1. トップ
  2. 「おめでとう、エマ!」チェコ在住の日本人女性が、誕生日のお祝いに焦ったワケとは?

「おめでとう、エマ!」チェコ在住の日本人女性が、誕生日のお祝いに焦ったワケとは?

  • 2023.5.13
  • 7482 views

欧州では、お祝いごとを家族そろってしっかり祝います。そう、お祝いごとはとても重要な位置を占めているんです。その中でも誕生日のお祝いは独特。自分が生まれた日だけでなく、プチ誕生日もあるとしたら…。

もう、お祝いだらけ。親しい人のお祝いごとなんて、全部覚えきれません!

「おめでとう、エマ!」

undefined
画像:MNStudio / Shutterstock

同僚が出社するなり別の同僚にチョコレートをプレゼント。「え?今日って彼女誕生日?やばい、忘れてた!」と慌ててモバイルのカレンダーで確認するも、誕生日はまだ先。「あれ、もしや…?」とチェコのカレンダーを見ると、この日は名前の日でエマの日だったと気づく…。私の中のチェコあるあるです。

チェコのカレンダーには毎日違う聖人の名前があり、年に1日はその聖人を思い起こす日として定められています。親は好きなように子どもの名前を決められますが、聖人の名前を選んだ場合には、その聖人は子どもの守護聖人とみなされ、毎年自分の名前の守護聖人の日を祝うようになるのです。

undefined
筆者撮影

これはヨーロッパやラテンアメリカの国に多い風習だそうで、チェコは無信教者が国民の大半をしめるものの、その風習があります。この「聖人の日」の定め方や位置づけは国によってさまざま。チェコのカレンダーはキリスト教のそれに基づきますが、現在では特にこのルールを管理する機関はないそうで、改編が繰り返されチェコ独自のものになっています。

この日の祝い方も人・家庭でさまざま。「おめでとう!」の言葉だけの場合があれば、祖父母などの親戚が来て一緒に夕食を楽しむといった、2つ目の誕生日のような位置づけになっている家庭もあります。

チェコ人の名前はカレンダーの名前だけ?

undefined
筆者撮影

じゃあ、チェコ人の名前はカレンダーにある名前だけなの?と思いますよね。いいえ、ボーダレスな現代では子どもに、インターナショナルに通用する名前を付ける人も多くなりました。個性を追求してキラキラネームをつける人もいます。

ネットを見てみると、男の子でめずらしい名前には「レオン」「カイト」など国籍不明の名前もあれば、女の子には「シャネル」「アリアナ」「マドンナ・ミア」と有名人の名前がずらり!とはいっても、日本で有名な名前変更裁判で扱われたような名前が付く心配はありません。

undefined
画像:Black Pearl Footage / Shutterstock

というのもチェコでは、戸籍担当者が名前に疑問を持った場合、親はその名前が人名として通用するのか、前例があるのかについて専門家の意見書を提出する義務があるからです。男の子にウイスキーのHennessy(ヘネシー)、あるいは女の子にスポーツメーカーのPuma(プーマ)とつけようとして却下された例もあるそう。

ちなみに我が家では、息子、夫、舅が皆同じ名前。長男が代々同じ名前を受け継ぐというのもチェコあるあるだったりします。

 

※記事内の情報は記事執筆時点の情報です。



筆者:フィーチェク
チェコ人に日本の魅力を、日本へチェコの魅力を発信中。大変化を遂げたチェコの20年を見てきました。心躍るお菓子と絵本が大好き。

※記事内の画像はイメージを含みます。