1. トップ
  2. お仕事
  3. 「いえ」「はいはいはい」これを言ったら一発アウト…転職面接で撃沈する人の残念な話し方のクセ3つ

「いえ」「はいはいはい」これを言ったら一発アウト…転職面接で撃沈する人の残念な話し方のクセ3つ

  • 2023.5.10

実績や専門スキルは十分あるのに転職の面接がうまくいかない人はどこに問題があるのか。話し方コンサルタントの阿隅和美さんは「採用担当者の質問に対して、無意識に『いえ』『いや』など否定語をつけて回答する人がいます。こうした口ぐせがある方は、早めに改善しましょう」という――。

カジュアルなビジネス面談に臨む女性
※写真はイメージです
短時間で「人材としての価値」を伝えるには

実績や専門スキルは問題なく、書類選考は通るのに、面接で毎回落ちてしまう――。ミドル層の転職希望者の中には少なからずそういうタイプの人がいます。

企業側はミドル層に対して、「専門性・スキル」だけでなく、新しい職場の風土に慣れてうまくやっていく「柔軟性」や「謙虚さ」、そしてマネジメントやリーダーシップに欠かせない「コミュニケーション力」など、付加価値もあわせて求めています。書類で確認できる専門性やスキル、実績以外のそうした部分を、面接での話し方や受け答えを通じて見極めようとしているのです。

面接は初対面の担当者に短時間で自身の「人材としての価値」を分かってもらう場面。もし価値を伝えきれずにチャンスを逃していたらもったいないですね。そこで今回は、転職面接で落とされる人の話し方の特徴を切り口に、面接での効果的な話し方と人材としての価値の伝え方について取り上げます。

転職面接で落とされる人の話し方の特徴3つ
①頼りない印象を与える話し方・態度

転職面接では、本人が思っている以上に、話し方の印象が与える影響は大きいものです。

Nさんは、15年間勤務している食品メーカーの広報部で、インターネットを活用した広報・PR戦略で大きな実績を作ってきました。この実績を買われて、広報部長職として転職がほぼ決まりかけていました。

しかし、役員面接の前で待ったがかかりました。転職エージェントによると、転職先の企業が、面接でのNさんの受け答えに自信のなさそうな印象を持ち、部門トップのポジションに不安を感じているということでした。ただ実績は申し分なく、欲しい人材というのは確かなので、最終面接でOKが出るように話し方を改善してほしいというフィードバックでした。

実際のNさんはリーダーシップを発揮し、周囲を巻き込んでプロジェクトを推進する能力があります。しかし、面接は新卒のときの就活以来のこと。思いがけず緊張をしてしまい、声は小さく、表情も固く、視線も泳いでしまったそうです。どんなに優秀な方でも、面接で声が小さいと意志の強さが伝わりませんし、表情が暗くてアイコンタクトが取れないと、マネジメント層にふさわしいコミュニケーション能力があるのかと疑念を持たれてしまいます。

Nさんは、こうしたネガティブな印象を与えていた話し方を改善して臨んだ役員面接で、見事部長職での採用を勝ち取りました。企業にとっても優秀な人材を得られたことは大きなメリットです。

この事例のように、面接での話し方に関するフィードバックをもらえることはまれだと思いますが、似たような理由で苦戦している人がかなりいるのが現実ではないでしょうか。そこで、もし面接に苦戦している場合、ぜひご自身の話し方を動画撮影して確認することをおすすめします。そして客観的に声の大きさ、滑舌、スピードなど必要な改善をしておきましょう。

また、非言語コミュニケーションも重要です。相手の目を見て話すかどうかを気にする担当者は意外と多く、見ていないとコミュニケーション能力が低いと思われマイナス評価となります。逆に、しっかり目を見て話せば「自信を持って発言している」「強い意志をもって発言している」と好印象になります。もし、目を見ると緊張するタイプの方は、相手の「鼻」を見て話してみましょう。

もうひとつ、表情の管理も大切です。本来であれば笑顔で話すことを心掛けたいところです。しかし、緊張で難しい場合には、第一印象を左右するあいさつは「笑顔」。採用担当者の話を聞く時には口角を上げておくことを最低限意識してください。

返事は「はい」で
②気分を害しやすい言葉グセ

・否定語から入る

採用担当者の質問に対して、「いえ」「いや」「ていうか」など答えの文頭に否定語を必ずつける人がいます。本人は無意識であっても、全て否定から入られては、けっしていい気はしません。職場でも何かにつけて否定から入るタイプではないかと思われてはマイナスです。こうした否定語を使わないようにするためには、質問に「はい」と返事をしたあと、一息間を取ってから話し始めることをおすすめします。口ぐせになっている方は、早めに改善しましょう。


例)
採用担当者:「前職では、広報部門のご経験が長かったということですが具体的にはどのような仕事を担当していたんですか」

×「いや、前職では広報といいますか、複数の業務を掛け持ちしていまして……」
×「ていうか、前職では広報といいますか、複数の業務を掛け持ちしていまして……」
○「はい。前職では広報でしたが、複数の業務を掛け持ちしていまして……」

・いい加減そうな「相づち」

たとえば

「ええええ」「はいはいはい」「まあ、そうですね」「あっ、はい」「え~、はい」

などの相づちは、相手の話を適当に聞いている=相手を尊重しない、上から目線という印象を与えてしまいます。

一方、上手な相づちは、会話の潤滑油となり円滑なコミュニケーションを図ります。ここでは、具体的な相づちの打ち方については省略しますが、いい加減そうな相づちを打つくせがある方は、誠実で謙虚な印象を与える「はい」と明るく歯切れの良い返事を心掛けてみましょう。

人事チームが面接で若い女性候補者に帰宅を促している
※写真はイメージです
聞かれたことを答えよう
③一方的にしゃべってしまう

面接で準備をしてきたことをたくさんしゃべって、うまくアピールできたと思ったのに、なぜか不採用だったという声もききます。想定質問に対する回答を事前に用意して、それを一言一句暗記するまで覚えて面接に臨む方もいると思います。

もちろん事前準備は大切ですが、もし一方的に1分以上話していたら要注意です。というのも、「空気を読まず一人で話し続ける」「話を聞かず自分の意見だけ言う」といった一方通行のコミュニケーションを取る人だと思われてマイナスポイントになるからです。

面接の基本は面接官との「会話」。覚えてきたことを一方的に語るプレゼンテーションの場ではないのです。それに模範解答を丸暗記して、一字一句間違えずに話そうとすると機械的な話し方になり、面接担当者の心にも響きません。

ぜひ、面接では一方的に話し続けるのではなく、聞かれたことに答える「会話」を意識しましょう。

質問への答え方も重要です。冗長になるのは避けて、「志望動機をお聞かせください」というような振りには1分程度、また会話中の質問への回答は30秒程度が目安です。その際、「結論」から先に話すと説得力が高まります。続けて「理由」「具体例」と3段階で答えると、内容が伝わりやすくなります。


例)
「将来的には地方創生の仕事に携わりたいと考えています」(結論)
「というのも、私自身の出身地であるこの地域には、まだ観光資源が多く眠っていると感じているからです」(理由)
「入社後は、前職で培った経験から新たな観光プロモーションに携わりたいと考えております。たとえば……」(具体例)

ミドル層が避けたい面接NGワード

面接では正直に回答することが大切とはいえ、思ったことを何でも口にして良い場ではありません。何のための面接なのかを念頭に置き、採用担当者の期待に応える回答を返しましょう。

「自分自身のキャリアアップのため」

ミドル層の場合、転職動機を聞かれた際、「年収と肩書を上げキャリアアップするため」「成長させてもらえそうだから」「部長を/年収~万円以上を希望します」などと真っ先に自分の要求を挙げてくる人はスムーズな採用にはつながらないようです。

もちろん転職で得られる諸条件は重要なことで、要求を持ってはいけないということではありません。ただ、転職理由として仕事内容より優先して諸条件に関することばかり言及すると、仕事よりも条件面を重視する人だと誤解されてしまう恐れがあります。

優先すべきは、あなたがその企業にとって、いかに貢献できるか、人材としての価値を伝えることです。それを十分理解してもらえれば、おのずと、やりがいと責任のある職務、相応の年収の提示が結果としてついてくるはずです。

「何でもやります」

ミドル層の転職の場合、求められているのは即戦力です。面接でやりたい仕事を聞かれたときに、20代の新卒面接であれば「何でもやります」と言えば意欲的だと思われそうですが、ミドル世代はNG。「何でもやります」「どのような仕事内容でも構いません」は「専門性がない」「何もできない」と言っているようなものです。ぜひ、「自分の専門性や強みを活かして○○に取り組みたい」と言えるように準備をしておきましょう。

転職面接で大切なのは「自分の価値を伝える力」

繰り返しになりますが、ミドル層の転職の場合、企業側が求めているのは、スキルや実績にプラスをしたあなたの付加価値です。

あるIT企業の女性マーケティング担当者がヘッドハンティングされた際、転職先の企業に「マーケティングの部門統括と同時に、初の女性幹部となるため、女性社員がビジネスキャリアを築いていくためのロールモデルとなってほしい」と言われたそうです。まさに、付加価値を期待されたケースです。

このようにミドル層の人たちに転職先が求めるのは、現状不足を補い進展させる能力と、ポジションに就いた際その職に挑戦する人材です。自己PRにもこうした企業側の期待を盛り込めば、人材としての価値が伝わりやすくなるはずです。

では、どのような自己PRの工夫が効果的でしょうか。まずは、一般的な自己紹介の例です。


一般的な自己PRの例)
「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。私はこれまでIT企業の株式会社△△にて、技術職として新卒から16年勤務し、現在は、DXを進めるクライアント企業様に製品やサービスを提供するプロジェクトのリーダーをしています。最近のクライアントの事例でいうと、導入前と比較して30%のコスト削減を実現することができました。これからDXを進める御社でも即戦力になれるのではないかと考えております。本日はよろしくお願いいたします」

一般的な自己PRの構成は、募集職種に役立つスキルや能力を持っていることをアピールし、「自分のスキルが活きると思い応募しました」と意欲で締めるパターンです。もちろん、これでも良いのですが、もし他にも志望者がいた場合、スキルや実績で比較されてしまい、選ばれない可能性も出てきてしまいます。また、この一般的な構成だと付加価値を伝えにくい場合もあります。

企業の期待に応えるアンサーを用意する

では、自己PRで、自分の人材としての価値が企業の期待に応えるものだと伝える工夫をみていきましょう。

もっとも大事なことは転職先の企業視点で自分のアピールポイントを考えることです。おそらく事前に企業研究やエージェントを通じて、転職先企業の課題やビジョンを確認すると思います。

それを、下記の「企業の期待に応える自己PR準備法」のように、ABCの3つの項目で整理をしてみるといいでしょう。

「即戦力」の上手な伝え方

・企業の期待に応える自己PR準備法


A 企業の現状(どんな課題やビジョンを持ちどのような人材を求めているのか)
例)DXを推進したいが、プロジェクトを任せられるIT人材がいない

B あなたの人材としての価値(どうやってAをCに変えるか)
例)IT技術・知識+チームマネジメント・社内調整に必要なコミュニケーション力

C あなたを採用後の企業の未来(課題解消後の未来を描く)
例)IT化を進め経営計画の実現を目指す

「A 企業の現状」と「C あなたを採用後の企業の未来」、次に、AがCになるために自分がどう役立つかという視点で「B あなたの人材としての価値」の順番で考えて書き出します。Bを考える際には、スキルや実績だけでなく、プラスアルファの部分を掛け合わせることで、他者との差別化が図れます。

一般的な自己PRは、Bの自分の能力部分を厚めにしがちですが、ミドル層に求められている即戦力とは、AをCにしてくれる人材かどうかです。ぜひ企業視点で自分の価値を伝えるために、このABCフレームを活用して言語化しておきましょう。

企業の期待に応える自己PR文例

現在、御社はDXを推進するプロジェクトを立ち上げる準備をしているとお伺いしました。ぜひこれまでの経験を活かして、計画実現に携わりたいと志望しました。

私はこれまでIT企業でクライアント企業のDXを実現するプロジェクトのマネジャー業務に携わってきました。おかげさまで、あるクライアント企業では、30%のコスト削減を実現しました。また、DXを進めるには技術面だけでなくプロジェクトへの社内理解やIT教育という「人」の面が大事だという経験もしました。こうした両面から御社に貢献していければと考えています。

自己PRをストーリーで語る効果

ミドル層の転職面接における話し方サポートをする中で気付いたことは、商材のプレゼンテーションは得意でも、ご自身の価値を伝えることに慣れていない方が多いということです。

せっかく実績があっても言葉が足りない、逆に、採用担当者が興味を示さない内容を一方的にしゃべりすぎてしまう人もいます。そこで、面接でうまくアピールできない方にはストーリー形式でまとめる方法をおすすめしています。

このストーリー構成は、①以前の状況、②転機、③選択と行動、④良い結果、⑤明るいビジョンの5つの項目に当てはめて流れをつくります。この構成を使うと、スキルや経験、仕事に取り組む姿勢などをイメージ豊かに伝えることができます。

自己PRストーリーの例

【採用担当者】では、自己PRをお願いします。

【応募者】はい、私は15年間の広報経験から御社のブランディングで企業価値向上に努めていきたいと考えています。

※相手視点で見た自分の価値を結論先行で伝える


(ここからストーリー開始)

①以前の状況
と言いますのも、現職企業の創業メンバーとして参加しましたが、業界では後発ということで、なかなか認知されないという課題がありました。

②転機
そこで、企業PRを戦略的に仕掛けました。

③選択と行動
なかでも業界に先駆けたSDGsプロジェクトが各種メディアに大きく取り上げられたことが起爆剤となり、大きく認知されるようになりました。

④良い結果
おかげさまで業界シェアも大きく伸ばし、「好感度」が高い企業というブランド構築にも成功、営業や採用両面で効果を発揮しています。

⑤明るいビジョン
御社でも広報チームの主軸を担い、メンバーと共に価値向上に努めていきたいと考えています

(出所:『仕事ができる人の話し方』青春出版社)

ぜひ、このシナリオをベースにアレンジして活用してみてください。

面接で残念な話し方をしているばかりに、あなたの人材としての価値を伝えきれていないのは悔しいものです。もし面接で思うように結果が出ない場合には、本日ご紹介した観点で、一度、ご自身の話し方や伝え方を振り返ってみてはいかがでしょうか。あなたの経験や能力を発揮できる企業とご縁が結ばれることを願っています。

阿隅 和美(あすみ・かずみ)
WACHIKAコミュニケーションズ代表
青山学院大学経営学部卒業。中部日本放送アナウンサーを経て、NHK衛星放送キャスターとして、株式市況、世界のトップニュースを10年担当。20年にわたり、スポーツ、経済、情報番組に関わる。アナウンサー名は瓶子和美。現在は、TV現場で培った技術を活かし、ビジネス現場でコミュニケーション力を発揮し、成果を出す人材を育成する研修、講座、講演を行っている他、経営層・管理職、エグゼクティブリーダー向けプレゼン・スピーチのパーソナルトレーニングやコンサルティングなどを実施している。著書に『心をつかみ思わず聴きたくなる話のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)、『仕事ができる人の話し方』(青春出版社)があり台湾でも翻訳されている。ホームページ

元記事で読む
の記事をもっとみる