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海外旅行後に送られてきた利用明細に衝撃…現地でクレジットカードを使う時に絶対やってはいけないこと

  • 2023.4.26

連休に海外旅行を計画している人も多いだろう。経済コラムニストの大江英樹さんは「海外でクレジットカードを利用する際、円での決済を選ぶと手数料が10%を超えることがあるので気を付けたほうがいい」という――。

アンティークのヨーロッパの地図の上に2冊の日本国旅券
※写真はイメージです
日本人観光客はまだまだ少ない

先月、10日間ほど海外旅行に出かけました。行き先はスペインのサン・セバスティアン、フランスのシャンパニャック・デ・ベルエアーという田舎の村、そしてパリです。それぞれ3日間ずつ滞在したのですが、3年ぶりの海外旅行ということもあり、久しぶりに開放感を味わってきました。ところが、行きも帰りも飛行機は日系航空会社であるにもかかわらず日本人の乗客は1割程度しかいません。海外からの観光客は急速に増えているものの、日本から海外旅行へ出かける人は、やはりまだまだ少ないようです。

パリは燃えていない

パリでは、話題になっているマクロン大統領の年金制度改革に反対するデモにも遭遇しました。ちょうどフランス憲法院が年金改革法案を合憲だと判断した日にパリにいましたので、大きな騒動が見られるかもしれないと思っていましたが、日本のメディアが報道しているような派手なデモはありませんでした。報道ではLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の本社内にデモ隊が突入となっていましたが、せいぜい数十名が発煙筒を持って侵入した程度で現地では大きなニュースにはなっていません。たまたま前週にLVMHグループを率いるベルナール・アルノー氏の個人資産が2000億ドル(約26兆3000億円)を超えたと報道されたことから、「財源はここにある!」という嫌がらせ程度のものだったようです。

街での市民は普段と何も変わらない暮らしをしており、子どもたちも遠足に出ていましたし、オルセー美術館も大規模デモ当日ですら、普通に開いていて多くの見学者がいました。印象からすれば99.9%はほとんど影響なく、ごく一部のデモ隊だけが気勢を上げているという印象でした。私達が泊まっていたホテルもデモの最終到達地点バスティーユ広場に近いところだったのですが、さほど騒ぎも聞こえず、街は普通通りでした。昔、ルネ・クレマン監督の映画で『パリは燃えているか』というのがありましたが、今回、パリは全く燃えていなかったようです。

カード以外は使わなかった

今回、3年ぶりに欧州を訪ねてみて感じたのは、キャッシュレス化が一層進んでいるということです。日本でも最近は交通系ICカードやQRコード決済などでのキャッシュレス化は進んでいますが、フランスではかなり小さなお店や屋台のようなところでもカード決済ができましたので、クレジットカード以外はまったく使いませんでした。

私はもう10年ぐらい前から海外に行くときにお金を両替することはほとんどしていません。最悪のことを考えてドルやユーロを1万円分ぐらいは持って行きますが、あとは基本、現地での支払いは全てカードを使っています。また、現地でどうしても現金が必要になった場合はATMでキャッシングをしています。その方が成田や羽田の窓口で両替するよりもレートが有利だからです。

タクシーも全てカードで、これはパリだけではなく、ボルドーから車で2時間以上もかかる田舎の村でもタクシーは全てカード決済でした。どこのお店でも小型の端末を持ってきてテーブルチェックをしますから、実に手軽で便利になったものです。

タッチ決済でお会計する手元
※写真はイメージです
カード決済は円かユーロか

ただ、海外でクレジットカード決済するときに注意すべきことがあります。それは決済通貨をどれにするか? ということです。前述のようにお店では支払いの際に小型の携帯型端末を持ってきます。タッチ型か差し込み型かの違いはありますが、いずれもカードで支払うことになります。

そしてその際、携帯型端末にどの通貨で決済するかが表示されます。ユーロ圏で言えば、ユーロか円かどちらかを選ぶようになっているのです。ユーロにした場合はカード会社が決めたレートで換算されますから、支払いの時点での円金額はわかりません。一方円払いにすると金額が表示されているので、いくら支払うかの金額が円で確定します。その方が安心だと思う人が多いでしょうし、何よりも「円」と「ユーロ」のどちらを選ぶか? と聞かれたら、安心感から瞬間の判断としては「円」を選びたくなるでしょう。でもここに実はちょっとした落とし穴が潜んでいるのです。

通常カードで買い物をした場合の支払い金額は「利用金額(ユーロ)×為替レート(円・ユーロ)×海外手数料」で総額が決まります。この場合の海外手数料はカード会社によって異なりますが、おおよそ1.6~2.5%程度の範囲内になります。これは外貨決済で支払った場合の話です。

誰が手数料を決めるのか?

現地通貨決済の場合はカード会社によって異なるものの、海外手数料はせいぜい上記にあるように2%前後ですし、この手数料は開示されていますので、透明性は高いです。ところが円決済の場合、使用したお店が為替レートを独自に決めることができるようになっているのです。したがって通常のレートよりもはるかに高いレートが適用される可能性があります。

お店にとってみればユーロ決済ならそのまま自分たちの通貨で受け取れるのに対して円決済だとそれをユーロに両替するわけですから、それまでの間に大きく為替レートが変動するリスクもあるため、少し幅を持たせて決めている、ということなのだと思います。つまりお店が悪意を持って上乗せしているわけではないのですが、中にはそうでないお店もあるかもしれません。その場合、カード会社の手数料率1.6~2.5%よりもはるかに高い手数料率、例えば10%を超えるような率になることもあるようです。

実際にレストランで10.4%の手数料がかかった

事実、私たちが食事したレストランで支払おうと思って見たところユーロなら100ユーロ、円であれば1万6300円と表示されていました。私がパリにいた時のレートは1ユーロ146円ですから単純に考えると10.4%もの手数料がかかっていることになります。もちろんユーロでの決済を選んだことは言うまでもありません。

ディナーの席でグラスに注がれる赤ワイン
※写真はイメージです

この場合はたまたま100ユーロというキリの良い数字ですから、大体の為替レートが頭に入っていると、割高だということはすぐわかりますが、これがもっと半端な数字、例えば86とか134みたいな数字だと瞬間的に換算金額は出てきませんよね。ですから円決済ではなく、基本はユーロ決済にしておいた方が良いのです。詳しい人の話によると、中には円決済の方が割安になるケースもないことはないけれど、そういうことはまれで、むしろ損になることの方が多いということです。

旅行から戻ってきてしばらくしてからカードの利用明細が来て、高いことに気が付いてももう時既に遅しです。コロナが一段落して、これから海外で行かれる人も多いと思いますが、カードを利用する場合にどの通貨で決済するかは注意をしたほうが良いと思います。

大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト
大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。

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