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「この人は何も考えていないな…」これがないと社会人としてレベルが低いと思われる必須のビジネススキル

  • 2023.4.27

仕事ができる人とできない人は、何が違うのか。電通コピーライターの荒木俊哉氏は「仕事上のあらゆる場面で必要とされる『ビジネスパーソン必須の能力』が言語化力です。この『言語化』がうまくできなければ、『あっ、この人は何も考えていないな』『あの人は何が言いたいのかよくわからない』と、社会人としてのレベルをかなり低く見積もられてしまいます」という――。

※本稿は、荒木俊哉『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

ノートパソコンとタブレットを同時に使用する人
※写真はイメージです
「言語化力」が急激に高まる2分のメソッド

「言いたいことはあるのに、うまく言葉にできない……」。

この「言語化力」。会議、商談、プレゼン、レポート、企画書、報連相など、仕事上のあらゆる場面で必要とされる「ビジネスパーソン必須の能力」です。「言語化」がうまくできなければ、「あっ、この人は何も考えていないな」「あの人は何が言いたいのかよくわからない」と、社会人としてのレベルをかなり低く見積もられてしまいます。

では、そんな「言語化力」が急激に高まるメソッドとは何か。

それが「頭に思いついたこと」をA4一枚の「メモ」に次々と書いていくというだけのシンプルなトレーニングです。ただし、所要時間は「1枚につき2分」です。これを1日3枚、計6分書く。これを毎日の習慣にする。

たったそれだけで、他のどこでも学べない「言語化力」が短時間で飛躍的に鍛えられます。2週間もあれば「あれ? 言葉がどんどん出てくる!」と、間違いなく効果を感じられるでしょう。

【タスク管理】もっと仕事のスピードをあげたい

「タスク管理」をテーマにメモを取ってみましょう。

もっと仕事を効率的にこなしたい。仕事を遅らせてチームメンバーやクライアントに迷惑をかけたくない。このように、自分の仕事の進め方に少なからず悩みを持っている方は多いのではないでしょうか?

日々の仕事に忙殺されていると、自分のタスク管理について見直す機会を持つのはなかなか難しいものです。タスク管理に失敗して先輩やクライアントから怒られてしまった。そんな経験は誰しもあるものですし、それ自体はあまり大きな問題ではないと私は思います。

むしろ、なぜ怒られたのか、どうすれば次は迷惑をかけないのか、失敗から得られる学びを自分の中でしっかりと言語化しておけるか。そこが一番大切なポイントです。

失敗を次に活かせないのは非常にもったいないことですので。

しかし、その反省をきちんと言語化しておかないと、すぐに忘れてしまって、また同じミスを繰り返してしまうことは往々にして起こります。

普段の仕事に直結する非常に有効なトレーニングですので、ぜひ前向きに取り組んでみてほしいと思います。それでは始めましょう。

【図表1】タスク管理のメモ
出典=『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』
まずは過去のできごとに思いを巡らす

さて、2分たちました。いかがでしたか? タスク管理は、職業や職種によって注意すべきポイントが大きく異なってくると思いますので、その具体的な内容に触れることは省略します。ただ、メモを書き出すときのヒントを少しだけお伝えしておこうと思います。

それはメモを書き出すときに、漠然と考え始めるのではなく、まずは「問い」にまつわる過去のできごとに思いを巡らすこと。自分が体験した具体的なできごとを思い浮かべて、それに対して「今の自分」はどう思い、どう感じるかを言葉にしてみる。

そうすることで、あなたならではの「思いや意見」が自然と書き出せるようになるはずです。

【図表2】タスク管理の記入例
出典=『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』

このトレーニングを通じて言語化したいのは、「一般論」ではなく、あなた自身の「思いや意見」です。今回の「問い」であれば、たとえば、仕事のスピードが遅くて怒られたできごとを思い出し、そこであなたが思ったこと、感じたことをメモに書き出していくのがコツとなります。

そうすることで、あなたならではのタスク管理に関するモノの見方が言語化されていくのです。

【報連相】トラブルにどう対処すべきか?

次の「問い」は仕事における「ホウレンソウ」をテーマに言語化力トレーニングを行ってみましょう。先ほどのタスク管理と並んでビジネスにおいて大切なホウレンソウ(報告・連絡・相談)。それがしっかりできる人とできない人では、いざ仕事でトラブルが起きたときに大きな差が出てきます。ぜひご自身のことだと思って読み進めてみてください。

あなたが会社のデスクに座って仕事をしていると、同僚が非常に困った表情を浮かべて近づいてきます。何かあったなと察知したあなたは周囲に聞かれないように小声でたずねます。

あなた「どうしたの?」
同僚「実は協力会社がミスをしてクライアントがカンカンなんだ」
あなた「え、そうなの?」
同僚「こういうとき、どう対処したらいいか教えてくれないか?」

さて、あなたなら何と答えますか?

【図表3】ホウレンソウのメモ
出典=『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』

早速メモに書き出してみましょう。

リスク管理能力の向上にも直結

さて、2分がたちました。いかがでしたか?

仕事の数だけトラブルの種類も、その対処法も異なりますから、今回のような質問をされたとき、常に専門的なアドバイスを返すことは難しいかもしれません。

しかし、どんな仕事にも当てはまるのが、トラブル対策の基本である「ホウレンソウ」。その「ホウレンソウ」をするにあたって大切にすべき考え方やポイントは、きっとさまざまなトラブルに応用が利くはずです。

ただ単純に報告・連絡・相談をすればいいという話ではなく、どのようなポイントに気をつけながら「ホウレンソウ」をするべきか。

そこがあなたの中でしっかりと言語化されていることが、きっと相談してきた相手への有用なアドバイスにつながるはずです。さらに、そのアドバイスでトラブルが無事解決したあかつきには、「困ったときに頼れるやつだ」とあなたの評価も一気に上がることでしょう。

【図表4】ホウレンソウの記入例
出典=『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』

そしてもちろん、自分がトラブルに巻き込まれたときにも役立つのはいうまでもありません。

この「問い」に対する答えがあなたの中で言語化されていくことは、あなたのリスク管理能力の向上にも直結しますので、時間が許す限り、何度も繰り返し書き出しながら、言語化の精度を高めていきましょう。

【メンタル管理】気分が悪い本当の原因は?

さて、次の「問い」では、先ほどのリスク管理と重なる部分もある「メンタル管理」をテーマにしながら言語化力トレーニングを行ってみたいと思います。

あなたは同僚とご飯を食べています。あなたはつい愚痴をこぼしてしまいます。

あなた「最近、仕事中についイライラしちゃって」
同僚「忙しすぎるからじゃないの?」
あなた「イライラの理由が自分でもわからないんだよねぇ。何が原因なんだろう?」

さて、あなたは自分がなぜイライラしてしまうのだと思いますか? 自分が最近仕事でイライラしたできごとを思い浮かべながら、書き出してみましょう。

【図表5】メンタル管理のメモ
出典=『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』
メモでイライラした理由を自己取材

さて、2分たちました。いかがでしたか?

荒木俊哉『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』(SBクリエイティブ)
荒木俊哉『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』(SBクリエイティブ)

誰しも必ず経験する仕事中のイライラ。だからこそ、「あ、今自分、イライラしてる」と気づいたときにどう対処すればいいのか。その原因と対処法をしっかりと言語化しておくことは大切です。

たとえば、仕事が思うように進まずにイライラしてしまうのは、ぜんぶ周囲の人のせいなのか? もしかして自分の相談の仕方が雑だったために、思うように仕事が進んでいないだけではないのか? それとも、自分の余計なプライドがイライラの原因になっていないか?

このように、過去に仕事でイライラした経験を思い浮かべ、当時の自分に対して、なぜイライラしてしまったのかを事細かく自己取材し、メモに書き出しながら言語化していく。

【図表6】メンタル管理の記入例
出典=『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』

そうすることで、自分がイライラする本当の原因やその解決策がきっと見えてくるはずです。

荒木 俊哉(あらき・しゅんや)
電通 コピーライター
一橋大学卒業後、2005年に電通に入社。営業局を経てクリエーティブ局へ。コピーライターとしてさまざまな商品・企業・団体のブランディングに従事。これまで手掛けたプロジェクトの数は100以上、活動は5大陸20か国以上にのぼる。世界三大広告賞のうちCannes LionsとThe One Showのダブル入賞をはじめ、ACC賞、TCC新人賞、NIKKEI ADVERTISING アワード、YOMIURI ADVERTISING アワード、MAINICHI ADVERTISEMENT DESIGN アワードなど、国内外で20以上のアワードを獲得。

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