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「このイクラ、いくら?」「猫が寝転んだ」…ダジャレを言いたくなる人の心理は?専門家に聞く

  • 2023.4.28
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ダジャレを言う人の心理状態は?
ダジャレを言う人の心理状態は?

「このイクラ、いくら?」「猫が寝転んだ」などのように、音が同じ言葉を掛け合わせる言葉遊びは「ダジャレ」「おやじギャグ」といわれます。家庭や職場などでは、ダジャレをよく言う人がいますが、なぜなのでしょうか。ダジャレを言う人の心理状態について、心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

周囲を和ませる気持ちが強い

Q.ダジャレをよく言う人の心理状態について、教えてください。ダジャレを言うときにどのような心理が働いているのでしょうか。

小日向さん「もともとダジャレを思い付く人は、音韻的関連性に敏感な人であると考えられます。音韻的関連性とは、代表的なダジャレである『布団が吹っ飛んだ』の『布団=ふとん』と『吹っ飛ん=ふっとん』のように、一文の中にかぶる『韻』に反応しやすい性質のことです。この音韻的関連性は、脳の構造上、女性より男性の方が強いといわれています。

ただ、そうした器質的なものでなく心理状態として考える場合は、『面白く韻を踏んで周囲を和ませたい』という良心的な心理状態がメインにあると思います。また、ダジャレは誰も傷つけません。そのため、ちょっとしたエンターテインメントと考えた場合、披露するハードルが低いということも言えると思います」

Q.ダジャレを言うことで、心理的にどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。

小日向さん「心理的なメリットは、自分のダジャレで他人が笑ってくれたときの喜びではないでしょうか。自分の言動で他人が楽しい気持ちになってくれることは、自己の承認欲求を満たしてくれるものなのです。

心理的デメリットとして考えられるのは、ダジャレがスベってしまったときの気恥ずかしさですが、実はスベっても当の本人はその白けた空気感を自虐的に楽しんでいることが多いものです。むしろその場に共感的羞恥が強い人がいた場合、言われた相手の方が白けた空気を気恥ずかしく感じてしまうということが起こり得るのではないでしょうか」

Q.他人からダジャレを言われた場合、どのように対応すればよいのでしょうか。ダジャレを言った人の機嫌を損ねないための対処法について、教えてください。

小日向さん「ダジャレは場を和ませたり、相手に笑ってほしかったりして言うもの、つまり発する方の好意的な心情からきているものです。そのため、たとえそれが面白くなくても、愛想笑いをしてあげたり、気がおけない人の場合は、『面白くないですよ!』と冗談を言ってあげたりするのが、大人の対応だと思います。

そうした対応が嫌だと感じる場合、ダジャレが嫌いなのではなく、その人のことが嫌いなのだと考えた方がよいかもしれません。その場合はダジャレへの対処方法という視点ではなく、苦手な人について、『相手との関係性を鑑みて、どう対応するのが自分にとって一番ストレスが少ないか』という視点で考えてみましょう」

Q.他人との会話の最中についダジャレを言ってしまう癖がある場合、その癖を直すことは可能なのでしょうか。

小日向さん「ダジャレに限らず癖全般に言えることですが、まず『その癖が出てしまう場面』を分析し、その場面になったら気を引き締めるという意識が大切です。

例えば、会議や商談などの際に、場を和ませようとついダジャレを言ってしまう場合、『今日は話の最中にダジャレを言わない』と事前に自分に言い聞かせてみましょう。また、友人など気の置けない人にダジャレを言ったら指摘をするよう頼んでおくのも有効です。

しかし、ダジャレをよく言うことで他人から嫌われてしまう関係性であれば、その人との関係性や自身のパーソナリティー全体を点検した方がよいと言えます。個人的には、ダジャレそのものを『修正すべき癖』として深く考える必要はないと思います」

Q.ちなみに、「年を取るとダジャレが面白くなる」といわれていますが、なぜでしょうか。

小日向さん「やはり人生経験の豊富さからくるボキャブラリーの多さが要因だと思います。それに加え、『ダジャレを言う→そのときの周囲の反応』という実際の場数を踏むことによって、人が面白がる場面、面白がる韻などを学習するために面白くなってくるのだと思います」

オトナンサー編集部

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