1. トップ
  2. お仕事
  3. フランスで急増する女性管理職の離職。その理由と企業が変わるべき理由とは?

フランスで急増する女性管理職の離職。その理由と企業が変わるべき理由とは?

  • 2023.4.11

男性よりも低い給料、昇格の機会の少なさ、フレキシビリティの無さ、家事の実質的・精神的な負担の大きさ……仕事で疲弊し、家庭ではプレッシャーが重くのしかかるいま、女性管理職の離職が急増している。フランスの「マダム・フィガロ」のリポート。

“大いなる決裂”——マッキンゼー・アンド・カンパニーとリーン・イン.org(女性の社会進出を支援するため、Facebook元COOのシェリル・サンドバーグが設立した財団)が発表したレポートWomen in the Workplace 2022は、女性トップマネージャーの高い離職率をこう名付けた。

このレポートは総計社員数が1200万にのぼる333の企業と、アメリカとカナダで働く4万人の会社員に送ったアンケートから得た情報に基づくもので、その結果は歴然としたものだった。

トップマネージャーの地位に昇格した女性が大量に退職している。女性が1人昇進するごとに、2人が辞めていく。執行委員レベルにおいて女性は4人に1人しかおらず、マイノリティ出身の女性の場合は20人に1人だ。

もちろん、この格差は管理職になる前の段階から存在していて、管理職に昇格する100人の男性に対して、女性は87人、マイノリティの女性の場合は82人だ。しかし、女性管理職の数字が低いのは、女性の場合、一旦昇格したら、何があろうとその地位にしがみつく気持ちが薄いということにも起因する。「女性は仕事に対する期待が大きく、その期待を満たしてくれる仕事があるなら、いまの会社を退社することを厭わない。その結果、いままでにないほど多くの女性が転職しています」

仕事は男性よりも多く、報酬は少ない。

離職する直接の原因も探ってみよう。女性は常にプレッシャーにさらされていて、しかもそのプレッシャーは男性より大きく、その結果疲弊してしまったからだとリポートは指摘する。女性は男性よりも成果を出さなければ地位を確保できない。また、女性は実際より低い地位にあると間違われやすいし、同僚にアイデアを横取りされることも多い。自分の決断が正しく明瞭であること、確実な能力を持っていることを常に主張していなければならない。

女性はチームのウェルビーイングや多様性、平等のためにより多くの時間とエネルギーを注ぐにも関わらず、それに対しての対価を得ることがない。40%の女性が、自身のパフォーマンスの評価にそれらがカウントされなかったという。

一方で回答した企業のほとんどは、パンデミック以降、管理職の業務はテレワークで複雑になっただけでなく、チームのウェルビーイングを保つために多大な努力が必要になったと明かしている。しかし、この新たな状況に対応するための研修は受けない場合が多かった。結果、43%の女性管理職が極度の疲労を感じている。これに対し、同レベルの男性のバーンアウト率は31%だ。

より多くの柔軟性が急務。

社風も争点の一つになる。女性管理職はウェルビーイングや多様性、包括性を考慮してくれることを雇い主に求めている。この欠如が原因で退職した女性は男性の1.5倍となる。

そして、働き方に関しても彼女はより多くの柔軟性を求めている。その一つがテレワークだ。仕事を選ぶ際、テレワークが3大基準の一つとなると答えた男性管理職が34%であるのに対し、女性の場合は49%だった。

「女性は従業員をサポートし、受け入れ幅の広い職場へと移っています。それは次世代、特に若い女性が求めているものであり、当然のこととして期待もしています」とリポートは伝えている。果たして企業側はそれに応える用意ができているだろうか。

元記事で読む
の記事をもっとみる