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『おらおらでひとりいぐも』から6年 若竹千佐子第2作は『かっかどるどるどぅ』

  • 2023.5.16

2023年5月25日、作家・若竹千佐子さんの新作『かっかどるどるどぅ』(河出書房新社)が発売される。

若竹さんは、2017年に前著『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社)で第54回文藝賞を受賞し、デビュー(史上最高齢受賞)。55歳から8年間をかけ執筆した同作は、主人公の独特なひとり語りを中心に展開される内容が話題を呼び、第158回芥川賞を受賞し(史上2番目の高齢受賞)、68万部のベストセラーとなった。

第2作となる『かっかどるどるどぅ』は、仕事や介護、家族やお金など、様々な問題を抱え孤立して生きざるを得ない、60代から20代までの登場人物たちが、いかに「共に生きていく」ことができるのかを描いた群像劇。「戦うっていいよね。何も、刀もって槍もってというわけじゃないよ。戦うって言葉の気魄が好きなんだ」――ひとり一人の人間性を軽んじるような社会に抗う姿が、東北弁をはじめ、豊かな文体を駆使して活写されている。

『かっかどるどるどぅ』内容紹介

女優になる夢を捨てきれず、つましい暮らしを送る60代後半の悦子。夫を亡くし、舅姑の介護に明け暮れ、気づけば68歳になっていた芳江。大学院を出たものの就職氷河期に重なり、非正規雇用の職を転々とする30代の理恵。そして、自死まで思いつめ河川敷に座り込む20代の保――。

それぞれに、ままならない不安な毎日を送る4人は、引きつけられるように古いアパートの一室を訪れるようになる。そこでは片倉吉野という不思議な女性が、訪れる人たちに食事をふるまっていた――。孤立し、寄る辺なく生きるすべての人を強く励ます、感動の群像劇。

本書の舞台「萬葉通り商店街」をめぐる人々

里見悦子(さとみ・えつこ)
女優になる夢を捨てきれず、つましい暮らしを送る60代後半の女性。アパートの立ち退きが迫る。
平芳江(たいら・よしえ)
舅姑の介護に明け暮れ、自分をもたぬまま気づけば68歳。路上で見かけた悦子に思わず声をかけ、自らの人生が動き出す。
田口理恵(たぐち・りえ)
大学院を出たものの就職氷河期に重なり、非正規雇用の職を転々とする30代の女性。出来心からスーパーで財布を盗んでしまう。
木村保(きむら・たもつ)
生きることに不器用で、自死を考える20代の男性。河川敷で「困ったらここに行け」と見知らぬ人から紙切れをわたされる。
片倉吉野(かたくら・よしの)
古いアパートの一室を開放し、食事をふるまう。

著者メッセージ

■若竹千佐子さんプロフィール
わかたけ・ちさこ/1954年、岩手県遠野市生まれ。岩手大学教育学部卒。主婦業の傍ら、幼いころからの「作家になる」という夢を持ちつづけ、55歳で小説講座に通いはじめる。8年をかけて『おらおらでひとりいぐも』を執筆、2017年、河出書房新社主催の文藝賞を史上最年長となる63歳で受賞しデビュー。翌2018年、同作で芥川賞を受賞。『おらおらでひとりいぐも』は世界10ヵ国超で翻訳されている。2022年、ドイツ語版『Jeder geht für sich allein』(ユルゲン・シュタルフ訳)で独の著名な文学賞、リベラトゥール賞を受賞。

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