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北海道だけで使われる言葉「リラ冷え」とは何のこと?その意味や語源を解説!

  • 2023.5.10

北海道だけで使われている気象用語「リラ冷え」。 これは、5月の後半になると訪れる激しい気候の変化のことです。

ここでは、「リラ冷え」がどのような天候をあらわすのか、その意味や由来について解説します。

リラ冷えとは?

 

まずは「リラ冷え」がどのような天候で用いられるのかを見ていきましょう。

北海道のみで使われる気象用語

「リラ冷え」は、北海道だけで使われている気象用語です。

5月下旬の北海道では、暖かくなってきたと思ったら急に冷え込むような気候の変化がみられます。 この時期に訪れる気温の冷え込みを、北海道では「リラ冷え」と呼んでいるのです。

使われる時期は限られている

リラ冷えという言葉が該当する気候は、ライラックの咲く季節である5月の間だけ。 春の肌寒い日に全部というわけではなく、暖かくなった後に急に冷え込むという限定的な天候だけとなります。

リラ冷えの語源は?

 

「リラ冷え」の「リラ」とは、ライラックという花のことです。

リラ=ライラック

ライラックは、フランス語で”lilas(リラ)”といいます。 「ライラック祭り」というイベントも毎年開催されているほど、北海道では親しみのある植物です。

このライラックが咲き誇る時期は、5月下旬~6月初めです。 つまり、ライラックが咲く時期に発生する冷え込みという意味で「リラ冷え」と呼ぶ用になったということになります。

元々明治時代にアメリカから北海道に

ライラックの原生地はヨーロッパとされています。 しかし、今では札幌市で自生しているところも多く見かけます。

今のように、ライラックが札幌などでも多く見られるようになったのは、札幌の名門女子校・北星学園女子中学高等学校の創始者であるサラ・クララ・スミスが明治時代にアメリカから持ち込んだからだといわれています。

小説「リラ冷えの街」で広まる

「リラ冷え」という言葉が広まったのは、北海道出身の作家、渡辺淳一氏による小説「リラ冷えの街」がきっかけとされています。 この作品は、リラ冷えの季節の北海道を舞台に男女の愛を描くラブストーリーです。

元は俳句で使われた

「リラ冷え」という言葉は、俳句に中で使われたのがはじめとされています。

俳人「榛谷美枝子」氏が作った創語

「リラ冷え」を生み出したのは、札幌に長年住んでいた俳人の榛谷美枝子「リラ冷えやすぐに甘えてこの仔犬」という俳句が初出とされています。

今では季語として認められている

ひとりの俳人が生んだ「リラ冷え」という言葉は、現在では季語として認められています。 5月の北海道をあらわす季語となっていますよ。

北海道以外での似た意味の言葉

 

北海道以外にも、「リラ冷え」と同じような天候を指す言葉があります。 それが「寒の戻り」や「花冷え」です。

寒の戻り

「寒の戻り」というのは、暖かくなってきた晩春になってから、一時的に冬が戻ってきたような異常に寒さがやってくる」ことを意味します。 立春を迎え、春らしい天気になってきた頃合いで肌寒さを感じる天候がやってくるという事になります。

花冷え

「花冷え」とは、桜の咲く時期に訪れる肌寒い日のことです。 時に東北地方や北関東では、雪を降らせることもあるほどの寒さになるんだとか。

使い方には注意

 

美しい言葉である「リラ冷え」ですが、その使い方には注意が必要。

5月頃だけに使う!

リラ冷えを使うのは、リラの咲く季節である5月の間だけが原則。素敵な言葉だからと言って調子に乗って春の肌寒い日に全部「リラ冷え」を使ってしまうと、ちょっと恥ずかしいかも……?

まとめ

「リラ冷え」は、北海道だけで通じる気象用語。 北海道では5月下旬ごろに暖かくなったと思ったら急に冬が戻ってきたように冷え込むことがあります。 この気候を「リラ冷え」と呼ぶのです。

その名称は、札幌市などで盛んに咲くライラックの花が、フランス語でリラと呼ばれることに由来します。

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