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【目黒】ホテル雅叙園東京「大正ロマン×百段階段~文豪が誘うノスタルジックの世界~」

  • 2023.4.14

ホテル雅叙園東京では6月11日(日)までの期間限定で館内に有する東京都指定有形文化財「百段階段」にて「大正ロマン×百段階段 ~文豪が誘うノスタルジックの世界~」が開催されています。

出典:リビング東京Web
ホテル雅叙園東京

ホテル雅叙園東京の前身の目黒雅叙園のルーツは、1931年(昭和6年)。庶民や家族連れのお客様が気軽に入れる料亭として創業者・細川力蔵が、東京 芝浦にあった自宅を改築した、純日本式料亭「芝浦雅叙園」です。 創業当時は、日本料理に加えて北京料理をメインとし、お客様に本物の味を提供することにとことんこだわった高級料亭でした。芸術家たちに描かせた壁画や天井画、彫刻などで館内は装飾されており、豪華絢爛な内装で有名です。2017年(平成29年)4月1日に 目黒雅叙園からホテル雅叙園東京へリブランドし、世界に誇るホテルとして新たな歴史を刻んでいます。

出典:リビング東京Web
東京都指定有形文化財「百段階段」
出典:リビング東京Web

1935(昭和10)年に建てられたホテル雅叙園東京で現存する唯一の木造建築です。 「百段階段」とは通称で、ホテル雅叙園東京の前身である目黒雅叙園3号館にあたり、 食事を楽しみ、晴れやかな宴が行われた7部屋を、99段の長い階段廊下が繋いでいます。 階段には厚さ約5cmのケヤキ板が使用されています。 階段で結ばれた各部屋はそれぞれ趣向が異なり、各部屋の天井や欄間には、当時屈指の著名な画家達が創り上げた美の世界が描かれています。2009(平成21)年3月、東京都の有形文化財に指定され、現在は年5~6回企画展が開催されており、一般公開されています。

出典:リビング東京Web
「乙女の本棚」(立東舎)とのコラボレーションで文豪作品を空間展示

今回の企画展では、谷崎潤一郎、太宰治など、文壇を彩った文豪が紡いだ物語を、現代の人気イラストレーターが独自の感性で表現する「乙女の本棚」(立東舎)とのコラボレーションのもと、そのイラスト作品や、物語にまつわるシーンを再現した空間展示となっています。明治から昭和初期に発表された物語6作品をセレクトし、文豪たちが生きた時代を想わせる昭和初期の幻想的な文化財空間を舞台に、作品の世界観が表現されています。

出典:リビング東京Web

ミュージアムショップ

※「乙女の本棚」シリーズ 立東舎によって第30弾まで(2023年3月現在)出版されている人気シリーズです。 文豪の不朽の名作に現代の人気イラストレーター、漫画家が描き下ろし、イラストで挿絵を添えた新感覚 コラボレーションによって、文学作品が新たな魅力とともによみがえります。 「名作は、かわいい。」のコンセプトのもとに紡ぎ出された、小説としても画集としても楽しめる珠玉の一冊です。

出典:リビング東京Web

明治から昭和初期に発表された6作品がセレクトされ、文化財「百段階段」の部屋で物語の世界を、空間展示だけではなく音楽でも演出しています。展示作品の一部を紹介したいと思います。

十畝の間(じっぽのま)萩原 朔太郎+しきみ 「猫町」

萩原 朔太郎の作品「猫町」の物語の前半、道に迷った「私」がたどりつく、繁華な美しい町を再現しています。理髪店や洗濯屋、写真屋、時計屋などがあり、洋風の家が立ち並ぶものの不思議なことにひっそりと静まり返っている町として表される「華やかな かわいらしい町」のイメージの設えになっています。展示されているソファに腰かけて撮影も許可されています。

出典:リビング東京Web

東京都指定有形文化財「百段階段」が完成した年と同じ昭和10(1935)年に『猫町』の作品は発表されました。十畝の間(じっぽのま)は横山大観らと並ぶ近代日本画画壇の大家である荒木 十畝による天井画や黒漆の螺鈿細工の内装にも注目です。

出典:リビング東京Web

萩原 朔太郎作の「猫町」の作品をイメージしたイラストレーターしきみの作品が展示されています。猫の置物も可愛らしいですね。

草丘の間 太宰 治+紗久楽さわ 「葉桜と魔笛」

太宰治の短編小説「葉桜と魔笛」の作品をイメージした展示です。

出典:リビング東京Web

イラストレーター紗久楽さわの作品です。

出典:リビング東京Web

老夫人の35年前の回想を通して、死期の近い妹や、厳格な父との生活が描かれます。 姉である主人公と妹の間にある儚い愛情が、美しくも悲しい作品です。

出典:リビング東京Web

小説の一説にある「桜が散って、このように葉桜のころになれば、私は、きっと思い出します。」をイメージし、会場で一番広く窓がとられ、葉桜の季節には窓外に緑を望むことが出来る部屋が草丘の間です。窓からの景色を眺めると、小説の情景描写がイメージできそうです。

出典:リビング東京Web

音楽の演出もありますので、会場で鑑賞されると小説の内容の臨場感がより感じられると思います。40畳敷きの大広間の礒部草丘作の四季山水画の欄間絵と天井画も見どころの一つです。

頂上の間

室内の天井画は松岡映丘門下の作品です。前室、本間ともに格天井で本間の床柱には黒柿の銘木を使用しています。

出典:リビング東京Web

頂上の間では立東舎の「乙女の本棚」シリーズが紹介されています。第30弾まで(2023年3月現在)出版されている人気シリーズです。

出典:リビング東京Web

室内はフォトスポットとして利用できます。ノスタルジックな雰囲気の写真が撮れそうですね。

出典:リビング東京Web
PATISSERIE「栞杏1928」

ホテル雅叙園東京 1階ではホテルオリジナルのスイーツが販売されています。 店名の「栞杏」(りあん)は、フランス語で「つなぐ」「絆」を意味する“Lien(リアン)”に由来しています。

出典:リビング東京Web

パウンドケーキ、クッキー、マドレーヌなどの焼き菓子セットの詰め合わせです。 箱の蓋の裏側にはホテル雅叙園東京内に実在する日本画が描かれており、お洒落なデザインになっています。

出典:リビング東京Web

焼き菓子のサイズが程よく上品な甘さです。自宅用でもギフト用にも丁度良いサイズです。

「大正ロマン×百段階段~文豪が誘うノスタルジックの世界~」展は、明治から大正~昭和初期の時代に生まれた優れた文学作品と文化財「百段階段」の室内で空間展示を鑑賞している時間は、文学作品の世界に没入したような気分になりました。

展示室の衣裳は松竹衣裳株式会社が出展しています。歌舞伎や舞台演劇、オペラ、ミュージカルなど、幅広い舞台衣裳の分野を担っており、今回の展示でも各文学作品の登場人物をイメージし、コーディネートされていますので、展示室内装飾と共に大変見応えがありました。 立体展示の衣裳、内装の設え、音楽、イラストレーターの展示を鑑賞している間は時空を超えたノスタルジックな世界に浸り、贅沢な時間を過ごすことができました。

明治から昭和にかけての文豪の作品を、新しい鑑賞スタイルで非日常として体感できる素敵な展覧会ですので、是非会場に足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

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