1. トップ
  2. グルメ
  3. フランスで使い捨て食器が禁止に。広がるリユースの方法とは?

フランスで使い捨て食器が禁止に。広がるリユースの方法とは?

  • 2023.5.18

パリでいま注目の出来事を、パリ支局長の髙田昌枝がリポート。今年1月からフランスでは、大手飲食店で使い捨て食器が使用禁止に。浸透しつつあるリユース食器、いまどきの返却と回収方法とは?

Netflixのオリジナルドラマ「エミリー、パリへ行く」で、マクドナルドでの食事シーンを見た人も多いはず。だが、トレイの上のプラスチック製食器に気付いた人は少ないかもしれない。フランスでは2023年1月1日から、使い捨て食器の使用が大手の飲食店で禁止され、ファストフードチェーンにリユース食器が登場した。20年に議決されたアンチガスピ(反無駄)法ですでにプラスチックのストローやマドラーが禁止されてきたが、リユース食器は、消費者側の意識改革も促す象徴的な措置。エコロジー担当大臣は「この措置で年間18万トンのゴミが回避できる」とツイートした。

230508-hot-from-paris-01.jpg
マクドナルドのイートインに登場したリユース食器。こちらは持ち帰り厳禁!

パンデミックの間にビストロやグランシェフまでもが提案したテイクアウトやデリバリーは、パリジャンのライフスタイルにすっかり定着したが、同時に使い捨て食器の量も大幅に増えたことになる。そんな中で、少しずつだが着実に浸透しつつあるのがリユース容器。昔ながらのデポジット制と違い、いまどきのリユースは2次元コードを活用したデポジット不要のシステム。環境問題には敏感だが多忙なパリジャンにとって、重要なのは返却と回収の利便性なのだ。

テイクアウト時にスマートフォンで食器のコードを読み込み、2週間以内に加盟店のいずれかに返却。返却期限を過ぎると容器の買い取り代金が引き落とされる。トレンド感のある飲食店が集中する、2、9、10、11区を中心に、Bibak、Pyxo、Vytalなど複数のスタートアップ企業がサービスを提案中だ。「加盟店が増えれば容器の返却場所が増えて、いろいろ活用できる。常連客に利用をアピールしている」と言うのは11区のレストラン店主。2区のベトナム料理店でも「ウーバーイーツユーザーにはリユース食器の利用を依頼」と啓蒙に努めている。個人利用ではまだまだ店側がイニシアチブを取る段階とはいえ、すでに社員食堂やイベントでの普及が進み、成長中のリユース業界。昨年Bibakは600万ユーロ、Pyxoは700万ユーロの資金調達を果たしたばかりだ。

長い間、分別とリサイクルの考えが主流だったサーキュラー経済への取り組みだが、考えてみれば、紙もプラスチックもガラスも再生すれば質が低下し、ゴミになる。時代はリサイクルからリユースへ、パリジャンの意識は前進中だ。

230508-hot-from-paris-02.jpg
大手スーパーでコーナー展開するLoop。ヌテラやエビアンなど、おなじみの品をリユース瓶で。

Loophttps://exploreloop.com

Bibakは、一部のスーパーに返却専用ボックスを設置し、利便性を狙う。アプリのマップでサービス加盟店がわかる。 

Bibakwww.bibak.fr

230508-hot-from-paris-05.jpg
リユース容器には必ず2次元コードが付く。購入時は利用者が、返却時は店側がスキャンして管理する。カフェのテイクアウト用カップなど容器のタイプはさまざま。

Pyxowww.pyxo.fr

230508-hot-from-paris-06.jpg
流行りのポケボウルをはじめ、サラダやラザニアもボウルでテイクアウトできる。

Vytalhttps://en.vytal.org

*「フィガロジャポン」2023年6月号より抜粋

元記事で読む
の記事をもっとみる