1. トップ
  2. 恋愛
  3. 稀有な才能で注目、森崎ウィン「ミャンマーでおばあちゃんと一緒に住んでいました」

稀有な才能で注目、森崎ウィン「ミャンマーでおばあちゃんと一緒に住んでいました」

  • 2023.4.16
  • 7465 views

【音楽通信】第136回目に登場するのは、俳優として映画や舞台でも大活躍するなか、音楽活動でもソロアーティスト「MORISAKI WIN」としてニューアルバムをリリースする、森崎ウィンさん!

ミャンマーで祖母が聴いていた洋楽に触れる

【音楽通信】vol.136

中学2年生でスカウトされ、芸能界へ入った森崎ウィンさん。
2008年から12年間、ダンスボーカルユニットでメインボーカルとして活動後、2020年にアジアから世界に発信するエンターテイナー「MORISAKI WIN」名義にてソロアーティストとしてメジャーデビューし、音楽配信チャート1位を獲得するなど話題を呼びました。

さらには、俳優としても2018年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』でハリウッドデビューを果たし、2020年には映画『蜜蜂と遠雷』で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。現在上演中のミュージカル『SPY×FAMILY』では主演のロイド役を務めるなど、多方面で大活躍されています。

そんな森崎さんが、2023年4月19日に2枚目のフルアルバム『BAGGAGE』をリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。

――そもそも幼いときに音楽に触れたきっかけから教えてください。

僕は小学校4年生で来日するまで、生まれ故郷のミャンマーでおばあちゃんと一緒に住んでいたんです。おばちゃんは音楽が好きでよく聴いていましたし、英語の先生だったので英語の授業で音楽を使って生徒に英語を教えていたので、小さいときから音楽にはよく触れていましたね。とくにマドンナやマイケル・ジャクソン、カーペンターズといった洋楽を聴いていました。

日本に来てからは歌手になりたいと思っていたわけではなかったのですが、いまの事務所にスカウトされて「歌を歌ってみて」と言われ、歌えることがわかってダンスボーカルユニットに加入して、人前で歌うようになって。グループが解散後、お声がけいただいて、ソロとしてデビューすることになりました。

――グループ活動とソロ活動はまた違いますよね。

グループでの活動があるから、いまがあると思っています。それこそグループにいた当時から応援してくれているファンのみなさんがいらっしゃいますし、これまでの経験を経たことがいまのミュージカルなどのソロ活動にすごく影響を与えているので、グループ活動で培ったものはかなりためになっていますね。

――その後、2020年7月に「MORISAKI WIN」として配信シングル「パレード‐PARADE」でソロアーティストとしてメジャーデビューされました。その間も俳優として数々の作品に出演され、2018年の映画『レディ・プレイヤー1』で注目を集めたことは飛躍の大きな転換期でもあったと思いますが、俳優活動と音楽活動の相互の影響はあるのでしょうか?

まず歌もお芝居も好きなので、両方ともやれる環境がありがたいです。どの活動がどう影響しているのかは説明しづらいですが、結局のところ、表現するということ自体は変わらないのかなと。俳優をやっているからこそ学んだ表現が音楽に生かされていたり、音楽をやっているからこそ俳優に生かされていたりするものもあって。たとえば音楽活動でのリズム感や音の出し方も、俳優としても必要になってくる場合もあります。

――そもそもスカウトされて芸能界に入られたときは受け身だったわけですが、どの活動にも抵抗はなかったんですね。

実際にやってみると、どれも「楽しいじゃん!」って(笑)。それ以前はサッカー以外に興味がなかったんですが、やってみて「好きだな」「どんどん極めたい」と思うようになっていきました。どの活動も作り上げるまでは苦しい瞬間もあるんですが、どのジャンルにおいても、純粋に全部やりたいと思っているからこそ、やれる環境にいることがうれしいですね。

聴いていると出かけたくなるようなアルバム

――2023年4月19日、2枚目のフルアルバム『BAGGAGE』をリリースされます。まずはアルバムタイトルの意味からお聞かせください。

いろいろなものを詰め込んだアルバムにしたくて、「BAGGAGE」というタイトルをつけました。その名の通り、旅のお供になるような、夏服もあれば冬服も持っていったよね、とさまざまなテイストの楽曲が詰め込まれたアルバムになったらいいなという願いを込めています。

――まず1曲目「Move out」はウィンさんが歌詞を手がけられた軽快なバンドサウンドですが、どのようなことをイメージして作られましたか。

楽曲が先行だったので、曲を聴いたときに、出かけたくなる曲だと感じました。僕はキャンプをやることがあるのですが、仕事というルーティンから抜け出して、キャンプのような全然違う旅に出かける瞬間をイメージして歌詞を書いていって。普段いる場所から抜け出して新しい世界の扉を開けるように、旅先でのハプニングさえもプラスにとらえたり、最終的にはいま世界で戦い合っているところからも抜け出してほしい思いも込めたり。歌詞を仕上げていくにつれて、世界観が壮大になっていった楽曲です。

――続いて2曲目「Perfect Weekend」は、大人っぽいキャッチーな楽曲ですね。

これはタイトルのように“最高の休日”を思い浮かべるような楽曲です。リズムが気持ちいいはやさで、どこか一歩ずつ踏みだしていくことを思わせる四つ打ちのサウンドに合うようなボーカルを意識して歌っていますね。

――クールなサウンドの5曲目「No Limited」も作詞を手がけています。

はい、これは「人生は無限大だよ」と、人生は一度きりだけれどできないことはないと歌っている楽曲です。誰かのためになればいいなと思って歌詞を書いていたのですが、聴き直してみると最終的には、自分自身を鼓舞するような楽曲になっていて。聴いていると「大丈夫だな、頑張ろう」と思える曲になったので、不思議な感覚の曲になりましたね。

――6曲目「Love won’t die」は英語詞で歌う壮大なバラードで、続く7曲目「anymore」も全英語詞ですね。

世界に向けて勝負していきたいのと、英語と日本語の歌を両方ともきれいに歌えるのは、僕にしかできないことでもあるから、その武器はちゃんと使っていきたいなと英語詞にしました。そして自分の故郷や家族をテーマにした6曲目「Love won’t die」は、日本語で綴るよりも英語で全世界の同じような状況の人たちの楽曲にもなればと、幅広く受け取ってもらえるように意識しています。

7曲目「anymore」は既発曲で、シンガーソングライターのTHE CHARM PARKさんが書いてくださった曲です。純粋にギターのリフがカッコよくて、初めて曲を聴いたときに「これやりたい」となりました。

――サウンドから入っていくこともあるのですね。

それはけっこう大事です。自分がまずカッコいいと思えないと、自分がリリースする音楽を人に勧められないので、最初に曲を聴いたときの直感を大事にしていますね。

――8曲目「BeFree」は、デビュー前にウィンさんが作詞と作曲をされた楽曲です。

もともとはグループ活動をしていた2019年に作った曲です。グループでの自分のバースデーイベントのリード曲にもなればいいなと思って作った曲でしたが、今回のアルバムに収録する前に、一足早く昨年末から日本グッドイヤー「オールシーズンタイヤ」CMソングとしてオンエアされて。まさかタイヤのCMのタイアップがとれるほどの楽曲になるとは思わず、本当に有り難いですね。

――グループにいらっしゃったときは曲を作ることもあったと。

当時は、自分で曲を作って歌いたいという意欲が強くて、作っていました。ただ、やっぱり作家さんとは違って幅広く音楽理論を知らないので限界はありましたが、まだ意欲が消えたわけではないので、またタイミングを見て曲を作りたいです。

――どのように曲作りをしているのですか。

メロディから作っていきます。家でピアノを弾いてメロディを決めて、そこに歌詞をあてて自分で仮歌をとっていく感じですね。ピアノは、音楽活動をするときに以前から少し弾いていましたが、映画『蜜蜂と遠雷』で天才ピアニストの役を演じる際に本格的に習ったこともあって。歌詞を書くときは、フィクションもあればノンフィクションもあって、そのときどきで違います。この8曲目「BeFree」の場合は、純粋にライブに来てくれたみなさんが日常のいろいろなことから解放されたらいいな、と思って作りました。

――9曲目のラブソング「My Place, Your Place」はどんな思いで歌っていますか。

堂々と言葉にして伝えるには少し恥ずかしくなるような歌詞なんですが、音楽に乗せることによって、恥ずかしくならずに素直な気持ちを音楽の力を借りて伝えています。ずっと僕を応援してくれていてるファンのみなさんの思いに応えられる楽曲にもなればいいなという思いと、この楽曲を聴いて誰かへの自分の思いを馳せてみるようなときに聴いていただきたい楽曲ですね。

――聴き手には、アルバムをどんなふうに聴いてほしいでしょうか。

今回、聴いていると出かけたくなるようなアルバムになりました。遠出できないときや仕事の移動中でも聴いてくれたら、前に進むのがラクになるような楽曲になっていると思うので、ぜひ移動中に聴いていただきたいです。

――4月から6月まではソロとして初の全国ツアー「MORISAKI WIN JAPAN FLIGHT TOUR」を開催されます。

ようやく全国ツアーができるようになりました。ずっとやりたかったんですが、スケジュールの都合やコロナ禍という状況もあって、今回ようやく行けます。まずは、これまでに培ったものを全国各地に生で届けに行くことをメインにやっていきたいなと。アルバムの楽曲ももちろん披露しますが、アルバムだけにフォーカスを当てたライブというより、いままでに発表してきた楽曲も歌って、いままでの僕の成長も伝わる構成のステージにできたらなと思っています。

「森崎ウィンにしかできない世界観を作る」

――現在は、5月までミュージカル『SPY×FAMILY』を上演中ですね。森崎さんは主演のロイド・フォージャー役ですが、手応えはいかがですか。

楽しくやれていますし、すごく好評をいただいていまして、本当に有り難いです。

――舞台に音楽活動にとご多忙ですが、お休みの日はありますか?

休みはあるんですが、いつも何かしらのスケジュールが入っているので、連休がないんですよね。1日だけ休みがあっても、意外と何もできないので、疲れを癒すだけで1日が終わってしまいます。

――そんななかでも趣味をされるようなことも?

趣味といえば、キャンプですね。できれば一泊したいので、次の日が昼以降の仕事なら、キャンプに行くこともあります。でも、いまのように舞台をやっている時期は、家でやらなきゃいけないこともあって、なかなか行けませんね。休みの日は、外出中にできない洗濯や掃除といった家事をまとめてやっているので、時間に追われています。

――ご多忙の様子が伝わります。お話は変わりますが、ファッションではどんなものを好んで選びますか。

黒い服を選ぶことが多いです。“森崎ウィン”として人前に出ているときは派手な服も着るんですが、普段は派手な格好は選ばずに、なるべく地味でいたいかな。スタイリッシュで、落ち着いていてる感じのファッションがいいですね。

――ウィンさんはジャンルレスにご活躍で、音楽ではラブソングを歌ったり、お芝居では恋愛をしたりすることがあるなか、魅力的な女性というとどんな人だと思いますか。

しっかりと自分の芯を持っている女性は、魅力的ですね。バリバリ働いている女性は嫌いじゃないんです、カッコいいなって思います。最近は女性が主役の作品も増えましたし、女性がトップに立つような場面も多くて、応援したくなりますね。

――今回は音楽取材をさせていただきましたが、ウィンさんにとっての“音楽”とは、どんな存在でしょうか。

僕をいろいろな感情にさせてくれて、気持ちをさまざまな場所に連れていってくれるものです。音楽を聴いていると、癒されるだけでもないですし、時に怒りも覚えることもあるし、時に驚きもあるし。ひとつのジャンルにくくって言い表せない存在ですね。

――いろいろなお話をありがとうございました! 最後に、今後の抱負をお聞かせください。

森崎ウィンにしかできない世界観を作ることが目標です。ミュージカルをやって、映画をやって、ドラマをやって、CDを出してと、こんなに多岐にわたって活躍できている人はあまりいないと思うんですよね。日本の俳優が歌を歌ったとしても、これだけ洋楽をしっかりと歌えて、これだけ俳優もやって。僕にとってのエンターテイナー像を作り上げたいです。そのためには各方面に自分の代表作を作らなくてはいけないので、もちろん時間はかかると思うんですが、世界で活動している人たちはもっとスゴイ人たちがいっぱいいるので、成し遂げたいですね。

取材後記

さまざまなジャンルの壁を軽やかに飛び超えて、グローバルに活躍される、森崎ウィンさん。ミュージカルをされている合間のスケジュールで音楽取材を行いながらも疲れを見せず、ananwebの取材が始まる前には「やる気スイーッチ!」とご自身でスイッチを入れていただいていたのが印象的でした。不思議なキャラクターのウィンさんが、エンターテイナー「MORISAKI WIN」として放つニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。

写真・幸喜ひかり 取材、文・かわむらあみり
スタイリスト・森田晃嘉

ジャケット¥106,700(サイ TEL:03-6407-0117) ネックレス¥19,800(マリハ TEL:03-6459-2572) その他スタイリスト私物

森崎ウィン PROFILE
1990年8月20日、ミャンマー生まれ。小学校4年生で来日。中学2年生でスカウトされ、芸能活動を開始。2018年より母国ミャンマーで観光大使を務め、現地でもドラマの主演やCMに数多く出演し圧倒的な知名度を誇る。

俳優としても活躍するなか、2018年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』で主要キャストに抜擢され、ハリウッドデビュー。2020年、映画『蜜蜂と遠雷』で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主演を務めた連続ドラマ『本気のしるし』(メ〜テレ)では釜山国際映画祭 2021のASIA CONTENTS AWARDSにてBest Newcomer-Actor賞を受賞。その劇場版は第73回カンヌ国際映画祭「Official Selection2020」作品に選出された。

ミュージカルでは、2020年の『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2で主演トニー役、2021年の『ジェイミー』で主演ジェイミー役、2022年の『ピピン』日本公演の単独主演、2023年3月から5月までミュージカル 『SPY×FAMILY』で主演のロイド役を務める。

歌手としては、2008年にダンスボーカルユニット「PRIZMAX」に加入し、メインボーカルを担当。2020年7月、「MORISAKI WIN」として1st EP『パレード – PARADE』でメジャーデビューし、音楽配信チャート1位を獲得するなど話題に。5月には1stアルバム『Flight』をリリースし、5つの音楽配信サービスで1位を獲得。2022年は『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(テレビ朝日系)の主題歌を担当した。

2023年4月19日、2枚目のフルアルバム『BAGGAGE』をリリース。4月から6月は初の全国ツアー「MORISAKI WIN JAPAN FLIGHT TOUR」を開催。

Information

New Release
『BAGGAGE』

【DISC1】(収録曲)
01. Move out
02. Perfect Weekend
03. Live in the Moment
04. Me, Myself and I
05. No Limited
06. Love won’t die
07. anymore
08. BeFree
09. My Place, Your Place

2023年4月19日発売
*【DISC1】収録曲は全形態共通。

<ECONOMY(DISC1 Only)>
COCB-54356
¥3,000(税込)

<class W(2CD+Blu-ray+豪華フォトブック)>
COZB-2006〜8
¥12,000(税込)
*三方背スリーブケース仕様。

【DISC2】*<class W>のみ付帯。
ACOUSTIC LIVE「CHRIS’s CHRISTMAS TIME IS HERE」2022 (at CottonClub Liveより)
01.Take A Look At Me Now(フィルコリンズ/映画『カリブの熱い夜』より)
02.SINGIN‘IN THE RAIN(映画、ミュージカル「雨に唄えば」より)
03.Waving Through A Window(映画、ミュージカル「ディア・エヴァン・ハンセン」より)04.Fly Me to the Moon (ジャズのスタンダード・ナンバー)
【Blu-ray】*<class W>のみ付帯。
『MORISAKI WIN LIVE FIRST FLIGHT』(恵比寿ザ・ガーデンホール 2021/9/20)
『MORISAKI WIN -Dancing Charter Night Flight- TYO』(人見記念講堂 2022/5/5)

写真・幸喜ひかり 取材、文・かわむらあみり スタイリスト・森田晃嘉

元記事で読む
の記事をもっとみる