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「ドラックス・プロジェクト(Drax Project)」エド・シーランもハマる中毒性抜群のポップバンドを深掘り

  • 2023.5.16
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2019年にシングル「Woke Up Late」が日本のSpotifyのバイラルチャート3位を獲得したニュージーランドの4人組「ドラックス・プロジェクト(Drax Project)」。エド・シーランやショーン・メンデスもハマる、中毒性の高いポップソングを作る彼らが新曲「Atmosphere(アトモスフィア)」で正式に日本デビュー。ニューアルバムに向けて始動したドラックス・プロジェクトを深掘りする。

ドラックス・プロジェクト/Drax Project
最新シングル「Atmosphere」
発売中
https://avex.lnk.to/atmospherePR

【結成秘話】ジャズ学校に通う音楽少年たちが、10代の楽しみで始めたバンド

ジャズ学校に通っていた当時16歳のシャーンとマットが、遊びでバスキング(路上パフォーマンス)を開始。そこに当時18歳のサムがベースとして加わり、約1年後にギターのベンが参加し、4ピースバンドとなった。

画像: 左から、ベン(G)、シャーン(V)、マット(D)、サム(B)。
左から、ベン(G)、シャーン(V)、マット(D)、サム(B)。

シャーン:当時はオリジナルソングを作るバンドになるつもりはなく、ただ楽しもうって感じで始めたことだったんです。

マット:うん、10代の楽しみだね。日中は大学でジャズを習い、夜には路上で4~6時間もポップスを演奏していた。マックルモア、ジャスティン・ティンバーレイク、テイラー・スウィフト、ブルーノ・マーズ、ドクター・ドレー…ラジオのヒットソングをカバーしまくりました。バスキングをしながら、どのような音楽が人々を興奮させるのか、どのようなパフォーマンスが人々を楽しませるのかを学んでいたのです。

シャーン:ジャズ音楽を学んでいた私たちにとってはとても興味深い経験でしたね。ジャズは非常に複雑な音楽です。だから、よりシンプルなハーモニーのポップ音楽を演奏できたことは、ジャズの世界から抜け出し、音楽は複雑である必要はないんだと思える良い経験でした。良い音がすればいい、シンプルであってもいい。音楽を勉強しているミュージシャンにとって、両方の視点を持つことは良いことだったと思います。

サム:ウェリントンにはバスキング文化はありますが、楽器を持ってポップソングを演奏するバンドはこの2人が始めるまでは全然いなかったんです。バスキングはパフォーマンスのあり方を教えてくれました。ジャズ音楽では音楽を演奏することが主ですが、ポップミュージックや現代の音楽はパフォーマンスが大きな部分を占めています。これは、ジャズスクールではあまり学ばなかったことでした。

マット:観客の目を見るところから違うね。

シャーン:そう(笑)。視線ひとつだけで違う。ジャズスクールでは、じっと座って目を閉じて複雑な音楽を演奏しますが、バスキングではそんなことできないですからね。

^ ライブではバスキング時代にカバーしていたポップソングのカバーでも盛り上がる!

【本格始動】最初はオリジナルソング作りに苦戦、「Cold」で風向きが少し変わる

大学最後の年にオリジナルソングを作ることにしたものの、最初はなかなか上手くサウンドが見つからなかった4人。それぞれの音楽的な個性やバスキングでの経験を活かし、少しずつオリジナルのサウンドを見つけていったという。そして、終わった恋について歌った2016年の「Cold」で10万再生を達成する。

シャーン:ドラックス・プロジェクトのサウンドを見つけるのは、とても長く難しい作業でした。ジャズスクールあがりの複雑な音楽理論や考えがまだ残っていて、親しみやすいポップソングを作りたくても、両者をどうブレンドしていいか分からなかったんです。

ベン:バスキングからはじめて、パブやクラブなどでの演奏に移行したのですが、最初はオリジナル曲が1、2曲しかなく、カバー曲を20曲とかやっていた。しかし、カバーした曲や、自分たちがその曲に加えたアレンジがインスピレーションになって、それが曲作りに反映されていき、次第にカバー曲とオリジナル曲のバランスが変わっていったのです。

サム:そう、だから僕らの音楽には、どこかにジャスティン・ティンバーレイクらしさがあったりするんです。大学時代にEPをリリースしたのですがラジオでは流してもらえず、僕たちにとって初めてラジオでプレイしてもらえた曲は、2016年の「Cold」でした。

ベン:これは、バンドとして初めてバンドメンバー以外の人とコラボした曲でもありました。ニュージーランドのプロデューサーに参加してもらったんです。

マット:初めてストリーミングで10万再生が達成できた曲でもありました。よく覚えています。当時ペンキ屋のアルバイトをしていたのですが、家の壁を塗っていたら「Cold」がかかって、DJが『今の曲最高だ!もう一回流す』と言って2回連続で流したんです。あの時、ニュージーランドで曲が知れてきていることを実感しましたね。

ベン:僕も当時ペンキ屋のアルバイトをしていました。あとはベビーシッターと、皿洗い。

サム:僕はジェラート屋で働いていて、その後、スキルアップしてユースセンターで働いていた。

マット:「Cold」をリリースした後も、アルバイトを辞めて音楽に専念できるようになるまで2年かかったんです。

【代表曲が誕生】「Woke Up Late」が大ヒット、エド・シーランらとの出会いを作る

メンバーたちがアルバイトを辞めて音楽活動に専念できるようになった曲が、2017年の「Woke Up Late」。ただこの曲、ある人に言われるまでデモフォルダーに座ったままだったそう。

シャーン:ベンの家で集まった時に、僕が家に財布を忘れたんです。歌詞の“pockets empty wallet gone(ポケットは空で財布はない)”はそこからきています。僕らの歌詞の多くは、実際の出来事を誇張した、魔法のようなリテリングだと思ってください

マット:まずは音楽を作って歌詞を考えることが多いですね。歌詞はメロディの上から適当に口ずさんで考えていく。

シャーン:僕らはミュージシャンなので、歌詞を考えるのはいつもチャレンジなんです(笑)。

サム:この曲は、当時一緒に曲作りをしていたニュージーランドのsix60というバンドに聴かせたら、『本当にいい曲だからこれに力を注ぐべきだ』と言われたんです。それで曲を完成させ、リリースした。

シャーン:six60には非常に感謝しています。彼らは、作曲のプロセスを考えすぎないことを教えてくれました。さらに、寛大にも、『Catching Feelings』という曲にも参加してくれて、ヒットに貢献してくれました。

^ 好きな相手への思いを膨らませる「Catching Feelings ft. SIX60」はニュージーランドのシングルチャート3位を獲得。

「Woke Up Late」はショーン・メンデスからもラジオ番組で「サビが大好き」と絶賛され、ヘイリー・スタインフェルドがフィーチャリングしたバージョンは日本でもSpotifyのバイラルチャート入り。そしてこの曲がきっかけで、エド・シーラン、クリスティーナ・アギレラ、カミラ・カベロ、ロードなどのトップアーティストたちのオープニングを務めることとなった。

シャーン:「Woke Up Late」の発売から3~4ヵ月経った頃に、エド・シーランのオープニングアクトを3日間務めました。僕らが曲をパフォーマンスするとみんなが歌い返してくれて、インスタグラムでは新しいフォロワーの通知が鳴りやまなかった。その時点でニュージーランドのラジオではこの曲が頻繁にプレイされていたのですが、初めて、みんなの中で曲と僕らが繋がった。そして幸運にも、エドと30分ほど話す機会がもらえて、ビジネスの話や技術的な話をたくさんさせてもらいました。彼はとても寛大な人で、私たちはエド・シーランにたくさんの恩があります

画像: エド・シーランの÷ツアーのオークランド公演でオープニングアクトを務めたドラックス・プロジェクト。
エド・シーランの÷ツアーのオークランド公演でオープニングアクトを務めたドラックス・プロジェクト。
画像: ショーン・メンデスはニュージーランドのラジオ出演中にドラックス・プロジェクトの曲を聴いて「大好き」と言って曲を書き留めていた。
ショーン・メンデスはニュージーランドのラジオ出演中にドラックス・プロジェクトの曲を聴いて「大好き」と言って曲を書き留めていた。
画像: クリスティーナ・アギレラのThe X Tourでもオープニングアクトに抜擢された。
クリスティーナ・アギレラのThe X Tourでもオープニングアクトに抜擢された。

【最新曲】エンパワソング「Atmosphere」で日本デビュー! ニューアルバムで新境地へ

4月21日に発売された新曲「Atmosphere(アトモスフィア)」は、日本デビューシングルにして来るニューアルバムからの一曲目。人生に打ちのめされたときに、自分の可能性に気づき、自分を奮い立たせるエンパワソングである本作は2019年に制作したものだが、コロナを経験後、世界共通で共感できる応援歌へと昇華した。

サム:この曲は2019年にLAで作ったのですが、(コロナを経験した)今、新たな意味合いを持つようになりました。僕たち自身、少しのあいだ閉じこもっていて、自分たちのやりたいことができなかった。そしてようやく動けるようになり、今は生まれ変わった気持ちです。この曲はその状況を体現する形になっていて、とてもクールな意味合いを持つようになりました。

シャーン:「Atmosphere」のミュージックビデオの撮影もとても楽しかったです。4日間かけて撮影して、ここまで大がかりなMVは初めてでした。僕らにとってバンド史上最高の曲であり、バンド史上最高のミュージックビデオだと思っています。

サム:あまり飾らず、気楽にいこうよという僕ららしさが出ていると思います。

マット:映像全体を通して、とても明るく鮮やかで、青空が広がっています。これは、私たちのこれからの方向性に合っている気がします。私たちは角を曲がり、新しく、明るい、エキサイティングな経験をする準備ができているのです。

ベン:この曲は新しいアルバムの1曲目です。これまでは、シングルをいくつか出したあとにEPやアルバムを出すまでに時間がかかっていましたが、今作はすべてフレッシュな曲でお届けします。

シャーン:前作より確実にレベルアップしているように感じます。より成熟していますし、本物のように感じる。どう表現したらいいか分からないですが、メンバーみんなで本当に満足しています。

サム:私たち自身、プロダクション面でスキルアップしましたから、前は誰かに考えを伝えて形にしていた部分が、今は自分でできるようになっている。新作ではプロダクションのほぼすべてを自分たちでこなしていて、自分たちらしさが出ている気がします。

【大流行】ブラインド・ビート・チャレンジがTikTokでバズ! その裏話とは?

ドラックス・プロジェクトのことは、TikTokのブラインド・ビート・チャレンジ(Blind Beat Challenge)で知ったという人もいるのでは? これは、ほかのメンバーが何をやっているか分からない状態で各自10分ずつ自分のパートを録音して、それを全部混ぜて曲を作るというもの。2022年にTikTokにアップしたところ1,000万回以上視聴されるビッグバズに!

マット:3年くらい前に、レーベルからTikTokをやるように言われたんです。SNSでつねに自分たちをさらすのは僕たちの性に合わないのであまり気乗りしなかったのが、渋々始めたわけです。

サム:僕ららしくできる方法を探しましたね。ブラインド・ビート・チャレンジはベンのアイディアで、もともとは作曲の訓練として思いついたものでしたが、マットが撮影してTikTokにあげてみようということになり、実現しました。

マット:チャレンジを撮影して、編集して、アップしたんです。その2日後くらいにZoomでバンドミーティングがあったのですが、その時にTikTokをのぞいたら、48時間で200万回くらい再生されていることに気づいたんです。『おい、みんな。これ見た?』って言って、そこから雪だるま式に増えていき、1つの動画で1,400万回再生されるまでになりました。その時、私たちはTikTokで”ニッチな何か”を見つけたんだと思いました。よく言いますよね、自分だからできるユニークなことを見つけよと。僕たちは音楽が大好きなので、それが音楽だったことに喜びを感じています。

シャーン:僕としては、1,400万回も再生されたのに、なんで僕らが今まで作ったなかで史上最悪の曲でなの!?って感じでした(笑)。

マット:そう(笑)。見てくれた人は、曲作りのプロセスが好きなようでしたね。そして幸運なことに、TikTokが「このビデオ、いいね。実際にリリースしてみない?」と言ってくれて、了承すると2週間で作るよう言われたので、2週間スタジオにこもって5曲を完成させました。もう6曲をボーナストラックみたいな感じで加えて、それを『Blind Beat』としてリリースしたのです。

【日本秘話】じつは日本と縁が深い! 日本に短期滞在していたメンバーも

まだバンドとして来日は実現していないが、ヴォーカルのシャーンは高校時代に日本に短期滞在していた経験があり、ほかにも、親が日本に住んでいたというメンバーも!

シャーン:僕は高校時代に日本語を勉強していて、日本にも短期で行きました。僕の高校は東京に姉妹校があったので、僕の高校にも日本人の生徒が多くいて、僕も16歳の時に東京に行きました。大阪や直島も訪れましたよ。東京でホームステイさせてくれた家族とは今でもフェイスブックで繋がっています。日本に行ったらぜひまた会いに行きたいですね。今は日本語を話す相手がいないから日本にまた行きたいと思っています。もっと日本語を話して、もっとうまくなりたい。今は自己紹介して少し挨拶が出来る程度ですが…。

サム:謙遜しているよ。彼、もっと話せますよ。

マット:うん、もっと話せるよ。僕は日本の車文化に魅了されているんです。最近、残念なことに手放してしまったのですが、1990年のトヨタMR2という車を持っていました。昔の『ワイルド・スピード』に出てきたような日本の車文化にすごく興味がある。日本に行って実際に見てみたいです。

ベン:僕はそちらの食文化を楽しみたいですね。じつは、両親が昔日本に住んでいたんですが、日本については良い話ばかり聞いています

サム:僕は沖縄に興味があります。素晴らしい文化とダイビングスポットがあると聞きました。

マット:日本でライブをして、みんなが僕たちの曲を歌ってくれたら嬉しい。

シャーン:それはなんてクレイジーな経験なんだ! アーティストとして、自分の曲をみんなが歌ってくれるのを見るのは最高の気分のひとつです。最高ですよ。

中毒性抜群で“一緒に歌えるポップバンド”として人気を博すドラックス・プロジェクト。彼らのライブでシンガロンできるように、今のうちに楽曲を予習しておきたい。新曲「Atmosphere」は配信中。

ドラックス・プロジェクト/Drax Project
最新シングル「Atmosphere」
発売中
https://avex.lnk.to/atmospherePR

(フロントロウ編集部)

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