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SNSで私生活を流してもファンは増えない…なぜか人が集まってくる人は知っている"発信の作法"

  • 2023.4.23

ファンを作るためのセルフブランディングをするにはどうすればよいのか。起業家であり、2児の母でもある尾石晴さんは「自分を偽らず、提供できる『価値』を見極めて、コツコツ発信していくと、気づけば周りに人が集まり、自分業ができるようになっています」という――。

※本稿は、尾石晴『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

個人のブランディングがうまい人が成功する

スターバックスのブランドコンセプトは「サードプレイス(第三の場所)」。ブランディングは、カップにメッセージを書く、従業員の温かい声がけ、Wi-Fiの設置、居心地のいい内装などです。

最近は企業だけでなく、個人のブランディングも大事だといわれています。つまり、その人がどんな価値観を持っているか、何を大事にしているか、何をしているのかを伝える。このブランディングがうまい人ほど「代替が利かない」「唯一無二の存在」として認知されます。たとえば、社内で評価される人、インフルエンサー、複業している人、職人……。うまくいっているように見える人ほど、ブランディングができています。

「ブランドコンセプト」を見つけるための自己分析ツールや、やりたいこと探し、あなたの特徴見つけます系コンテンツ(書籍、セミナー、オンライン診断など)は人気がありますよね。

スターバックス
※写真はイメージです
じわじわ浸透させるブランディングが大事

どうやってブランディングしていくか? 結論からいうと、自分業の場合は、じわじわ浸透させるブランディングが重要です。ところが、ブランディングの名のもとで「自分の理念や特徴や売り」を押し売りしてしまっているケースをよく見かけます。

「私、すごくニッチなんですけど、こんな問題解決ができます。こんなお悩みはありませんか? 私がお力になれるんですよ。価値ありますよ」と、顧客が気づく前に言ってしまう。

スタバで「サードプレイスへようこそ! スターバックスです」って、毎回声がけされたら「うっとうしい‼」ってなりますよね。「なんとなくいつもスタバに来ちゃう。居心地いいんだよね。え⁉ サードプレイスっていうコンセプトなの! どうりで。ふむふむ」が理想です。

「サードプレイス」というブランディングは、お客さんが「あ! なんか居心地いいと思っていたら、サードプレイスがコンセプトなんだね」で成立するのであって、売る側が「サードプレイスだから買って」はちょっと違うのです。多くの個人はこれをやってしまう、またはやってしまいがち。でも、それではなかなか売れないのです。

財布を開いた後に「ああ、なんか居心地いいと思ったら、理念とサービスが合致しているからなんだ」という気づきがあると、本当にファンになってもらえるんですよね。いかに「この商品、サービスには価値があるか」を伝えても、顧客がそれを認めてくれなければブランディングは成立しません。

ブランディングがうまくいっている人はモテる人と似ている

ブランディングがうまくいっている人は「モテる人」に似ている気がします。「アップル製品はクールでおしゃれ」といったイメージは、まさにブランディングが浸透した結果ですよね。

ユニクロはもともと山口県から出てきた量販店で、「とにかく安い」が売りというイメージでした。その既存イメージを、製品の質を上げると同時に著名人やモデルさんの起用、有名アパレルとのコラボ、リサイクル品の引き取りを展開するなどして、何年もかけて改善しました。「安いだけじゃない、おしゃれで機能性もある」、これもブランディング。

雰囲気がいい、センスがいい、なんとなく良さそうと多くの人が認知する=まさにモテる人。「ようこそ、サードプレイスのスターバックスへ!」では売れぬのだ。

では、モノが売れる順番を考えてみましょう。

① 顧客が「なんとなく」感じている不満がある……落ち着いてパソコンを開きたいが、なかなか適した場所がない。
② 顧客が「なんとなく」解決策に出会う……スタバならPCを開いていても居心地いいな。
③ 気づけば「なんとなく」感じていた不満が解決している……スタバに通えば自分の居場所がある。
④ リピーターになる、ファン化……「サードプレイス」のコンセプトがいつの間にか浸透している。

スタバがうまくいっている要素の1つは、店舗数が多く、「②顧客が解決策に出会う機会」が多いからです。大手はそうですよね。「なんとなく」出会えてしまう(広告含む)。そこから顧客の一部は③から④に移行していきます。

しかし、個人は「②顧客が解決策に出会う機会」をたくさんつくれません。どうしたらいいのでしょうか?

ソーシャルメディアのアプリケーション
※写真はイメージです
「私はこんな人です」活動でつながる人を増やす

ブランディングには、コストも時間もかかります。個人は、大企業のように場所や広告やメディアを使ってブランドを浸透させていくのは難しい。

そこで、個人は「私はこんな人です」活動をしていきます。セルフブランディングと呼ばれるものです。自らをメディア化し、プロモーションしていきます。力を持たない個人は「認知度の獲得」を地道にしていき、「②顧客が解決策に出会う機会」を増やしていくしかない。

セルフブランディングは手軽にできます。そのため多くの「個人でモノを売りたい人」はやっています。具体的には発信活動です。ブログやnote、SNSなどで発信しながら、つながる人を少しずつ増やしていきます(一般人で、発信をやらなくてもスモールビジネスがうまくいく人は天才だと思う)。

ここで大事なのが、セルフブランディングとは「つくられたイメージを出していく」ことではないということ。ありのままの自分から出る「価値」で勝負するしかありません。

すごい人と思われてもセルフブランディングはうまくいかない

ブランディングと称して、私生活の写真をアップしたり、飲食風景を見せたり、自分のイメージ向上を全開にしている人がいますが、あなたはこういう人から何かを買いたいですか?

経歴、○○ができます、こんな実績があります、あなたの悩みを解決できます、困っている人を助けたい、こんな生活ができます、こんなものが買えます……。

これでは、イメージやキャラをつくって売り込みをしているだけ。セルフブランディングがうまくいかない人の多くは、すごい人と思われたい、思わせたい(虚栄心)、そのために発言にブレがある(偽っている)人です。

REAL・FAKEと書かれた矢印
※写真はイメージです

セルフブランディングは、「(他人から見た)自分の魅力や価値を自分で理解していること」がベースになります。それらを発信しながら自分の価値を高めていく。自分を「別の素晴らしい何か」につくり上げていくことではないのです。

発信していてどうもしっくりこない、うまくいかないという人は、自己理解不足です。あなたが提供できる価値を見誤っていたり、周りの人が思っている人物像と発信内容がずれていたり、市場に無理に自分を合わせようとしたりしています。一貫性のある発信は、自分の魅力がわかっていないとできません。

では、自分の魅力って何でしょうか? 自分が提供できる価値や思いとは何でしょうか? スタバは経営層からお店の従業員さんまでが、ブランドの魅力、方向性、価値を、共通認識として持っているから、どの店舗も「同じような色合い」「内装」「店員さんの声がけ」が統一できるんですよね。

セルフブランディングでやるべき2つのこと

セルフブランディングに沿った発信をコツコツやっていくと、気づいたら集まってほしい人だけがやってくるようになります。ありのままの自分が提供できる価値に「共感」し、「信頼」してくれる人々です。やることは、次の2つを決めるだけです。

① 自分は何を持っているのか? 何を伝えたいのか?
② 誰にどんな手段や方法で伝えるのか?

やりながら軌道修正していけばいいので、とりあえず仮にでも決めて動くことが大事です。ちなみに、私の場合は次のものになります。

① ワーママとしての日々のモヤモヤや試行錯誤(キャリア、子育て、共働きのライフハック)の経験があり、過去の自分にそれを伝えたい。
② ツイッター、note、インスタ、Voicyで発信する(厳密にいうと、刺さるポイントで分けている。ツイッターは「それそれ!」と言いたくなる系、noteは思考の見える化、インスタは読書の知恵、Voicyは話すからわかる共感系)。

自分を偽らずに提供できる「価値」を発信する

書くと簡単に見えるかもしれません。でも、少しずつ軌道修正(苦悩も公開する、悩みや考えたことも出す、フォロワーさんから搾取することはしない、企業案件を受けないなども、私なりのセルフブランディング)しながら、信頼を積んできたつもりです。

尾石晴『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
尾石晴『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

自分を偽らず、提供できる「価値」を発信し続けて、コツコツ(感覚としては1年以上、直接的なリターンはなくても発信し続ける。広告費やコストを払っていないのだから、時間を使って育てる)発信していくとどうなるか? 気づけば周りに人が集まり、自分業ができるようになっています。

ちなみに、私はヨガもプレミアムVoicyもnoteも「あなたの悩みを解決します」「こんな経歴があるから買ってください」なんて売り方や見せ方を1回もしたことがありません。が、買ってもらえています。これはフォロワーが多いからではありません。フォロワー数が多いだけで売れるわけではない。セルフブランディングをしてきたことが響いています。

ジグソーパズル
※写真はイメージです
マーケティングはセリングを不要にすること

ピーター・ドラッカーは「マーケティングはセリング(売る行為)を不要にすること」としています。「売れる仕組みづくり」ですね。では、ブランディングとは何でしょうか? ブランドを認知、連想してもらうことで「売れ続ける仕組みづくり」をすることです。

マーケティング担当、プロダクト開発担当、広報担当など、さまざまな役割を1人で同時にやるのは無理ですよね。

でも、「セルフブランディング=売れ続ける仕組みづくり」が、これらの役割を果たしてくれます。この仕組みは複利の力で大きくなっていくものなので、早く始めれば始めるほど効果的です。

弱きものは「知恵」を使って、継続できる仕組みづくりをがんばるしかない。皆さんは、セルフブランディング、していますか?

尾石 晴(おいし・はる)
Voicyパーソナリティ
外資系メーカーに16年勤務し、うち6年は管理職として活躍。長時間労働が当たり前の中、「分解思考」で時間を捻出。ワンオペ育児をこなしながら残業0時間を達成し、チームを社内表彰に導く。その傍ら、発信業・不動産賃貸業・ヨガインストラクター、メンタルオーガナイザー、ライフオーガナイザーなど、会社員以外での収入経路を次々と確保。2020年4月に会社員を卒業。音声メディア「voicy」では1000万回再生超えを記録し、トップパーソナリティとして活躍中。2020年にはヨガスタジオ「ポスパムfukuokaスタジオ」を立ち上げ、代表を務める。2児の母。著書に『やめる時間術 24時間を自由に使えないすべての人へ』(実業之日本社)がある。ツイッター:@wa_mamaharuインスタグラム:@waamamaharu

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