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出産報告をSNSでする親友にモヤモヤ……【臨床心理士・南舞さんのあるある!ココロの相談室】第3回

  • 2023.4.26

このモヤモヤとした気持ち、どうしたらいい?

体と同じく、ココロも健やかな状態でいたいものだけど、メンタルケアは何かと根性論や「気の持ちよう」で語られがち。悩みは、実は心理学的なテクニックで対処できるものも多いという。そこで、臨床心理士の南舞さんが、読者のお悩みに具体的な対処法をレクチャー。今回のお悩みは、友人の出産報告にモヤッとした話について。

『ずっとやりとりしてきたのに……』

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相談者Iさん:

つい最近出産した親友A子。A子が妊娠中もたびたび会っていて、「生まれたらすぐに報告するからね!」なんて話してくれていました。ところが、ある日、別の友人から、「A子もこの間、出産したね〜」と言われて、知らなかったのでビックリ。そこでA子のSNSを見たら、新生児の写真とともに「生まれました!」の投稿がありました。その一週間後、LINEで個別に連絡が来ましたが、「もう知ってるけど……」と少しモヤモヤしてしまいました。というのも、私は大事な報告(結婚や出産、退職など)は、親しい人には直接伝えるようにし、他人から先に耳に入らないように注意を払うことを日頃から大切にしているからです。

例えば自分が出産をした時は、大切な人には直接LINEで報告をし、その後にSNSにアップしました。だから、A子にとって、自分は”大切な人”に入らなかったのかな?と淋しく感じてしまったのです。

だけど、これって自分の価値観の押し付けかも、と思う気持ちも。素直に祝福だけしてあげられない自分にも嫌気がさします。この感情の納めどころや、友人との今後の付き合い方について悩みます。

臨床心理士・南さん:

お悩みのご相談ありがとうございます。それはモヤモヤしてしまいますよね。だって親友から「生まれたらすぐ報告するね!」って言われていたわけですし、それにIさんの中で「大切なことは直接伝える」とか「自分以外のところから情報が知られないようにする」という価値観があるのであれば、なおのこと。最近はSNSがあるので、望まないタイミングで情報を得てしまうという事故も起きがちで、それによっていい気がしないという声もよく聞きます。さて、「価値観の押し付けなのでは?」という問いについてですが、Iさんは親友に対して「なぜこうしないの?」「こうしないのはおかしい」と言っているわけではないので、押しつけになっているとは思いません。しかし、きっと心の中ではそんなふうに感じているけれど、その気持ちを伝えることもできないというところで葛藤しているのかもしれませんね。また、モヤモヤしている気持ちの中で親友と今までのように付き合っていけるのかというところも不安になっているのではないでしょうか。モヤモヤとした気持ちの調整の仕方と、親友に対してどんな対応をとっていくと良いのか、考えていきたいと思います。

モヤモヤとした気持ちに対してできること

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モヤッとした気持ちを抑えようとしない

『こんなこと感じてはいけない』とか『こんなことを感じる自分はおかしいのではないか』というように、モヤッとした気持ちに対して蓋をしたくなるものですが、それをするとよりそのモヤッとした気持ちやそれに関する出来事がより強く頭に浮かぶという性質があります。自分の価値観に反することが起きたら、誰でもモヤッとするもの。モヤッとした気持ちを抑え込まないようにしましょう。

そこに隠れている感情を知る

モヤモヤとした気持ちをもう少し紐解いてみましょう。そこにはどんな感情が隠れているでしょうか。例えば、報告すると言っていたのに約束を果たしてくれなかったことへの怒りや悲しみ、特別な関係だと思っていたのに、実はそうではなかったのかと思うことへの無念の気持ちなど。自分が今感じている感情に名前をつけることで、感情と程よい距離が取れてその感情の影響を受けづらくなったり、客観的に物事を見つめることに役立ちます。

モヤッとした感情を引き起こす思考を知る

感情がわかってきたら、それらを引き起こしている思考や自分の考えを振り返ってみましょう。Iさんの場合、『大事な報告(結婚や出産、退職など)は、親しい人には内々に直接伝えるようにし、外から先に耳に入らないように注意を払うことを大切にしている』という考えがありましたよね。これが自分だけでなく相手もそうすべきという思考があったりしませんか? あるいは、『直接伝えてこないのは、私との関係がどうでもいいものだと思っているからに違いない』など。『~すべき』とか『~に違いない』という思考が強くなると、モヤッとした感情が引き起こされやすくなると言われています。

モヤッとした気持ちをアサーティブ・コミュニケーションで伝えよう

アサーティブ・コミュニケーションとは、『相手のことも自分のことも大事にする』コミュニケーションのことです。アサーティブコミュニケーションでは、相手のことを責めたりするのではなく、でも自分の気持ちも誤解なく伝えることを大切にします。例えばIさんの場合だと、『出産おめでとう。報告してくれてありがとうね。あなたが大変だったのはとても分かるんだけど、出産報告を先にS N Sで知ったのはさみしかったんだよね』というような感じで伝えてみると、攻撃的にならず、でも自分の気持ちも相手に伝えることができると思います。ただし出産直後は何かと大変な時でもありますので、伝えるタイミングは選んだ方が良いかもしれませんね。

伝えることでモヤモヤが解消することも

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カウンセリングをしていていつも感じることですが、人の心を察するというのは難しいことだなと思います。察することが難しいからこそ、目の前のクライアントさんに今どういう気持ちでいるのかを語ってもらうことは不可欠なのです。これはカウンセリングに限ったことではなく、日常生活にも当てはまるのではないでしょうか。わからないからこそ相手に問いかけたり、逆に自分の気持ちを伝えて理解してもらうというやりとりをすることが必要なのだと思います。「言われるまで気づかなかった!」ということって、案外多いもの。Iさんが親友と今後いい関係を築いていくためにも、自分の気持ちと向き合う時間を作ってみると良いかもしれませんね。

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