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ドレスコード、席順、マナー...知られざる戴冠式のプロトコルとは?

  • 2023.5.7
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ドレスコード、席順、伝統、ヒエラルキー……チャールズ3世の戴冠式は、恐ろしいほど厳格なプロトコルに従っている。歴史家で王室の専門家であるニコレッタ・グラーチェが、このプロトコルを説明してくれた。

国王チャールズ3世の戴冠式が執り行われる。ロンドンのウェストミンスター大聖堂で1時間半にわたって行われるこの行事には、最高位の貴族ら2000人の招待客が出席する。英国王室を専門とするアメリカ人歴史家、ニコレッタ・グラーチェが、この儀式を司るプロトコルの秘密を読み解く。

ティアラか帽子か。

「いま、バッキンガム宮殿では、大きな論争が起きています。過去3回の戴冠式では、公爵夫人やロイヤルファミリーのメンバーはダイヤモンドのティアラを着用しました。しかし、ダイアナ妃の時に見られたように、チャールズ3世は注目を集める女性に嫉妬し、自分の影響力を低下させられることを恐れています。そのため、義理の娘やほかの貴族はティアラをつけることを許されないかもしれません。そして、カミラ王妃だけが、ティアラに代わり王冠を身につけることになります。一方で、公爵夫人たちはティアラを身につけたいと反論しているようです」

ドレスコード

「プロトコルが伝統に忠実であるならば、女性はロングドレスに身を包むでしょう。そうでない場合は、膝丈のスカートを着用するでしょう。胸の谷間を見せるのは御法度。色は、王族のための紫と、軍人のための赤を除いて、すべての色が許されます。若い人はスティレットを履き、年配の女性はミドルヒールも許容されます。ティアラが禁止されている場合は、花や羽で飾られた帽子や髪飾りが見られるでしょう。要するに何でもあり。ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃の結婚式で個性的な帽子を被ったベアトリス王女のサプライズが期待されています。過去に楕円形やメープルの葉がデザインされた髪飾りで私たちを驚かせてくれたキャサリン妃のヘアアクセサリーも期待されます」

「グリーンキング」のエンブレム

“緑”は、非常に存在感がある色になるでしょう。チャールズ3世は、環境王政を体現したいと考えています。戴冠式の招待状には、春の花やテントウムシ、そして「グリーンマン」というイギリスの民話に登場する人物が描かれており、チャールズ国王の“造園家”の一面が反映されています」

席順

「席順のルールは非常に厳格です。ロイヤルファミリーのメンバーや公爵夫妻は最前列に座ることになります。ハリー王子とメーガン夫人が招待状を受け取った時に、その席順が屈辱的なものにならないよう、何カ月にもわたる交渉が行われたこともわかっています。たとえばハリー王子が嫌うアンドルー王子の隣にならないように配慮がされました。もしメーガン夫人が招待を断らなければ、いまやウェールズ公妃であるキャサリン皇太子妃の前では頭を下げなければならなかったでしょう」

ソワレのマナー

バッキンガム宮殿で戴冠式後に行われるソワレには、限られたごく一部のエリートだけが参加できます。そして、国王とカミラ王妃が立ち上がるたびに、彼らも立ち上がらなければなりません。食事が終わったら、お皿に触れることは許されません。バッキンガム宮殿ではニンニクは禁止されており、夕食の際には、おおよそ天気と花束について話す「夕食の会話のプロトコル」が存在します。そして、花束にはマートル(ギンバイカ)が含まれていなければなりません。テーブルでは、国王はまず右側にいる人に話しかけ、次に左側にいる人に話しかけます。ゲストは誰もロイヤルファミリーに触れてはなりません。好きに振る舞えるのは、王の犬だけでしょう……」

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