【第32回】蛙化現象の治し方を知りたい！辛酸なめ子さんが解決【美人からの生相談】

漫画家・コラムニストとして大活躍中の辛酸なめ子さんのWEB限定連載！ 美人たちから寄せられたリアルなお悩みに独自の視点でお答えします。→ 第31回もチェック♡

【第32回】

蛙化現象に悩んでいます

「好きな人がいても、彼が私に好意を持っていることを知ると、相手のことを気持ち悪く感じてしまって…冷めてしまうんです。蛙化現象の治し方があれば知りたいです」（れいな・会社員・28歳）

辛酸なめ子さんのアンサー

「蛙化現象」を取り上げるのは2回目ですが、最近は、すぐ「蛙化」してしまう女性が多いそうです。テレビでも拝見しましたが、若い女性が「彼がフードコートでトレーを持ってキョロキョロしてるのを見ると蛙化しちゃう」「駅でチャージ不足になっていて蛙化」「小銭を探す姿を見て蛙化」「カラオケマイクの持ち方を見て蛙化」などと、カジュアルに使っていました。もともとの、好きになった男性に好意を持たれたら、相手が王子様から蛙に戻ってしまったように気持ちが冷める、という定義が変化し、些細な言動で幻滅する、という意味でも使われているようです。とくに、心の中で美化していた相手の、人間的な部分や、器の小さい部分を見ると「蛙化」してしまいます。

しかしそれを言ったら、「蛙化」しない男性なんていないのでは？と思えてきます。多分、世界で最も「蛙化」しないのは大谷翔平です。才能やルックス、スタイル、人格、財力、運、全て兼ね備えて謙虚でフレンドリーで、情熱的で男らしく、ジョークのセンスもある……。ついには教科書にも取り上げられるほどに。過去生は神だったのでは？と思うくらいです。大谷翔平が日本男児の星として奉られるようになってから、相対的に、身近な男性がショボく見えてすぐ「蛙化」してしまう、という副作用もありそうです。「蛙化」した男性には緊張しないので気がラク、という利点もありますが……。

でも、「蛙化」してしまうのは、きっとお互い様。相手が優しいから言っていないだけで、女性側も内心、幻滅されていそうです。テレビで識者が、「蛙化現象」の理由の一つは、人間関係の流動化にあるのでは？と見解を示していました。SNSなどですぐ人と知り合えるので、「蛙化」したらまた別の人にいけば良い、という若者のノリがあるようです。でも、それだといずれ消耗してしまうので、長く相手と関係を続けるには、「蛙化」と「王子化」を繰り返すのが良いと思います。昨日は、靴下に穴が開いていて「蛙化」したけれど、今日は飲み物をおごってくれたから「王子化」、というように……。「蛙化」と「王子化」を繰り返すことで、相手への理解度が深まり、欠点もかわいく思えてくることでしょう。