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『猫町倶楽部』主宰・山本多津也の捨てられない本。『PHOTOGRAPHS “How Could I Send a Picture into the Desert?”』

  • 2023.5.9
作家で作曲家、ポール・ボウルズの都市タンジールでの日々や、家族、友人を写した写真集。写真/ポール・ボウルズ。Scalo。

20代の自分と今の自分をつないでくれる存在

本がない生活に憧れるのですが、実際はまったく手放せない(笑)。なかでもポール・ボウルズの『PHOTOGRAPHS』は思い出が詰まった写真集です。

20代の頃、彼の小説『シェルタリング・スカイ』に感化されて突発的にモロッコへ行きました。しかも作中の「旅行者は帰国しないこともある」という記述から、帰る日も目的地も決めない無計画な旅にして。迷路のような街を歩いたり、砂漠の真ん中でヒッチハイクしたり、強烈な異文化体験ができましたね。

写真集を手に入れたのはその数年後。モロッコの街並みの写真が、当時の感情や景色を思い起こさせてくれました。影響を受けた小説と人生で忘れられない旅の経験に強く結びつきのあるこの本は、僕にとって重要な存在なんです。

『PHOTOGRAPHS “How Could I Send a Picture into the Desert?”』
1947年にアメリカからモロッコへ移住した作家で作曲家のポール・ボウルズ。都市タンジールでの日々や、家族、友人を写した写真集。写真/ポール・ボウルズ。Scalo。

profile

『猫町倶楽部』主宰・山本多津也さん

山本多津也(『猫町倶楽部』主宰)

2006年に日本最大級の読書会『猫町倶楽部』を発足。近年はオンラインを中心に年間200回以上のイベントを開催している。

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