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全国のロープウェイを乗り尽くした鉄道マニア・中島信が案内する、その狭くて深い世界

  • 2023.5.5
新穂高ロープウェイ

「元々鉄道が大好きで、全国の電車に乗ったんですね。その後に気になったのがロープウェイとゴンドラでした。実はどちらも鉄道の仲間なんですよ。コンプリートしたさにどちらも全て乗りました。できるだけ美しく撮影をしたいので、毎回天気との勝負。これがなかなか大変でね……」とニコニコしながら話すのは、中島信さん。

このコメントからもわかる通り、筋金入りの鉄道マニアだ。「だから、山に興味があるわけではないんです(笑)。でもロープウェイに乗るときには、最低でも3往復はします。支柱の間隔を確認したり、撮影スポットを見定めたり、とやることが多くて。機体のデザインが変わればまた乗って……と何度も乗るうちに、山だからこそ感じられるダイナミックな季節の変化に癒やされるようになりましたね」

「ロープウェイのなによりの特徴は、『宙を引っ張られて』進むこと。なかでも時刻表があるのがロープウェイ、時刻表がなくて秒単位で次々に進んでいくのがゴンドラ、といったように法的な区別はあるのですが、ゴンドラがロープウェイを名乗っているケースが少なくありません。ここでも一緒くたにご紹介します」

世界的に見れば、スイスやオーストリアなどがロープウェイの先進国。そもそもは雪山の移動手段として発達してきたものだからだ。日本でもその傾向は強く、全150機のうち約3分の2が東日本で運行している。さらにそのうち半数が冬のみの営業なのだという。今回は、これから新緑の時期にも楽しめる3パターンのロープウェイを教えてもらった。

大自然の風景を存分に味わうなら

「『中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ』は、山麓のしらび平駅から中央アルプス宝剣岳の中腹にある山頂の千畳敷駅までを繋ぐ、日本最古の山岳ロープウェイ。千畳敷駅の標高は2,612mと国内最高で、かつ、この2つの駅の高低差は950mとこちらも日本最大。登り始めは春の光景でも、頂上に近づくにつれてまだまだ冬の名残が感じられる、といったように2つの季節を味わえる場所です。一方で『苗場ドラゴンドラ』は、5,481mと日本最長の長さを誇るゴンドラ。乗車時間も30分弱と、ゆったり景色を楽しめますよ」

中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ
長野県『中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ』
苗場-田代ゴンドラ
新潟県『苗場ドラゴンドラ』

Information

長野県・中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ

営:通年営業
往復2,030円〜3,050円

Information

新潟県・苗場ドラゴンドラ

営:2023年の春の営業は4月29日から6月18日まで。
往復2,500円

こんなところも走るのか!

『かんざんじロープウェイ』は湖の上を渡る、日本唯一のもの。ほかでは味わえない浮遊感を得られるはずだ。「ロープウェイは浜名湖を見下ろしながら、対岸の大草山へ向かいます。山頂の大草山駅は自動演奏楽器をコレクションする『浜名湖オルゴールミュージアム』に直結していて、『大草山展望台』もありますよ」。

サファリパークと遊園地が併設されている『姫路セントラルパーク』を走るのは、ゼブラ柄が特徴の『スカイサファリ』。「ここではサイ、ラクダなどが過ごすサファリの上空を通過していきます」。気分はサファリを飛ぶ鳥のようだ。

かんざんじロープウェイ
静岡県『かんざんじロープウェイ』
スカイサファリ
兵庫県『スカイサファリ』

Information

静岡県・かんざんじロープウェイ

営:不定休
往復1,100円から。詳細はHPで確認を。

Information

兵庫県・スカイサファリ(姫路セントラルパーク)

乗車は無料だが、別途『姫路セントラルパーク』の入場料が必要。
営:通年運行

グッドデザインな箱

ロンドンの2階建てバス、ならぬ、新穂高の2階建てロープウェイ。このスタイルは国内でここだけ。「ロープウェイの駅も2階構造と、ここだけの仕様になっています。やはり2階席は人気で、順番待ちをする人も少なくないですね」。

ほぼスケルトンの『長崎ロープウェイ』は周囲が360度見渡せる仕様。「長崎は函館山ロープウェイ、摩耶ロープウェイとともに日本三大夜景を楽しめるロープウェイのひとつです」。その眺望を余すことなく楽しめるグッドデザインだ。

新穂高ロープウェイ
岐阜県『新穂高ロープウェイ』
新穂高ロープウェイ
長崎県『長崎ロープウェイ』

Information

岐阜県・新穂高ロープウェイ

往復3,300円。
営:通年営業(メンテナンスのため2023年は5月8日から8月9日まで一時休業)

Information

長崎県・長崎ロープウェイ

往復1,250円。
営:通年営業

profile

中島信

中島 信

なかじま・まこと/1956年、東京都生まれ。歯科医師として働く傍ら、弾丸旅行でロープウェイに乗る。著書に『絶景!日本全国ロープウェイ・ゴンドラコンプリートガイド』(扶桑社)など。

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