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エリザベス女王の2倍の総資産を持つチャールズ国王。その財源は?

  • 2023.5.1

母エリザベス女王の死去後、チャールズ3世は王位だけでなく、莫大な財産も相続し、多額の個人資産を有している。

キャンベリーでの国王チャールズ3世。(2023年4月14日)photography: Getty Images

「チャールズ3世の資産はどのくらい?」という問いに対して、英日刊紙「タイムズ」がチャールズ3世の財産を詳しく調べた。4月16日に発表された調査結果によると、国王の資産は6億ポンド(約1,000億円)とされており、例えばデビッド&ヴィクトリア・ベッカム夫妻、歌手のエルトン・ジョン、または有名なイギリスの製パン会社、ウォーバートンズ家の財産を上回っている。昨年のエリザベス女王の資産は3億7,000万ポンド。つまり、息子のチャールズ3世の資産は女王のほぼ倍である。

チャールズ3世はどのように資産を築いてきたのだろうか? 倹約家として知られているチャールズ3世は、ビジネスセンスに優れており、あらゆる分野でお金を稼ぎ、亡き母よりも多く富を築いている。1990年には「Duchy Originals(ダッチー・オリジナルズ)」というブランド名でビスケットを発売した。国王の暮らすハイグローヴ・ハウスの敷地内で作られたこの商品は、当初、ハロッズとフォートナム&メイソンで販売され、その後、王室ご用達スーパー、ウェイトローズでも販売されるようになった。そして、ビスケットに続き、ビール、ハーブ、園芸用具などのアイテムが登場した。

1990年代半ば、ダイアナ妃との離婚が成立した後、チャールズ3世は慎重に財政を立て直した。彼の離婚には1,700万ポンド(約2億4,730万円)もの費用がかかった。かつてウィンザー家の側近のひとりだった人物は「タイムズ」に対し、「国王は資産が減った後、綿密に財政を立て直すことに成功しました。それほど莫大な金額ではありません。数千万ポンド程度です。カミラ王妃がたくさんのお金をもたらしたという噂がありますが、それはまったく正確な情報ではありません」と語っている。

コーンウォール公領

チャールズ3世は、70年間にわたり支配してきたコーンウォール公国を相続したことから資産の一部を得た(一方、英国王室に属するもうひとつの主要財産、ランカスター公領は現在、君主ランカスター公が管理し、収益は君主に帰属している)。グレートブリテン島の南西端に位置するこの土地によって、彼はかなりの資産を蓄えることができた。その証拠に、2011年から22年にかけて、コーンウォール公領の年間利益は42.6%、公領の富は50%(10億4,000万ポンド、約1兆4,320億円)増加した。昨年度、チャールズ3世は税引き前で2,540万ポンド(約3億5,990万円)の収益を得ている。

不動産王

同時に、チャールズ3世は不動産投資でも収入を増やしており、ロンドン、ミルトンキーンズ、コーンウォールの商業施設を貸し出している。また、環境保護や有機農業を奨励するために、利益の上がるプロジェクトも立ち上げてきた。たとえば、ロンドンから南西に170キロ離れたハイグローヴ・ハウスは国王のお気に入りの場所で、グリーンファームで収穫された農産物の販売も行っている。オンラインサイトでは、蒸留酒、チョコレート、ジャム、そしてハイグローヴ・ハウスで作られた香水(1本約2万6千円で販売)などを購入できる。

9月に雑誌「フォーブス」が報じたように、チャールズ3世は、ルーマニアのトランシルバニア地方に自然保護施設とクラフトセンターを所有するオーナーでもある。どちらもベッド&ブレックファスト(宿泊施設)として営業している。

サドリンガム・ハウスとバルモラル城

9月にエリザベス女王が亡くなってから、国王となったチャールズ3世は、元々の個人資産に加え、多くの財産を受け継いだ。サンドリンガム・ハウスとバルモラル城の領地は、最も貴重な財産のひとつである。

ノーフォークに位置する領地サンドリンガム・ハウスは、160年以上にわたり王室の所有物であり、8000ヘクタールに広がっている。300棟の建物、特に自然保護区に指定された豪華別荘があり、ウィンザー家はここで毎年クリスマスを祝っている。昨年、不動産業者のマッカーシーストーンはその価値を5,500万ポンド(約8億1200万円)に評価した。また、周辺の農地の価値の見積もりに基づくと、この地所全体の価値は約2億4,500万ポンド(約360億円)になるとされている。ビジネス面では、果樹園で採れた農産物は、サンドリンガムアップルジュース社に供給され、160ポンド(約2万3500円)の料金でツアーに参加することも可能だ。これも新たな収入源となっている。

一方、スコットランドには、1852年にアルバート公がヴィクトリア女王のために取得したバルモラル城がある。マッカーシー・ストーン社によって6,000万ポンド(約89億4000万円)と評価されたバルモラル城(9月8日にエリザベス女王が死去した場所)は、2万ヘクタールの山、森、湖に囲まれ、他にも150の建物がある。その中には、18世紀に建てられた邸宅で、チャールズ3世が20年以上にわたってスコットランドの私邸として使っていたバークホールがある。バルモラル城の総資産は2億1000万ポンド(約301億3100万円)と言われている。

サンドリンガム・ハウスとバルモラル城は両方とも故エリザベス女王の私的財産として所有されていた。そのため、チャールズ皇太子は相続税を支払う必要があると考えられるが、1993年にジョン・メージャー首相が導入した法的例外「王室相続税例外」により、英国の君主が死去した際、君主の資産が相続税の対象から除外されることになった。この措置は、複数の君主が何年にもわたって死亡した場合、王または女王の遺産が毎回40%ずつ減少して消えることを防ぐために導入された。通常、相続は、32万5千ポンド(約4939万円)を超える資産に対して40%の税金が課せられるが、この例外により、女王の遺産は免除された。

エリザベス女王の遺産

また、チャールズ3世は母親エリザベス女王から多額の投資ポートフォリオを受け継いでいる。これは主に株式と債券で構成されており、現在のところ約1億ポンド(約14億8000万円)の価値があると推定されている。さらに、女王のサラブレッド繁殖事業や、切手、宝石、美術品などの個人的なコレクションもあるが、その価値は「タイムズ」も把握しきれていない。

5月6日に戴冠式を予定しているチャールズ3世が父親から何を受け継いだかは、フィリップ殿下の遺言が公開されていないため不明である。エディンバラ公フィリップ殿下は長男であるチャールズ3世に美術コレクションを残したと言われており、王室コメンテーターでジャーナリストのデビッド・マクルーア氏(2022年に死去)は230万ドル(約2億5200万円)相当と推定している。

クラウンの資産

新国王チャールズ3世は、世界で最も有名な王宮やクラウンジュエルを含む、推定420億ドル(約4兆6,200億円)の資産を管理する機関の所有者にもなった。ただし、バッキンガム宮殿、ウィンザー城、ロンドン塔を含むこれらの資産は、直接国王に属しているわけではなく、「王の名のもとに」所有されている。これは「クラウン・エステート」と呼ばれ、王室の財産価値は156億ポンド(約2兆1830億円)といわれている。チャールズ3世はこれらの施設を自由に利用することはできるが、所有しているわけではない。たとえば、イースト・エアシャーのダンフリーズ・ハウスは、その敷地と貴重な調度品、800ヘクタールの土地を保存するために設立された財団が有している。ハイグローブやレニウィモッドもコーンウォール公国に属しているが、最近、その支配権が父の後を継いでウィリアム皇太子に移った。

「クラウン・エステート」は毎年利益を生み出している。この利益は国王にではなく、財務省に支払われ、財務省はその25%を国王に支払う。この収入は、王室の経費に充てられる。

「多くの人々が王室の財政について誤解しています。クラウン・エステートや公爵領を国王が個人的に所有していると思い込むのは誤りです。正直なところ、彼らの財政的な取り決めは、多くの他国の王室や君主たちのものに比べて複雑ではありません。私たちの王室は、多くの人が思っているほど裕福ではありませんし、国王が億万長者だとは思いません」と作家のロバート・ハードマンは「タイムズ」に語っている。

ミニマリズムの力

環境保護に熱心なチャールズ3世は、無駄な出費を避けることで節約してきた。彼は何年も前から、電気を消したり、ワードローブをリサイクルしたりすることに気を配っている。実際、何年も前に買ったスーツや靴をよく履いている。

以前、「私は何かを捨てるのが嫌いな人間なのです」と雑誌「ヴォーグ」に語っていたチャールズ国王。ミニマリズムは、王室にも浸透しているようだ。

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