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写真とは沈黙の対話、より親密な手法を探る。

  • 2023.4.28

京都を舞台に開催される国際的な写真祭KYOTOGRAPHIE。初開催から11周年を迎えた今年のテーマは、BORDER=境界線。今回の展覧会に出展した6人の女性アーティストにインタビュー、彼女たちが向き合う“境界線”とその表現に迫る。

Joana Choumali

「写真とは私たちが当たり前に捉えていることに触れる素晴らしい手段。私と一緒に考えていただく機会に、皆さんを招待しているのです」

豊かな色彩と詩的な描写でジョアナ・シュマリが向き合うのは「私たちは誰なのか」との問いだ。「世界の一部を記録するとともに、作品を通してオープンな会話をしながら熟考を重ね、また既存の境界線を曖昧にしていくのです。こうやって、私自身が作品の内に自分を見いだしています」

『I CHOOSE PEACE/series ALBA’HIAN』 2022年 ©Joana Choumali

彼女ならではの魅力あふれる表現に、布地にプリントした写真に刺繍を施した作品がある。

「刺繍は、言葉で表現できない感情のあらわれです。私の精神世界が写真という外の世界と溶け合っていく。写真に触れながら糸を刺していく、瞑想ともいえるこの時間が好きなんです」

両足院で展示されるのは、「Albaʼhian」(夜明け)のシリーズ。朝陽に包まれたアビジャンの風景を捉えると同時に、ジョアナらしいアイデンティティの探究ともなっている。昨年他界した母に別れを告げる想いで制作した作品も含まれている。

『MAYBE I GREW UP A LITTLE TOO SOON/series ALBA’HIAN』 2022年 ©Joana Choumali

「このシリーズを日出る国日本で紹介できることはとても意味深いと感じています」

出町桝形商店街でも作品を展示、京都とアビジャンの商店街の人々を刺繍で結ぶ。

「ふたつの国の境界線を、曖昧にしたのです」

よりパーソナルで緻密な手法で写真の限界にも挑みたいと語るジョアナの、心の奥深くに触れるような作品の数々。深い思索の時間から生まれ出る喜びや希望のエネルギーが静かに伝わってくる。

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ジョアナ・シュマリ1974年生まれ。コートジボワールのアビジャンを拠点に活動するビジュアルアーティスト/写真家。広告代理店でアートディレクターとして働いた後、写真家として独立。アフリカに焦点を当て、アフリカの無数の文化について学んだことを表現する。

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「Alba’hian」両足院出町桝形商店街DELTA/KYOTOGRAPHIE w Permanent Space詳しくは「KYOTOGRAPHIE」のHPにて

KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭 2023『BORDER』●開催中〜5/14www.kyotographie.jp

*「フィガロジャポン」2023年6月号より抜粋

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