑えることが可能といわれています。ただし、免震住宅は横の揺れには強いですが、縦の揺れには弱いという特徴があります。

また、規模が大きい地震が発生すると、周期の長いゆっくりとした大きな揺れが生じます。もし地盤が軟弱な土地に建てられた場合、大きな地震が発生すると、かえって揺れが増幅されるため、免震効果を期待できない場合もあります」

Q.耐震住宅、免震住宅、制振住宅を比べた場合、国内で最も多いのはどの住宅なのでしょうか。賃貸向けの物件にも免震住宅や制振住宅はあるのでしょうか。

竹内さん「国内で最も多いのは、建築コストが安い耐震住宅です。耐震住宅とは、1981年6月1日以降に『建築確認申請』を通過した住宅を指します。建築確認申請とは、建築物の安全性などが建築基準法に適合しているかどうかを審査するもので、同年6月から現在の耐震基準に変わりました。

免震構造は、建物周囲の敷地がある程度広くなければならないため、分譲マンションなどの住宅に採用されています。こうした分譲マンションの中には、賃貸用の物件がある場合もあります。

一方、制振構造は建物の周囲の敷地が比較的狭くても建築可能であることから、都市部のオフィスビルに採用されているケースが多いです。また、制振住宅は、一部のハウスメーカーが賃貸用のアパートを提供しています」

オトナンサー編集部

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