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子どもに「お父さんの年収はいくら?」と聞かれた…正直に答える?ごまかす?対処法をFPが解説

  • 2023.4.15
子どもに年収を聞かれたらどうする?
子どもに年収を聞かれたらどうする?

「子どもに年収を聞かれて困った…」という親御さんは多いのではないでしょうか。「そんなこと子どもは知らなくていいの!」と、つい言ってしまいたくなりますが、せっかく子どもがお金のことに関心を持ったのであれば、お金の学びにつながる答えを返したいものです。

子どもに年収を聞かれた場合、どのように答えたらよいのでしょうか。「11歳から親子で考えるお金の教科書」(日経BP)の著者の一人である、ファイナンシャルプランナー(FP)の高山一恵さんが解説します。

正確な年収を伝えなくてもOK

小学校高学年ともなると、友達同士で親の年収について話す機会もあるようです。私自身も、息子から年収を聞かれてびっくりしたことがあります。子どもに年収を聞かれると答えに困ってしまいますが、子どもがお金に興味を持った貴重なタイミングなので、ぜひお金の学びにつなげたいですね。

しかし、自分の年収を答えにくいというのもよく分かります。そのため、親は自分の正確な年収を子どもに教える必要はありません。親の年収を聞く子どもの好奇心は、「大人はどれくらいのお金を持っているのだろう」という漠然としたものであるケースが多いと思います。

私のお勧めは、まず日本人の会社員の平均年収を伝えることです。子どもの頭の中で大人の年収に関するイメージがつくられるので、最初の好奇心はある程度、満たされると思います。

国税庁の「民間給与実態統計調査」(2021年)によると、会社員の平均年収は443万円です。1カ月当たりに換算すると、「443万円÷12カ月=36万9166円」となり、約37万円です。「大人は1カ月に約37万円の収入がある」と子どもは理解します。

年収から税金、社会保険料が引かれている

ここで、もう1歩踏み込んで、子どもに伝えたいのが、年収から差し引かれる税金や社会保険料のことです。

親御さんはすでにご存じだとは思いますが、年収はそのままもらえるわけではありません。年収から約20%の税金、社会保険料が差し引かれています。実際には、443万円から20%を差し引いた354万4000円が年間の手取りの収入で、この金額を12カ月で割った約30万円が1カ月の手取り収入ということになります。

ここで税金や社会保険料の使い道についても簡単に説明すると、社会の仕組みも学べます。

税金は、ざっくり言うと、国や都道府県、市区町村に支払うお金のことです。税金は、救急車の購入やごみの収集、学校の運営など、国民が安心して暮らしていくために必要なものに使われます。

もし税金がなかったら、自分が大けがをしても救急車がなかなか来ない、あるいは来てくれたとしても、ものすごく高いお金を払わなくてはならなくなります。また、ごみの収集が止まってしまったら、街中が悪臭でまん延してしまいます。

社会保険は、ざっくり言うと、自分が病気になったり交通事故に遭遇したり、生きていく上で困ったことが起きたりしたときに、みんなで助け合うためにある保険です。

もし、お父さんやお母さんが病気になって働けなくなったら、お給料がもらえなくて家族が困ってしまいますね。そんなときに、あらかじめ国民から集めたお金で助けてもらうことができます。また、病院に行ったときに支払うお金も社会保険のおかげで安くなっています。

子どもによっては、税金や社会保険料が差し引かれることに対して、ネガティブなイメージを持つと思いますが、税金や社会保険の仕組みを知ることで、税金や社会保険は、自分たちの生活を支えるために必要だということが理解できるようになります。

子どもがどうしても年収を知りたがるときは?

平均年収を伝えても、どうしても親の年収を知りたがる子どももいるでしょう。その場合は、ご自身が働いている業界や職種の平均年収を伝えるのもよいと思います。いろいろな業界や業種の平均年収を調べれば、将来の職業選択に興味を持つきっかけとなるでしょう。例えば、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」では、職種別の年収などを公表しているので、参考になるかと思います。

今回は、子どもに年収を聞かれた場合の答え方について解説しました。もちろん、今回解説した内容は回答例の一つで、「絶対に正解」というわけではありません。子どもとお金について学ぶ上で参考にしていただけたらうれしいです。

日本では、家族間でも「お金のことを話すのは気が引ける、はしたない」という意識が強い印象がありますが、子どもは好奇心旺盛です。日々の生活の中で、さまざまなお金の話を見聞きしては、多くの疑問を持ちます。ゴールデンウイークなど、子どもと一緒に過ごす機会が多いときに、お金について一緒に考えてみてはいかがでしょうか。

ファイナンシャルプランナー、Money&You取締役 高山一恵

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