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アートに触れる休日を! いまこそ行きたい展覧会4選。

  • 2023.5.2
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消費社会のポップと陰鬱が共存する世界。

『アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄Alex Da Corte Fresh Hell 』

人気アニメーションのキャラクターや美術史上の人物に自ら扮し、メディアが伝える「イメージ」とは何かを問いかけるアレックス・ダ・コルテの日本での初個展。たとえば、ホラー小説とコンタクトレンズの広告からイメージを援用し、スクリーンを跳ね回るボールに若い女性が悲鳴をあげる作品『開かれた窓』では、ビビッドなイメージの中にショウビズ界のステレオタイプな幻想を皮肉たっぷりに暗喩してみせる。生まれ育ったアメリカの消費文化のポップと、断絶や孤立が社会問題となった現実の陰鬱が共存するその作品世界に、展覧会タイトルのとおり「今度は一体何なんだ?(What fresh hell is this?)」と問い返したくなる大型映像インスタレーションなど、11点を一挙に展示する。

『アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄Alex Da Corte Fresh Hell 』会期: 4/29 〜9/18会場:金沢21世紀美術館 (石川・金沢)営)10:00 〜17:30最終入場(金、土は〜19:30最終入場)休)月、5/14、7/18料)一般¥1,200●問い合わせ先:tel:076-220-2800www.kanazawa21.jp

胸のすく鮮やかさと、幻惑される眼の悦楽。

『今井俊介スカートと風景』

胸のすくような鮮やかなストライプや水玉などの幾何学パターンが、ひと目見たら忘れられない印象を残す絵画で知られる今井俊介。単純な色と形の組み合わせによる模様をランダムに配置し、それらが歪み波打つことで生まれる形態を写し取り描き出す。具象と抽象、平面と立体、アートとデザインの境界を行き来しながら、独自の洗練された秩序と色彩の感覚を生かした絵画を制作してきた。本展ではスカートをモチーフにした作品群ほか、初期作から最新作まで展示。友人が身に着けていたスカートの膨らみや揺らぎの美しさ、量販店に積み上げられたファストファッションの色彩に強く心惹かれた体験が原点となったという。まるで刻々と変幻する迷彩柄に魅了されるような、視覚の悦楽にハマりたい。

『今井俊介スカートと風景』会期:開催中〜6/18会場:東京オペラシティ アートギャラリー(東京・初台)営)11:00〜18:30最終入場休)月料)一般¥1,400●問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)www.operacity.jp/ag

変容のダイナミズムが呼び覚ます身体感覚。

『大巻伸嗣ー地平線のゆくえ』

空間全体をダイナミックに変容させ、時間感覚やスケール感さえ異化させる幻想的なインスタレーションで知られ、近年はコンテンポラリーダンスの舞台美術でも活躍する⼤巻伸嗣の東北地方初の個展。本展では、⼀枚の薄い布が生き物のように波打つ有機的な動きを見せ、⾝体感覚を呼び覚ます近年の代表作『Liminal Air Space-Time』シリーズのほか、新作を中⼼に展示。環境や他者といった「外界」と、記憶や意識などの「内界」、その境界である「⾝体」の関係性を探り、それらの間で揺れ動く、曖昧で捉えどころのない「存在」に迫る空間を創出する。⻘森県各地の⾵物や⾃然、信仰を取材し、⼈々の声に⽿を傾け、⽣と死が円環を成す死⽣観に辿り着いた作家が紡ぐ再⽣と創造の物語に期待したい。

『大巻伸嗣-地平線のゆくえ』会期:開催中〜10/9会場:弘前れんが倉庫美術館 (青森・弘前)営)9:00〜16:30最終入場休)火料)一般¥1,300●問い合わせ先:tel:0172-32-8950www.hirosaki-moca.jp

「美術」を超えて世界を拓く、アートの学校。

森美術館開館20周年記念展『ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』

現代のアートはますます世界の多様な歴史や文化の観点から考えられるようになり、学校で教えられる「美術」や「図画工作」の枠を超えて成熟してきた。本展では、国語、算数、理科、社会といった教科を切り口に、複合的な領域を横断する芸術表現を通して、「わからないこと」「知らなかった世界」に出合う機会を創出する。世界中の科学研究者が探求してきたように、アーティストたちが常識や既成概念をクリエイティブに超えていく姿勢に注目したい。歴史から身体を解放しようとするクリスチャン・ヤンコフスキーの「体育」、陶芸の化学反応により従来の枠に収まらない自由なオブジェを作り出す梅津庸一の「理科」、いま国際的に最も注目されるヤン・ヘギュの「総合」など、当代の注目作家が揃う。

森美術館開館20 周年記念展『ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』会期:開催中〜9/24会場:森美術館(東京・六本木)営)10:00〜21:30最終入場(火は〜16:30最終入場)無休料)一般¥2,000(平日)、¥2,200(土、日、祝)●問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)www.mori.art.museum/jp

*「フィガロジャポン」2023年6月号より抜粋

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