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【『哲仁王后』の歴史解説】評判が悪かった哲宗をドラマはどう描いたか

  • 2023.4.30

BSテレ東で放送中の『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』は、大統領官邸の天才チェフであるボンファン(チェ・ジニョクが演じている)が陰謀に巻き込まれてプールに落ちてしまい、運命のいたずらで朝鮮王朝時代の王妃にタイムスリップしてしまうというドラマだ。

その際、ボンファンはキム・ジョンヒョンが演じている25代王・哲宗(チョルジョン)が「酒と女で堕落した国王」であることを熟知していた。

そのことがまさに、現代における哲宗の評判を物語っていた。実際、哲宗は150年後の韓国でどのように思われていたのか。

『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』の中で、哲宗が操り人形にされている部分が多く出てくる。何の権限もなく後ろで糸を引く人間がいるという想定だった。これは果たして事実なのか。

ペ・ジョンオクが演じる純元(スヌォン)王后は、1850年代において女帝のように権力を持っていた。その純元王后に指名されて国王になったのが哲宗であった。彼は田舎で農業をしていたのに、操り人形に最適な人物として急に国王に即位させられたのだ。

キム・ジョンヒョン(写真左)が哲宗に扮した(写真=© STUDIO DRAGON CORPORATION)
女帝に逆らおうとする国王の姿

当時哲宗は漢字をよく知らなかったと言われている。『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』の中でも哲宗が漢字の文章を逆に読んでいるシーンが登場していたが、これは哲宗が漢字を読めなかったことを端的に表す場面となっていた。

このように無学な国王であった哲宗は常に純元王后の指図に従って動いていた国王であり、自分では何ら主体性を発揮することができなかった。その挙句に酒を極端に好み、女性関係も派手であった。それゆえ、庶民のための政治を行なうことはできなかった。

こうして哲宗の評判は最悪となり、それは現代でも同様だった。しかし、『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』では哲宗が「操り人形でありながら自分の主体性を必死に出そうとしていた国王」として描かれていた。ボンファンの魂が入り込んだ王妃に対して様々に教えを乞う場面も出てくる。確かに、哲宗は国王として立派な業績を上げようと努力していたのだ。

このように、ドラマは評判の悪い哲宗を違うイメージで描くような意欲作であった。実際、『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』は朝鮮王朝の歴史を本格的に扱っている部分も多く、権力を持った女帝に逆らおうとする国王の姿もしっかり描かれていた。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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