1. トップ
  2. 恋愛
  3. 初来日で6公演即完!ジャズ界の新星デュオ、ドミ&JD・ベックについて抑えておきたい12のコト【インタビュー】

初来日で6公演即完!ジャズ界の新星デュオ、ドミ&JD・ベックについて抑えておきたい12のコト【インタビュー】

  • 2023.5.9

2022年にアンダーソン・パークのレーベルからデビューしたデュオ、ドミ&JD・ベック。同年度の第65回グラミー賞では主要部門である最優秀新人賞を含む2部門にノミネートされ、2023年5月に伝統あるブルーノート東京で初の来日公演として行なわれる6公演は、発表から間もなくして完売。埼玉県秩父ミューズパークにて開催されるLOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023への出演も控える、ジャズ界に彗星の如く登場した2人に来日直前インタビューを実施し、デビューの経緯から、シルク・ソニックとの共作でのブルーノ・マーズとの秘話、アリアナ・グランデの共演、デビューアルバム『ノット・タイト』まで、様々なことについて訊いてきた。電話越しにも2人の相性の良さがヒシヒシと伝わってきたインタビューで分かった、ドミ&JD・ベックについて抑えておきたい12のコトをご紹介。(フロントロウ編集部)

ドミ&JD・ベックがインタビューで明かした12のコト

1. 出会いは最悪のギグだった

2000年にフランスで生まれた現在23歳のドミと、2003年に米テキサス州ダラスで生まれた現在20歳のJD・ベックが出会ったのは、2018年1月に共通の友人だったドラマーのロバート・シーライトに招かれて、世界最大規模の楽器展示会であるNAMMショーで共演したとき。「その時のギグは、私たち史上最悪のものになりました(笑)」と、ドミはフロントロウ編集部とのインタビューで笑いながら振り返る。「2人して爆笑してしまったので、改めてちゃんと演奏してみようということで、またLAで一緒にジャムをすることにしたんです」

画像: ドラマーのJD・ベック(左)とキーボーディストのドミ(右)。
ドラマーのJD・ベック(左)とキーボーディストのドミ(右)。

「そのときに『すごい! めちゃくちゃ上手いじゃん! もっと一緒にやろうよ』ということになって。それから数週間後に、ダラスでJDがエリカ・バドゥの誕生日パーティーで演奏するときに、『君も来なよ』って誘ってくれたんです。そこから一緒に曲を書き始めて、それがファーストアルバムへと繋がりました」。

2. ものすごく正反対で、そっくりでもあるコンビ

「一方が不得意な何もかもを、もう一方が持ち合わせているという感じです」とドミがJDとの相性の良さについて力強く語ると、JDも「まさしく」と同意する。「ある意味ではものすごく正反対なんですけど、それでいて奇妙にも、そっくりな2人でもあるんです」。

ドミはさらにこう続けた。「一緒にいるとまさにその中間でいられるというか、多くの共通点を持ち合わせながらも、お互いが持っていないクールな部分をそれぞれが持っています。例えば、私はジャズやクラシックを聴いて育ったのですが、JDはどちらかというとヒップホップやロックを聴いてきました。お互いが組み合わさったときのコンビネーションが、私たちにとってはまさに完璧なんです」。

画像: 2. ものすごく正反対で、そっくりでもあるコンビ

3. 『ファイナルファンタジーX』などのゲーム音楽に影響を受けた

共にZ世代である2人が共通して幼少期に受けた影響として挙げるのが、ゲーム音楽。「幼少期に2人ともが『ゼルダの伝説』の音楽が大好きでしたし、他にも個人的には、『ファイナルファンタジーX』のサントラは僕が最も好きなサントラの1枚です」とJD。

「僕らは世代的にも、テレビゲームのカルチャーに囲まれながら育ちました。子どもの頃にテレビゲームをして育ったことが、音楽面でのアイデンティティの形成に繋がったと思っています。ゲーム音楽そのものだけでなく、そのスピード感というものにも影響を受けました。テレビゲームというのはものすごくペースが速いですよね。特に僕らが好きだったゲームはそうだったのですが、そういうものが音楽観に影響を与えました」。

4. JDのファッションは7割が日本人デザイナーのもの

2人が影響を受けた日本のカルチャーはゲームだけでない。「ショッピングに出かけるようなこともありません。オンラインで買うんです。ツアーに必要だっていうときに、好きそうなものを探すという感じ」とドミが語るように、基本的にはオンラインで服を買うという2人だが、JDはとりわけ、日本人デザイナーが手がける服に惹かれるという。

画像: ©️JD Beck/Instagram

「最終的には、少なくとも70%くらいの服が日本のデザイナーによるものになっていると思います。日本のファッションはすごく進んでいますよね。特に、形が素晴らしいと思います。着心地も最高ですしね」。

5. ジョークがきっかけでアリアナ・グランデとの共演が実現

ドミとJDの2人がデビュー前に経験した最も大きなステージの1つが、2020年のAdult Swim Festivalで実現した、サンダーキャットとアリアナ・グランデとの共演。デビュー前の早い時期からドミとJDの才能を買っていたサンダーキャットは、Adult Swim Festivalのステージで2人にバックバンドを務めてもらうことを決めていたものの、誰をゲストアーティストに呼ぶか、決めかねていたという。

そこで、2人はアリアナが以前、サンダーキャットの「Them Changes」をカバーしていたことを思い出し、ジョーク混じりに彼女の名前を提案したそう。「僕らはジョークとして、アリアナの名前を出したんです(笑)」とJDは振り返る。「そしたら、サンダーキャットが本当にアリアナにメッセージを送って、訊いてみたら、OKしてもらえたんです!」とドミ。2人とも、リハーサルと本番の2日だけ会うことができたアリアナの才能には圧倒されたと振り返った。ちなみに本番当日は、アリアナと「一緒にパフォーマンスして、ヴィーガンフードを一緒に食べて、それで解散」という流れだったという。

6. アンダーソン・パークは母親のような存在

サンダーキャットがアンダーソン・パークとツアーを行なっていたときに2人を誘って、そのときに2人がアンダーソンと初めて対面。そして2人は2022年に、アンダーソンのレーベルであるエイプシット・インクからデビューを果たした。

“2人にとってアンダーソンはどのようなメンターですか?”と話を振ってみると、「母親のような存在ですね(笑)」とJDが即答。「何かにつけて僕らのことを気にかけてくれます。僕らが自覚していないような場面も含めて、多くの点で僕らにとっての偉大なメンターであり続けてくれていると思います」

画像: 第65回グラミー賞授賞式で、誇らしげにドミ&JD・ベックを紹介するように写真に収まるアンダーソン・パーク。
第65回グラミー賞授賞式で、誇らしげにドミ&JD・ベックを紹介するように写真に収まるアンダーソン・パーク。

7. シルク・ソニックの「Skate」は30分で書き上げた

デビュー前の2021年に、師匠アンダーソンとブルーノ・マーズによるスーパーユニットであるシルク・ソニックと共に、彼らの「Skate」を共作したドミとJD。この楽曲は、2人がブルーノと会ったときに「君たちは素晴らしいけど、ヒット曲は書けない。そうだろう?」と言われたことで火がつき、「あなたのためにヒット曲を書いてみせますよ」とブルーノに伝えて取り掛かった楽曲だという。

そんな経緯で「Skate」に取り掛かった2人だが、完成に費やした時間は、なんとたったの30分! 「チャレンジでしたけど、30分で書き上げました(笑)」とJDは誇らしげに振り返る。「アンダーソンとブルーノが帰ったあとで、『絶対書いてみせようね!』っていう話をしました。あの曲を書いたことはポジティブでしたし、励みになりましたね」とドミも語った。

画像: 7. シルク・ソニックの「Skate」は30分で書き上げた

一見すると、ブルーノの発言はキツいものに思えるかもしれないが、アンダーソンもブルーノも思ったことをドミとJDに正直に伝えてくれるといい、そのように大先輩から率直なアドバイスをもらえる環境こそ、「アンダーソンとの契約で得られた最も大きなことの一つです」とJDは語る。「それから、彼は絶対に僕らを変えようとはしません。例え彼が理解できないものがあったり、必ずしも好きになれないことがあったりしたとしても、僕らのことを心から信じてくれます。彼はいつだって僕らに寄り添い、僕らの直感を信じてくれるのです。だからこそ、この関係は掛け替えのないものになっています」。

8. アルバムはデヴィッド・リンチの映画と同じ

「結成してから今まで、5年間ずっと僕らに付いて回ってきたフレーズなんです。“時間に縛られない”とか、そういういろいろな意味でね」とJDは2022年8月に満を持してリリースしたデビューアルバム『ノット・タイト(NOT TiGHT)』のタイトルに込めた思いについて語っている。

若くして抜群の演奏技術を持ち、天才として将来を期待されてきた2人だが、ドミは「自分たちのことを深刻に考えすぎないようにしたかった」と打ち明ける。「もちろん、音楽には真剣に向き合っていますが、自分たちのことは深刻に捉えたくなくて。なので、『私たちの音楽って最高!』みたいな態度は、一番やりたくないことでした。そういうふうにはなりたくなかった。私たちの間ではよく、『それ硬い(tight)ね。それは硬くない(not tight)』みたいな会話をしていました」。

JDは『ノット・タイト』というタイトルについて、意味が「千通りくらいあると思います。いつだって違う意味を持つのです」と語ると、ドラマ『ツイン・ピークス』などで知られる映画監督のデヴィッド・リンチの作品を引き合いに出して次のように続けた。「デヴィッド・リンチ監督の映画のようなものですよ。芸術において最も大切なのは、自分なりの意味を見出そうとすることです。芸術とはそうあるべきだと思います。それぞれのものであるべきなんです」。

9. 作曲では楽器を使わない

意外かもしれないが、2人がソングライティングを行なうとき、楽曲が出来上がるまでは楽器を使わない。それは、これまでにあまりに演奏してきたために、無意識なレベルにまで、過去に演奏してきた楽曲が体に染み付いているから。

「楽器を使って作曲をすると、結局はありきたりなものになってしまうということに気が付きました」とJDは話す。「楽器を使わない形で楽譜を書いたり、音楽を作ったりすることの利点の一つとして、自分たちが書きながら学ぶことで、楽曲に新しい命を吹き込めるということがあると思っています。それまでに演奏したことがないものができあがるので、僕らもそれを学ぶ必要があるんです。それこそが、楽曲制作の好きな部分ですね」

10. マック・デマルコら豪華コラボレーターは友人

待望のデビューアルバム『ノット・タイト』には、アンダーソンはもちろん、サンダーキャットやスヌープ・ドッグ、ハービー・ハンコック、バスタ・ライムス、マック・デマルコ、カート・ローゼンウィンケルという豪華なアーティストがフィーチャリングで参加しているが、多くは2人の友人でもあるという。「ほとんどが近しい友人なんです。サンダーキャットもそうですし、マック・デマルコもアンダーソン・パークも」とドミ。

「カート・ローゼンウィンケルは僕らにとってのメンターのような方ですしね。自分たちを取り囲むサークルをそのままアルバムに持ち込めたことを本当に幸運に思っていますし、音楽界のアイドルたちを親友と呼べるのは最高に嬉しいことです。心から尊敬している人たちですし、実質、唯一の友人たちでもあります(笑)」とJDは明かした。

11. 日本は世界中でどこよりも行きたかった国

5月10日から12日にかけて、ブルーノート東京にて3日間で計6公演を行なうドミ&JD・ベック。2人にとって初めての来日公演となる6公演は、発表されて間もなくして全公演が完売。彼らがいかに日本でも注目されているかを証明することとなったが、どうやら2人と日本は相思相愛のよう。日本に行けることについて、「ものすごく嬉しいです。僕らにとって、人生で一番行きたかった国が日本でしたから」とJDは嬉しそうに話す。

画像: ©️DOMi & JD BECK/Instagram

「日本へ行くのは夢だったんです。なので、ブルーノート東京で6公演をやるオファーをいただいたときは、嬉しさのあまり飛び回って喜びました。ソールドアウトしたと聞いたときには、『素晴らしいショーにしないとね。最高のものにしよう!』って、一層気合が入りましたね」と、ドミは6公演がソールドアウトしたと知ったときのことを振り返る。

2人は5月13日に埼玉県の秩父ミューズパークで開催されるLOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023にも出演するが、同フェスへの出演については「フェスティバルのオーディエンスは自分たちのショーとは違って、必ずしも自分たち目当てでチケットを購入した方とは限りせん。なので、嫌われるかもしれませんし、最高だって思ってもらえるかもしれませんし、それはわかりませんが、私たちはすごく楽しみにしています。もしかしたら、フェスティバルで友人ができるかもしれないですし」とドミ。

「フェスティバルの雰囲気ってクールですよね。ブルーノート東京で6公演をやったあとで、フェスティバルで日本への旅行を締め括れることはすごくクールです」と続けた。

12. 日本ではファンの実家に行きたい

初めて日本を訪れるにあたって、思う存分観光できるように、4日間のオフの期間も設けたという2人。「ディズニーランドには行っておきたいかも。それからショッピングも。ワードローブを総入れ替えするくらいの服を買いたいです。日本へは服を一着も持って行かずに、無理矢理にでも日本で買い物をするように自分を仕向けて、一年分の服を買おうと思います」と、JDが日本で楽しみにしていることについて語ると、ドミも「それから食べ物も楽しみ。いろいろ食べてみたい。1日に10食は食べる勢いで食べます」と気合を覗かせる。

画像1: 10. マック・デマルコら豪華コラボレーターは友人

中でも、2人が日本で特に楽しみにしているのが、日本のファンたちと交流すること。「東京に住んでいる人たちに、お気に入りの場所を案内してもらいたいです。地元を知っている人に案内してもらうのは、いつだって最高ですから」とドミが声を弾ませると、「一人一人と一緒に出かけたいくらいですよ」とJDも同意する。

2人はファンと仲良くなって、そのまま実家にもお邪魔したいぐらいだそうで、「みんなの実家にお邪魔しちゃおうかな」「いいね! みんなの実家に行こう!」とジョーク混じりに語る。

しかしながら、どうやら2人は本気で日本で友だちを作ろうとしているよう。最後に日本のファンへのメッセージをお願いすると、勢いよくこう返ってきた。「ショーが終わったら、みんなで僕らに合流してよ!」「ぜひそうして!レストランに300人で予約しておくから!」。

<リリース情報>
ドミ&JD・ベック
デビューアルバム『ノット・タイト』
発売中
購入/ダウンロードはコチラから。

画像2: 10. マック・デマルコら豪華コラボレーターは友人

<来日公演情報>
ドミ&JD・ベック単独公演
5月10日(水)・11日(木)・12日(金)ブルーノート東京
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
詳細は公式サイトにて。

LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023

画像3: 10. マック・デマルコら豪華コラボレーターは友人

2023年5月13日(土)5月14日(日)
12:00開場 / 13:00開演(予定)埼玉県・秩父ミューズパーク
※ドミ&JD・ベックの出演は13日(土)
詳細は公式サイトにて。

Photo:ゲッティイメージズ,Instagram

(フロントロウ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる