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韓国も大谷翔平、佐々木朗希レベルを期待して良い?球界全体が“160km投手”登場に大喜びなワケ

  • 2023.4.17

野球が常に発展し続けるスポーツであることは全世界共通だ。そして、その発展度合いは“球速アップ”で語られることが多い。

昔から現在まで、野球の現場に居続けた人々が誰よりもそれを肌で感じている。今や“基準点”そのものが高くなった。

2023年シーズンが行われている韓国プロ野球KBOリーグでも、“スピード狂風”が吹き荒れようとしている。

惨敗WBCで突き付けられた投手の“球速差”

ハンファ・イーグルスに所属するプロ2年目の右腕ムン・ドンジュ(19)は、去る4月12日のKIAタイガース戦で160.1kmを投げた。平均球速も153kmと、若くして国内屈指の“ファイアーボーラー”としてその名を広めている。

昨季KBO最優秀防御率、奪三振王のアン・ウジン(23、キウム・ヒーローズ)のアン・ウジンも、13日の斗山(トゥサン)ベアーズ戦で159.8kmのストレートを投じた。四捨五入では160kmだ。実際、投球分析表では「160km」と記されていた。

ムン・ドンジュ(左)、アン・ウジン

ただ、世界に目を向ければ、米メジャーリーグ(MLB)では104マイル(約167.4km)を叩き出した投手もいる。“球速革命”という言葉は日本にもわたり、今や160km投手が続々と登場している。これからは韓国も続く時代だ。

冷静に見れば、ムン・ドンジュとアン・ウジンが“特別な”ケースと言えるだろう。世界最高峰と呼ばれるMLBでも、誰もが160kmを投げられるわけではない。これは日本も同じである。

それでも、国内プロ野球の舞台で160kmが記録されたからには、これからはほかの選手にとって目標となり得る。現役時代、投手としてKBO通算134勝を記録したSSGランダースのキム・ウォンヒョン監督は、「韓国にも160kmを投げる投手が出た。嬉しいことだ」と話した。

日本もそうだった。大谷翔平(28、ロサンゼルス・エンゼルス)や佐々木朗希(21、千葉ロッテマリーンズ)の登場で“心理的な障壁”が崩れた。選手たちは「自分にもできる」と考えるようになり、指導者も積極的に支援するようになった。もちろん、球団のケアも手厚い。

佐々木朗希(左)、大谷翔平

広く見れば、KBO全体の投手の球速が上がる効果につながるという点が好ましい。全体的な基準が引き上げられるからだ。

かつては140kmを投げても「剛速球だ」と言われていた。ただ、今や140kmは高校生でも容易に投げるスピードとなった。現時点では「150km」が評価の物差しとなっている。

前出のキム監督は、「私は(現役時代に)150kmも投げることができなかった。私の選手時代の150kmは、今の160kmだと考えてもらって良い。当時は“才能がなければ投げられない”球が150kmだった。いくら努力しても簡単ではなかった時代だ」と説明した。

「私もプロ入り後に力がつき、球速自体も5kmほど速くなったが、いくら努力しても150kmには届かなかった。(才能を)生まれ持ってなければならないものだと思っていた。だが、今は世の中が変わった。もっと速く投げることができる」

「高校で140km中盤・後半を投げられる投手は、プロで150kmを投げることができるだろう。以前は夢の球速だったが、今は違う。過去の150kmに対する象徴性が、今は160kmが代わりになるようだ」

キム・ウォンヒョン監督

速球はシンプルかつ最高の武器だ。140kmより150kmの方が打ちにくいのは当然のことだろう。すべての投手に「アン・ウジンやムン・ドンジュのように投げろ」と言うより、「スピードを今よりもっと上げられる」と話して近づいてこそ、彼らの球速アップにつながる。

もちろん、心構えだけでできることではない。キム監督は「基本技術が良くなければならず、基礎もしっかりなってなければならない。下半身を活用し、股関節や上半身の回転など、全身を使うことが細部になければならない。複合的に上手くいってこそ、球速も出る」と指摘した。

何はともあれ、“標本”が出たということが重要だ。

今や研究と努力の領域だ。韓国は2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で3大会連続1次ラウンド敗退という屈辱を味わった。世界と比べてそもそもの実力はもちろん、投手が投げる球速の差も明確に表れた。

世界の潮流に韓国もついて行かなければならない。

(構成=ピッチコミュニケーションズ)

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