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チェコのスーパーでパンを買おうとした日本人女性→“衝撃の光景”にとまどってしまったワケ

  • 2023.5.10

「郷に入りては郷に従え」といいますが、どうにも良心の呵責を感じてしまい、従えない習慣もあります。先日、日本語通訳者として仕事しているチェコ人の知り合いが、「そばをすするのだけはどうしても(行儀悪くて)できない」と日本で麺をすする習慣を拒否していました。

同様に、留学してすぐの私にとってダントツに衝撃だったのがお店でのパン事情でした。

「ん?トングがない…?」

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出典:Caftor/Shutterstock.com

パンを買いたいのに、売り場にトングが見当たらない…。

チェコ語を習得するためにチェコに渡った当初、お店といえば対面式がほとんど。店員さんに欲しいものを言えなければ、買うことができません。チェーンのスーパーは存在せず、チェコ語が未熟 or できない人にとっては、「セルフサービス店(samoobsluha)」が頼みの綱。幸い通っていた学校の前にはセルフサービス店があり、そこでよく買い物をしていました。

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筆者撮影

初めてお店を訪れた日、むき出しのまま山積みになったパンを買おうとして…「あれ?トングがな
い。どうするの、これ?」としばらくほかのお客さんの様子を見ていると、わっしわっしと手づかみでパンをビニールへ突っ込んでいきます。

「あの人の手、袋にいれた以外のパンにもぶつかってるし…。」と驚愕の面持ちで眺める私。ですが、皆さん平然とこの方法でパンを買っていきます。もうこうなったら手で掴むしかないものの、さすがに素手は嫌だったので、パンを入れる袋を手袋代わりにパンをつかんで購入するようになりました。私が買ったパンを他の人の手が触れていたら何の意味もありませんけどね。気休めです。

「え?お金払ってないもん、あなたのパンじゃないでしょ?」

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出典:CandyBox Images/Shutterstock.com

また別の日。街中の大きなセルフサービス店に入った時のこと。

ベビーカーに子どもを乗せたママがひょいっとパンをひとつ手掴みすると…なんと、その場でそのまま子どもに与えたんです!でも子どもはパンに夢中、子どもの口をパンで塞いだお母さんは、心安らかにお買い物を続けていました。

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筆者撮影

これは25年以上前の目撃談。しかし、欧州の大手スーパーが軒を連ねるようになった今も、この習慣は健在です。さすがにコロナウイルス感染拡大の時期は、袋詰めのパンが売られていましたが、今ではそんなことはなかったかのように元の販売方法に戻っています。

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出典:LightField Studios/Shutterstock.com

変わったといえば、チェーンスーパーによってはコロナ前からひっそりと置かれていた使い捨て手袋を使う人が、若干増えた程度のことでしょうか。スーパー内でママが子どもにパンを与える風景も日常の光景です。

いや~、たくましいチェコ人。もっとも、20年以上チェコにいる私にも、それ相応の免疫がついている気はしますが、まだ試す勇気が出ずにいます。



筆者:フィーチェク
チェコ人に日本の魅力を、日本へチェコの魅力を発信中。大変化を遂げたチェコの20年を見てきました。心躍るお菓子と絵本が大好き。

※記事内の画像はイメージを含みます。