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子どもをどこまで監視するべき? 心理学者のアドバイス。

  • 2023.5.11
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居場所を確認できるスマートウォッチを持たせたり、内緒のマイクを忍ばせておいたり……? 過度な監視はやめよう!どこまで子どもを監視すべきか、デジタル利用を専門とするフランスの心理学者、ヴァネッサ・ラロに聞いた。

どこまで子どもを監視するべき?写真:photography: Imgorthand/Getty Images

AppleのAirTag、iPhoneの「探す」、トラッキング機能の付いたスマートウォッチ……位置情報を確認できるアプリやデバイスはどんどん増えており、世界中で何百万人もの親がこれらを利用している。親の不安がこの傾向に拍車をかけているのだ。「世の中は危険になったと思われがちです。でもそれはニュース専門チャンネルが三面記事に載るような事件を一日中絶え間なく流すようになったからに過ぎません」とデジタル利用を専門とする心理学者、ヴァネッサ・ラロは説明する。このようなツールをどう利用すればいいのだろう。

プライバシー

まずは節度ある使い方を心がけよう。子どもは大人の目が届かない“秘密のスペース”が必要で、それがなければ自分を構築することができない。最近、人権活動家クレール・エドンは子どものプライバシーが無くなってしまったことに危機感を覚えると発言している。「1950年代、子どもの自立範囲は10kmほどありました。いまは1kmほどしかないので、成長が助長されません」とヴァネッサ・ラロは指摘する。

すべてを知りたいという欲望

すべてを見ていたい、すべてを知りたいと思う気持ちにはキリがない。ということは、位置情報は親の監視欲を完全に満たすことはできないということだ。さらに言えば、バッテリーが切れてしまった、子どもが道端でお友だちと長い立ち話をしているなど、ツールが現実状況を考慮できないこともある。子どもの成長に役立つことが目的であったはずなのに、子どもの自立を困難なものにしてしまっている。「過度に監視される子は必要以上に不安を感じたり、自分の自由を保護するために嘘をつくようになったりします」とヴァネッサ・ラロは分析する。「本当の教育とは、子どもが現実社会の中で自分の居場所を理解し、危険から身を守り、それを回避する術を教えることです」

透明性を選択する。

位置情報を利用するなら、そのことを隠さないことが大切だ。7、8歳になり、ひとりで出かけることが増えてきたら、それらのツールについてどう思うか、使えば安心するか、子どもの意見を聞いてみるのも手だ。そして親の位置情報も得ることができると提案してみる。

どのツールを使うかも重要だ。位置情報が付随しているスマホならまだ許容範囲内であっても、トラッキング専用の腕時計や、遠隔で子どものスマホのマイクをオンにしたり、子どもが利用したインターネットの画面ピクチャを撮ったりするアプリは倫理的にギリギリだと言える。

管理は子どもに任せる。

子どもの成長に役立つという側面を残しつつ、お互いの信頼関係を壊さないため、子どもが家を出た時や帰宅した時に自分でアプリをオン・オフするように決めておくのもいいだろう。

14、15歳になった子の場合、親が監視していることを子どもが受け入れているなら問題はないだろう。しかし位置情報をオフにする自由は子供に残しておくべきだ。「いずれにせよ、思春期になれば子どもはケータイやスマートウォッチを友だちの家に意図的に“忘れ”たりして、自分のプライバシーを守ろうとするでしょう。それは成長に必要不可欠なものですから」

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