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ストレスを軽減するために知っておくべき「ストレスの輪」ってなに?

  • 2023.5.18
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最近ひどくストレスが溜まっているなら、それはあなただけじゃない。イギリスでは、生活費危機の影響を受け、多くの人の心は長い間ストレスや緊張で張り詰めている。市場調査会社「YouGov」と慈善団体「The Mental Health Foundation」によると、イギリス人の74%が、現在対処できないほどのストレスを感じていると答えているそう。

だからこそ、ストレスを軽減するための対処法について真剣に話す時期に来ている。このアドバイスは、誰もがすぐに無料で取り掛かれるものであり、深刻なストレスを感じているときに本当に役立つものばかり。

一卵性の双子で、健康行動学とミュージカルアートの博士号を持つエミリー・ナゴスキー博士とアメリア・ナゴスキー博士は、著書『Burnout: The secret to solving the stress cycle』の中で、次のように話している。私たちはストレスだらけの日常を送っているのに、「ストレスの輪」を完結できていない。このストレスの輪から抜け出すことが、ストレスまみれのケージから自分自身を解き放ち、心のモヤモヤをスッキリ晴らせる鍵になる。イギリス版ウィメンズヘルスから見ていこう。

ストレスの輪とは?

これは、私たちの体が危険に直面してから、もう安全だと確認できるまでのサイクル(輪)のこと。安全だと確認することが、ストレスの輪を完結させるということになる。

では、はるか昔に遡ってイメージしてみよう。私たちの祖先が虎に追われるなどの脅威を乗り越え、なんとか村に逃げ切って生き延びられたとする。

村人たちは、数本の槍を投げて動物を撃ち止めると、みんなで飛び跳ねて大喜び。この瞬間、命懸けで生き延びられた祖先のストレスの輪はキレイに完結する。

現代での例も挙げてみよう。金曜日の夜、コロナウイルスの感染者数が再び増加しているという速報がスマホに届いた。

体内ではコルチゾールとアドレナリンが急上昇し、体は戦うか逃げるかモードに切り替わる。戦うことを選択したあなたの体は、あなたにどこか遠くの安全な場所に逃げるように命じる。もちろん逃げたりしないだろうけれど、スマホで速報を目にした後はパニックに陥り、クッキーを半パック食べ切ってNetflixで気を紛らわせようとする。

これのなにが問題なのだろうか? 実はこれだとストレスの輪が完結していないまま。ここでナゴスキー博士が指摘しているように、ストレスの輪が完結されない日々が毎日のように続いていると、体は慢性的にストレス反応が活性化された状態になってしまう。

これはよくない。血圧が上昇し(=心臓病のリスクが増加する)、ストレス反応によって腸の機能が低下し、すべてのエネルギーを“走ったり戦ったりすること”に費やしてしまうので、消化にも問題を与えることになる。

要するに、ストレスの輪を完結させ、ストレス反応から自分自身を解放させることが、健康でいるためにはとても大切なのだそう。

ここから先は、ナゴスキー姉妹の著書から抜粋した、ストレスの輪を完結させる方法をご紹介。1日に1度はストレスに晒されている人がほとんどなので、次のいずれかの方法に最低1つはコミットしてほしい。複数を24時間起きに実践できればもっと理想的。ではさっそく見ていこう。

ストレスの輪を完結する7つの方法

1. 体を動かす
Women's Health

ランニングでも、ダンスでも、水泳でもなんでもいい。ナゴスキー姉妹は、「バーンアウト(燃え尽き症候群)に打ち勝つにはまずは運動」だと述べている。1日20〜60分を目標に。

2. 呼吸

「ゆっくりと深い呼吸をすると、ストレス反応を減少してくれます。おなかがへこむまで、長くゆっくりと息を吐き切れたらとくに効果的です」とナゴスキー博士。

「では簡単で実用的な呼吸のエクササイズも紹介しますね。5秒数えながらゆっくりと息を吸い、5秒息を止め、10秒数えながら息をゆっくりと吐きます。さらに5秒息を止めましょう。これを3回行います。たった1分15秒の呼吸で気分がどんなふうに変わるか体験してみてください」

なかなか眠れない夜には、「4-7-8」呼吸法を試してみて。

3. 人と話す
Women's Health

「カジュアルでフレンドリーに人と交流すれば、世界が安全な場所であると感じられます」とナゴスキー博士。

「コーヒーを買いに行ったときは、バリスタに『よい1日を!』と一声かけてみてください。同僚の素敵なイヤリングに褒め言葉を贈りましょう。この世界は安全かつ健全な場所であり、みんなが病んでいるわけではないと、脳を安心させてあげましょう」

4. 笑う

「一緒に笑ったり、笑い合った日々を思い出すだけでも、あなたの人間関係に対する満足度は高くなります。ここでの笑うとは、どんな場面でも愛想笑いをしろという意味ではありませんよ。おなかの底から思いっきり笑い転げるのです」

「神経科学者のソフィー・スコットによると、『私たちが笑うときは、社会的な絆を維持し、感情を調節するために哺乳類が発展させてきた古代の進化システムを使っている』そうです」

5. 大好きな人と話す

「同僚とのお喋りでは気持ちが晴れないとき、ストレスが溜まり過ぎて笑う気分にすらなれないときは、愛しい人との深い繋がりが必要です。お互いを好きで尊敬し合い、信頼し合える愛する人から得られることがほとんどです」とナゴスキー博士。

「スキンシップは素晴らしいですが、必ずしもそれが必要というわけではありません。心から安らげる環境でハグをされると、数キロ走ったときと同じくらい、脅威から逃れられた気分を感じられます。ジョギングのように汗をかく必要もありません」

「『6秒キス』という人間関係を研究するジョン・ゴットマンのアドバイスがあります。毎日パートナーに6秒キスするといいそうです」

「1秒のキスを6回ではなく、6秒のキスを1回するということです......。6秒間は、腹立たしく思う相手やあまり好きでない相手とキスするには長過ぎますし、安心感のない相手ではもっと長く感じてしまいますからね」

6. 泣く
Women's Health

「『泣いたってなにも解決しない』と言う人は、ストレスに対処することと、ストレスの原因である状況に対処することとの違いを理解できていません」とナゴスキー博士。

「泣くのを必死にこらえながら、家に入って玄関のドアをバタンと閉めた瞬間、泣き崩れた経験はありませんか?」

「そして鼻をかみ、大きなため息を吐いたら、少し気持ちが軽くなった気がしませんか? ストレスのもとである状況はなにも変わっていないかもしれませんが、泣くという行為で感情を出し切ることで、ストレスの輪を完結できるのです」

7. クリエイティブなことをする

「今日なにかクリエイティブなことに取り組めば、明日はもっと元気で意欲的に楽しく過ごせますよ」

どうして? どうやって? スポーツと同様に、絵画、彫刻、音楽、演劇など、あらゆる形でストーリーを伝えるといった芸術は、大きな感情を容認したり、勇気づけられるような状況を生み出すことができるんです」

水彩絵の具を準備して、新しい趣味を始めるタイミングかも。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text:CLAUDIA CANAVAN AND AMELIA BELL Translation : Yukie Kawabata

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