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こどもの日に読みきかせしたい絵本2冊をご紹介【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】

  • 2023.5.3

ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめするweb連載「親子の読み聞かせに。今日の絵本だより」。過去にご紹介した絵本の中から、こどもの日に読み聞かせしたい絵本を2冊ご紹介します!

かっぱのこいのぼり

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『かっぱのこいのぼり』
内田麟太郎/作 山本孝/絵 岩崎書店 本体1430円

もうすぐ、こどもの日。
わが家にはおひなさま、よろいかぶと、こいのぼりがあるのですが、飾る係としては一番気分が上がるのが、こいのぼり。
一番出し入れが楽というのもあるのですが、こいのぼりを「空に泳がせる」という発想が好きです。
他の節句人形にはない、特別な開放感。
こいのぼりだけがアウトドア。
『かっぱのこいのぼり』は、そんなわくわくがぎゅっとつまった一冊です。

ここは伊予の国、松山はかっぱまち。
路面電車を真ん中にして並ぶ商店街、笑顔で歩く家族連れや学生たち。
ここが水の底ということをのぞけば、私たちとおんなじ暮らし。
行き交うみんなは、どことなくうきうきしている様子です。
「むりもありません。
あしたは、五月の あおぞらよりも、もっと もっと
こころの はれわたる日ですから。」

特別な明日のために、お風呂で体をきれいにするかっぱの家族。
はるばる遠くから、かわうそ一家も訪ねてきました。
さんしょううお、なまずやえび、いろんな水の生きものが集まってきます。
夜が明けて、さあ、いよいよその日になりました。
広場に集まったみんなは、並んでごろりとねころんで……。

私は『かっぱのこいのぼり』を読んでから、「こいのぼり」というとこの本を思い出すようになりました。
それくらい見事な、わあっと息をのむような、クライマックスが待っているのです。
それはもう、こいのぼりってこんなに素晴らしいものだったのかと、ページをめくる手がとまってしまうほど。
ずっと見入ってしまうほど。
ああ、こどもの日は、こんな景色が待っている、かっばまちに行きたいな。

この感動をあなたにも、そしてもちろんこどもたちにも。
ぜひ実物をご覧くださいね。

とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり

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『とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり』
石井聖岳/作 講談社 本体1650円

今年ももうすぐ、こどもの日。
昨年はかっぱの家族のお話をご紹介しましたが、今回は元気なとらの家族のお話、『とらのこさんきょうだい かえうた かえうた こいのぼり』をご紹介します。

「やねよ〜り〜 た〜か〜い こいの〜ぼ〜り〜♪」
とらのお父さんが歌いながら、家の前にこいのぼりを出しています。
すると3兄弟のこどもたちが、家から出てきて大はしゃぎ。
「こいのぼりったら、こいのぼり!!」
こいのぼりったら、こいのぼり!!」
そして、替え歌を歌います。
「くもよ〜り〜 た〜か〜い こいの〜ぼ〜り〜♪」
屋根でなくて雲、すごい!
表紙の絵のようにみんなでこいのぼりに乗って、ゆうゆうと大空散歩、気持ちよさそうです。

「かっこいい うた、かんがえるねえ。」
とお父さんに言われて、
「じゃあ、つぎは 2ばん!」
「いえよ〜り〜 で〜か〜い こいの〜ぼ〜り〜♪
おおき〜な〜 からだ〜が〜 おもたそう〜」
あらあら、大きすぎるこいのぼりの下で、みんなのおうちがつぶれそうですよ。

お父さんがほめ上手なものだから、こどもたちの替え歌はどんどん続きます。
へびより長いこいのぼり、何でも食べるこいのぼり、それからそれから……。
次々できる愉快な替え歌を一緒に歌うのも楽しいですし、オリジナルの替え歌を作ってみても!
ふだんは絵本をあまりじっと聞かないような、おふざけ大好きなお子さんこそ、盛り上がるかもしれませんよ。

こいのぼりや鎧兜を出して飾って、柏もちやちまきを用意して、菖蒲湯はどうする……と、お節句には準備のあれこれに追われがちなのが大人ですが。
本当はラストのお父さんのように、こどもたちの成長を肌で感じられたら、それが一番なんですよね。
こいのぼりのイベントも、全国的に中止が相継いでいる今年ですが、来年はきっとまた、今年とは違うこどもの日。
一回り大きくなった子どもたちと、大空を泳ぐこいのぼりを、お外でのびのびと見上げられますように。

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

※過去にkodomoe webに掲載された記事の中から抜粋して編集しています。

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