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金沢の人気フレンチが手掛けたクラフトチョコレートが生まれる場所へ「FILFIL CACAO FACTORY & CAFÉ・BAR」

  • 2023.5.13

金沢の繁華街・片町の中心から少し歩いたところにある小さなガラス張りの店からは、いつも甘い香りが漂っています。2021年に誕生したクラフトチョコレートブランド「FILFIL(フィルフィル)」。ここは、そのオリジナル商品が生まれるファクトリーであり、カカオのまだ見ぬ味わいを伝えるためのカフェバーです。

金沢の人気フレンチが手掛けたクラフトチョコレートが生まれる場所へ「FILFIL CACAO FACTORY & CAFÉ・BAR」
金沢の人気フレンチが手掛けたクラフトチョコレートが生まれる場所へ「FILFIL CACAO FACTORY & CAFÉ・BAR」
様々な形でカカオの可能性を発信
金沢の人気フレンチが手掛けたクラフトチョコレートが生まれる場所へ「FILFIL CACAO FACTORY & CAFÉ・BAR」
店休日も左手の工房ではチョコレートが仕込まれている

「FILFIL」は、この店の道を挟んで向かいにあるフレンチレストラン「FIL D’OR(フィルドール)」のプロデュースによって生まれたブランドとして、地元でも多くの話題を集め、その味わいで数多くのファンを獲得しました。金沢駅直結のお土産処「金沢百番街あんと」でもチョコレートタブレットを販売するショップを営む「FILFIL」ですが、このカフェバーでは販売所だけでは伝えきれないカカオの魅力を発信しています。営業は限定的。オープン日にはSNSのカレンダーを見たファンが終日を通して集う場所です。

カカオスイーツの定番から変化球ドリンクまで
金沢の人気フレンチが手掛けたクラフトチョコレートが生まれる場所へ「FILFIL CACAO FACTORY & CAFÉ・BAR」
(左)カカオブラウニー 480円、カカオビネガーサワー 600円(右上)チョコレートを調温するテンパリングマシーン(右下)大きなカカオ豆を飾った一角

カカオブラウニーは同店の定番メニューの一つ。しっとりを通り越して少しねっとり感すらも感じさせる濃厚なブラウニーは、カカオの味を全面に出したチョコレートショップならでは。中に混ぜ込んだナッツや上にのせたカカオニブの食感も良く、噛むたびにナッツの香ばしさやカカオの華やかさが口に広がります。

合わせたのはカカオビネガーサワー。カカオやチョコレートを使ったドリンクはミルク系のイメージがありますが、酸味のある炭酸ドリンクの後味に、しっかりカカオの果実の風味が感じられる新感覚のドリンクです。

生産国で肌で感じたカカオの魅力
金沢の人気フレンチが手掛けたクラフトチョコレートが生まれる場所へ「FILFIL CACAO FACTORY & CAFÉ・BAR」
店内はスタンディング形式。「FIL D’OR」ともリンクするシックな雰囲気。

店を回すのはチョコレートを作る人=チョコレートメーカーの金子世菜さん。海外経験も豊富な28歳です。フランスでレストランのパティシエとして修業をし、その後オーストラリアのメルボルンに渡ってカカオに魅せられたという金子さん。後にカカオの生産国へ行ってみたいと、ベトナムやバヌアツ共和国へと越境しました。

素材の味に合わせたチョコレート作り
金沢の人気フレンチが手掛けたクラフトチョコレートが生まれる場所へ「FILFIL CACAO FACTORY & CAFÉ・BAR」
(左)外からも様子が覗ける工房(右)2階建てだった天井を抜いてカフェスペースのみ吹き抜けにしたコンパクトでも広く感じる空間

ベトナムやバヌアツ共和国では、カカオ農家と近い関係でチョコレートを作っているファクトリーで働き、カカオの栽培からチョコレートになるまでを一貫して経験。「FILFIL」の商品のほとんどは、その時につながったバヌアツ共和国のカカオ農家の豆を使っているといいます。

元々レストランのパティシエ出身ということもあり、完成しているレシピを黙々と作ることよりも、今採れる素材で何かを生み出すことが性に合っていたと金子さんは話します。産地や年によって全く味が異なるというカカオ豆。金子さんの「FILFILのチョコレートは、毎年同じ味にしなくてもいいと思っているんです」という言葉には、ワインを通してその年のブドウの出来を楽しみにするように、チョコレートを通してカカオ本来の味を楽しんでほしいという意味が込められています。

しっとりした夜に食べたくなるチョコレート
金沢の人気フレンチが手掛けたクラフトチョコレートが生まれる場所へ「FILFIL CACAO FACTORY & CAFÉ・BAR」
(左上)チョコレートにはコクのあるラムやブランデーがぴったり(左下)ローストクルミのキャラメリゼにミルクチョコレートをコーティングしたロシェ(右)チョコレートと愉しむお酒 800円~

昼営業も行いますが、夜営業がこの店のメイン。「FIL D’OR」での食事の後にふらっと立ち寄るのもおすすめです。チョコレートに合うラムやブランデーも用意されていますが、その蒸留酒を入れながら飲むホットチョコレートを、デザートのように楽しむのはいかがでしょうか。濃厚なチョコレートドリンクにブランデーの香りがプラスされた、肌寒い夜にぴったりのホットチョコレートカクテルです。カフェバー限定のロシェやタブレットの欠片をつまんだり、不定期に提供されるアシェットデセールと合わせたりと、この店ならではのマリアージュが堪能できますよ。

タブレットに隠されたカカオへの想い
金沢の人気フレンチが手掛けたクラフトチョコレートが生まれる場所へ「FILFIL CACAO FACTORY & CAFÉ・BAR」
カラフルなパッケージのタブレットが並ぶ商品棚。オーナーの田川氏は地元工芸にも造詣が深い。カップに珠洲焼を使用したり、パッケージに九谷焼作家の原画を使用したりといったこだわりも。

「FILFIL」の主力商品であるチョコレートタブレットは、カカオの産地や割合が異なるシンプルなものが5種類と、期間限定のフレーバーが常時数種類。春はふきのとう、秋はイチジクなど旬の食材や地元の素材を使って季節を感じられるタブレットも一年を通して販売されます。

「FILFIL」のフレーバーチョコレートは、素材を生かしつつ、それぞれのカカオ豆の持ち味を活かして作るのが基本。それは、カカオの味わいを大事にしたチョコレート作りをしている職人の想いの表れなのかもしれません。海外から届くカカオの味を、金沢のクラフトチョコレートから感じる素敵な体験が、この場所で生まれています。

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