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学歴も肩書も平凡だが転職無双…なぜか書類審査を全通過する人が「職務経歴書」に書いていること

  • 2023.5.15

学歴や肩書が平凡でも“転職に強い人”は何が違うのか。業務改善コンサルティングを行う岡田充弘さんは「私はクライアント企業が採用を行う際に書類選考の第三者評価を依頼されることがあります。最近ではエージェントが気の利いたフォーマットを用意するのでどれも見栄えはいいのですが、NG判定せざるを得ない人とそうでない人とでは書いている中身が全く違います」という――。

採用面接
※写真はイメージです
転職市場が熱い

コロナ禍で多くの人の身辺に動きがありました。私のまわりでも経営者の退任やビジネスパーソンの転職が相次ぎました。

転職エージェント大手のリクルートエージェントの2022年度上半期 中途採用動向調査によると、実に81.0%の企業が中途採用計画に対して未充足と感じているようで、飲食店や小売店など業種によっては一時期休業せざるを得なかった状況がまるで夢だったかと思うくらい急激な人不足に陥っています。

実際に転職市場は再び活況な様相を見せ始めているのですが、転職者は一体なぜ今このタイミングで動き出したのでしょうか。おそらくコロナの影響で業界や会社に不安を感じてしまった人もいるでしょうし、コロナに関係なく元から会社や仕事に不満を持っていた人、コロナ禍に突入する前から次の転職機会を探っていた人など、理由は人それぞれといったところでしょう。

私の印象では、コロナが直接の原因というよりも、それはあくまできっかけに過ぎず、問題は元々存在していて、コロナがその出現を早めてしまっただけのような気がします。

外資系コンサルに「ピカピカの肩書無し」で入ってくる人々

転職を試みようとする人の中には、当然ながら転職がうまくいく人、うまくいかない人が出てきます。その差は一体どこからくるものなのでしょうか。

見栄えのする学歴や職歴、資格などのいわゆる肩書があれば、転職に有利に働くに違いないと思う人もいるでしょう。業界や業種で例外はありますが、一般的に肩書に頼れる転職は20代まで、それも2回までと考えておいた方が無難です。

ちなみに私自身の転職活動は2回、サラリーマン最後の会社はマーサージャパンという組織人事の戦略コンサルティング会社に勤務していたため、世の中の人の動きに関する情報は比較的入ってきやすい環境にいました。また自社が外資コンサルという流動性の高い業界に位置していたため、転職して入ってくる人も、転職して去っていく人も、実際にたくさん見てきました。

転職を成功させた方の中には、もちろん学歴や資格などの肩書がピカピカの人もいるのですが、そうでない方も多数おられました。むしろ中途入社では後者の方が多かったくらいです。

例えば、学歴で言えば偏差値ランキング中位の地方のマイナー大学や専門学校の方はザラにいます。

資格で言えば、事務職ではTOEIC500(受験者の上位約66.9%)以下、簿記3級(合格率50%前後)以下、IT職ではITパスポート(合格率50%前後)があれば珍しがられるくらいです。

前職の規模感で言えば、大企業や有名企業に転職を成功させた方のうち、中小ソフトハウスやスタートアップから転身した人を多数見てきました。

今回の記事では、そういった肩書に頼らずとも書類審査を全通過してしまうような人が、他の人たちと一体何が違うのか、その謎に迫ってみたいと思います。

落ちる原因は肩書や年齢ではなく、自分の内にある

転職を成功させる方法を考える上で、逆にどういった原因で落ちるのかについて考えてみたいと思います。一般的に転職活動の選考で落ちた場合に、応募者への気遣いもあってか会社からは落選理由が伝えられないケースがほとんどです。そんなとき、生真面目な人は「自分の肩書が足りなかったのか」や「年齢がネックになったのではないか」とネガティブな方向で反省をしてしまいがちです。

この反省は間違っていて、実際には肩書や年齢といった表面的なものではなく、自分の内にあるものが原因となっている場合がほとんどです。

そして原因は、完全な実力不足のケースを除き、自分がしっかり分析できていない、自分の色(強みや特徴)がしっかり出せていない、この2つに集約されることでしょう。

【図表1】書類審査で落とされる2つの理由
書類審査で問われるのは、履歴ではなく行動と成果

私はクライアント企業が専門職を採用するにあたって、書類の第三者評価を依頼されることが度々あります。それらを見ていてNG判定せざるを得ない人の書類の特徴としては、単なる経歴の羅列になっていることが挙げられます。というのも、最近では仲介するエージェントが気の利いたフォーマットを用意しているため、どの人の書類もそれなりには見栄えのするものになっているのです。

履歴書と職務経歴書
※写真はイメージです

一方で採用する側は失敗したくありませんので、応募内容の真偽を見極める必要があります。そのため、単なる勤務歴や職務歴の羅列だけでは不十分で、与えられた役割の中でその人自身が取った行動や成果が具体的に書かれている方が選考上有利に働くのは間違いありません。

【図表2】落ちる書類vs.受かる書類の決定的違い

転職者がそれまで会社やチームの方針通りに行動してきた人が多いのはある程度仕方がないのですが、皮肉にも採る側はそれでは不十分だと思っています。率直に言うと、その人自身が自分の考えや哲学に基づいて行動したこと、その人だったからこそ実現したことについて、具体的なエピソードを交えながら書いてほしいと思っているのです。

転職無双者の書類は、未来を想像させる「+α」がある

前項では選考書類を書く時のコツについて紹介しましたが、応募してくる人の中には、学歴や資格といった肩書がそれほどでなくても書類選考を全通過するという、いわゆる“転職無双者”が混ざっていることがあります。

そんな転職無双者たちは、書類選考で一体どんな工夫をしているのでしょうか。

その答えは、自分が取ってきた行動や成果を書くのはもちろんのこと、経歴の最初から最後までが一つの物語になっていることが挙げられます。具体的には書類審査する側が疑問に思う「なぜ(転職動機)」や「きっかけ(ご縁や偶然)」に対する答えがしっかりと書き込まれているのです。

握手をするビジネスマン
※写真はイメージです

また、転職無双者は、自分が持つスキルや経験が、応募する企業のどの事業にどんな価値をもたらすかの未来像を示してくれているので、採用する側からすると、その先活躍する具体的なイメージが持ちやすくなるというわけです。例えるならば、まだ付き合っていない男女の片方が「もし付き合ったらディズニーランドに行ってこんな乗り物にに乗って……」といった感じで、両者の明るい未来を想起させることで、相手をその気にさせていくのと同じかもしれませんね。

【図表3】転職無双者の書類に書かれていること

私自身、書類審査に関わる中で、自分をうまく出し切れていない書類を見てもったいなく思っていました。逆に肩書がなくても評価が高く、即審査OKを出した書類もたくさんあります。ぜひ相手に伝わる書類を用意して、理想の会社への転職を成功させてもらいたいと思います。

岡田 充弘(おかだ・みつひろ)
クロネコキューブ代表取締役
外資系コンサルティング会社を経て謎解き企画会社『クロネコキューブ』を設立。700にもおよぶパソコン時短ワザを集めてマニュアル化している。著書に『爆速パソコン仕事術』(ソシム)『結果もスピードも手に入る 神速スマホ仕事術』(すばる舎)『やりたいことを全部やれる人の仕事術』(PHP研究所)『やめるだけで成果が上がる仕事のムダとり図鑑』(かんき出版)『ビジネスマナーと仕事の基本 ゆる図鑑』(監修)(宝島社)ほか。

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