「もしかして私、臭っている!?」30代の女性の加齢臭について

「加齢臭」と聞くと、自分には関係ないと思っていませんか？ 今回は、女性の加齢臭についてTCB 東京中央美容外科 千葉院院長の圓田倫永先生に伺いました。

一般的に加齢臭は何歳くらいから発生しますか？

「体臭には汗臭、ワキガ、口臭などさまざまな臭いがありますが、加齢とともに出てくるのが加齢臭です。加齢臭の主な原因は、ノネナールという物質です。ノネナールは皮脂の中のパルミトレイン酸と、体内で活性酸素が脂質を酸化させた過酸化脂質が結びつき、皮膚常在菌によって酸化、分解されることによって発生します。皮脂は毛穴の中にある皮脂腺から分泌され、毛穴を通過して肌の表面に出て皮脂膜という膜をつくるので、ノネナールは肌の表面に膜状に存在していることになります。また全身から分泌される物質ですが、特に頭、顔、首、胸、背中、脇は皮脂腺が多いので臭いが発生しやすいといえます。ではなぜ、加齢臭は加齢とともに出てくるのでしょうか。年齢を重ねることで皮脂腺の中のパルミトレイン酸が増加、また酸化への抵抗力が低下することによりノネナールが増加します。加齢とノネナールの量の関係に関しては、20代～30代前半まではほとんど検出されませんが、30代後半から50代、60代と年齢を重ねるごとに男女の性差に関わらず検出される頻度や量が増加する傾向があるというデータがあります」

龍口 巌, 松岡 龍雄, 泉 玲子, 伊地智 節, 柴田 浩志：ポリフェノール配合石鹸による中高年男性の加齢臭低減効果,におい・かおり環境学会誌,43(5),362-366,2012
Nonenal Newly Found in Human Body Odor Tends to Increase with Aging, Journal of Investigative Dermatology,116(4),520-524,2001

30代の女性でも加齢臭が発生することはあり得ますか？その原因を教えてください。

「加齢臭というと、特におじさんなどを想像する方が多いかと思いますが女性でも発生します。先程も述べたとおり、ノネナールの量は男女の性差なく30代後半から増加傾向にありますので30代の女性でも加齢臭は発生していきます。ただし、女性の場合は女性ホルモンも関わっていきます。女性ホルモンは皮脂の分泌や酸化を抑える役割があり、女性ホルモンが減ると抑える力が弱まるので皮脂が酸化しやすい傾向にあります。また更年期になると女性ホルモンより男性ホルモンの量が相対的に優位になっていきます。男性ホルモンは皮脂腺を増加させる役割があり、男性は加齢とともに減少していきますが女性の場合は、相対的に増加していくので男性と比べると長く加齢臭の発生が続く傾向にあります」

加齢臭の対策を教えてください。

「ノネナールは皮脂の中に含まれていますが、皮脂自体は悪いものではなく肌には必要なものです。皮脂の役割として外部刺激から肌を守るバリア機能、肌の水分量を保持するなどの機能があり完全になくなるとかえって肌には良くないです。加齢臭の対策としては過剰な皮脂の分泌を防ぐ、または皮脂のケアが必要になってきます。皮脂の分泌が増える原因として、いくつかありますのでその原因と対策について説明していきます。まず、過剰なストレスによって男性ホルモンが分泌されることで、皮脂の分泌が増えるのでストレスの原因をなくしてリラックスした生活を送りましょう。糖や脂質の摂り過ぎなどの食生活も皮脂の分泌量が増加しますので栄養バランスの整った食事を心がけましょう。また、紫外線は肌にダメージを与えますが、皮脂に対しても同じで肌の水分量を減らすので皮脂分泌が増加し、さらに皮脂の酸化も進みます。睡眠不足や運動不足も同様に皮脂量を増やす原因になります。また、ノネナールは季節性などなく1年中発生する物質のため、皮脂分泌を防ぐだけでなく毎日しっかり肌をケアすることも大切です。皮脂から発生するので脂溶性で水に溶けにくく、シャワーや入浴だけでは落とすのが難しいと言われています。特に頭、顔、首、胸、背中、脇など皮脂腺が多い部分は、石鹸を泡立てて30〜35℃のぬるま湯で流すようにしましょう。熱いお湯だと必要以上の皮脂が流れ落ちてしまいます。このように生活習慣を整えることで皮脂量はコントロールできるので加齢臭も抑えられることになります」

教えてくれたのは

TCB 東京中央美容外科 千葉院院長 圓田倫永先生

TCB 東京中央美容外科 千葉院院長を務める美容外科医。女性ならではのお悩みにも親身に寄り添い、丁寧なカウンセリングが好評。形成外科医として培ってきた確かな技術を生かし、患者様の理想を叶える美しい仕上がりの美容医療を提供。

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