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史上初の日本人選手も誕生!韓国女子バレーVリーグの“アジア枠”が国内外で注目を浴びる理由

  • 2023.4.25

韓国プロバレーボールのVリーグが、アジア枠導入により国内外から多くの関心を寄せられている。

4月21日、ソウルのスタンフォードホテルで行われた「2023韓国バレーボール連盟女子アジア枠ドラフト」では、Vリーグ女子部全7チームが選手を指名した。

1番目に指名権を得たIBK企業銀行アルトスは、タイ代表セッターで日本のトヨタ車体クインシーズにも在籍したポーンプン・グーパート(29)を選択。2番目の現代建設ヒルステートはタイ代表歴のあるアウトサイドヒッター、ウィパウィ・シリトーン(23)を選択した。

KGC人参公社はインドネシア代表オポジットスパイカーのメガワティ・ペルティウィ(23)、韓国道路公社ハイパスはタイ代表歴のあるオポジットスパイカーで元岡山シーガルズのタナッチャ・スークソッド(22)、ペッパー貯蓄銀行AIペッパーズはフィリピンとアメリカの二重国籍を持つミドルブロッカー、MJ・フィリップス(27)を指名した。

そして、GSカルテックス・ソウルKIXXはインドネシア代表アウトサイドヒッターのメディオル・ヨーク(23)、興国生命ピンクスパイダーズは日本代表経験のある元デンソーエアリービーズの東谷玲衣奈(とうこく・れいな/23)を指名した。

今回の指名で、東谷は韓国Vリーグでプレーする史上初の日本人選手となる。なお、興国生命には元女子バレー韓国代表のキム・ヨンギョン(35)などが在籍している。

(写真提供=長田洋平/アフロスポーツ)デンソー時代の東谷玲衣奈
「同じ年俸額ならアジア枠の選手の方が優れている」

今回のドラフトには計23人が参加した。

女子部の関係者は当初、3~4人以外に獲得に欲を出すほどの選手は多くないと評価していた。そのため、後の順位で指名権を得るチームは指名しない可能性もあるという予測も出ていた。

ところが、こうした予想に反して全7チームが例外なく選手を指名した。これには連盟関係者も「予想できなかった」と驚いたほどだ。

アジア枠の選手にかかる報酬(10万ドル)を考慮すると、あえて獲得しない理由はないというのが女子部の各チーム球団関係者の共通意見だ。

とあるチームの関係者は、「実際にプレーする姿を確認することはできなかったが、映像で綿密に各選手の技量をチェックした結果、国内選手にも引けを取らないという結論を下した。同程度の年俸を受け取る選手よりは、アジア枠の選手の方が技量が優れているような気もする」と語っていた。

また別の関係者も、「監督、コーチングスタッフとも話し合ったが、技量が決して悪くないと言っていた。それほど負担になる金額でもないので指名した」と伝えた。

ドラフト参加選手が全般的に優れた技量を持つという傍証はほかにもある。各チームで指名しようとした選手が多様だったという事実がそれだ。

セッター補強が急務だったチームはポーンプンを望んでいたが、そうでないチームもいた。その代表例がKGC人参公社やGSカルテックスだ。彼らは元々念頭に置いていた選手を無事に指名した。

また、最も低い順位で指名権を得た興国生命のマルチェロ・アボンダンツァ監督は、はじめから東谷を獲得リストに載せていたという。興国生命に順番が回るまで、東谷はほかのチームからの指名を受けなかった。特定の選手だけが関心を集めたわけではないという点で、今回の参加選手のレベルの高さが伝わってくる。

(写真提供=韓国バレーボール連盟)興国生命のアボンダンツァ監督

今回指名を受けた選手たちは、来季Vリーグ女子部の舞台で即戦力としての活躍が期待されている。IBK企業銀行のキム・ホチョル監督はすでにポーンプンを主力に据えており、現代建設率いるカン・ソンヒョン監督もウィパウィを主力に分類している。

各チームで事情は多少異なるが、韓国人選手に新たな緊張を吹き込む雰囲気は造成される見通しだ。

アジア枠制度が上手く定着すれば、韓国Vリーグで深刻化しているバブル現象もある程度解消されるものと期待される。

現在、Vリーグはリーグレベルや市場規模に比べて過度な高年俸が発生し、各チームが財政面で苦労している。

それだけに、コストパフォーマンスの良いアジア枠の選手が定着に成功すれば、各チームの選手運用の効率性が上がる。何より、リーグ全体のレベルが上昇し、観戦する楽しさも増やすことができる。

なお、2023-2024シーズンの韓国Vリーグ女子部は来る10月に開幕する予定だ。

(構成=ピッチコミュニケーションズ)

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