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2023年本屋大賞で「発掘」! 40年前の「和製シンデレラストーリー」

  • 2023.4.9

2023年4月5日、2023年本屋大賞『発掘部門』の投票結果が公式サイトにて発表された。

『発掘部門』には、ジャンルを問わず、2021年11月30日以前に刊行された作品のなかで、時代を超えて残る本や、今読み返しても面白いと思う本がエントリーされる。さらにその中から実行委員会が選出する「超発掘本!」には、田辺聖子さんの古典翻案小説『おちくぼ姫』(KADOKAWA)が選ばれた。

『おちくぼ姫』は、『ジョゼと虎と魚たち』(KADOKAWA)など多くの名作を生み、芥川賞をはじめとする数多の文学賞を受賞した大作家・田辺聖子さんが、千年前に書かれた古典『落窪物語』を現代語訳した王朝版シンデレラ物語。

推薦者の書店員・高橋あづささんは「改めて読み返してみると、今流行りの和製シンデレラストーリーではないですか」、「文章が全く色褪せていない。これぞ名作だと言える作品」と絶賛している。

「古典というと、わたしたちは読みにくく、取りつきにくい気がしますが、この『落窪物語』はわりあい読みやすい、おもしろい物語です。(中略)そのおもしろさを、わたしの筆がうまくお伝えできるといいのですが――。さあ、ではご案内しましょう。千年むかしの、シンデレラ物語の世界へ――。」(『おちくぼ姫』「はじめに」より)

◆あらすじ
高貴な生まれにもかかわらず、意地わるな継母に縫い物ばかりさせられている貴族の姫君。落ちくぼんだ部屋にひとりぼっちで暮らす彼女は、邸の者からも「おちくぼ」と呼ばれていた......。そんなある日、都でも評判の貴公子が姫君の噂を聞きつけて求婚を! 熱心な貴公子に姫君の心も動かされるものの、さまざまな問題がたちはだかる。はたして二人の恋の行方は......? 若い読者のために現代訳された、田辺流「王朝版シンデレラ」!

■田辺聖子さんプロフィール
たなべ・せいこ/1928年、大阪生まれ。樟蔭女専国文科卒。64年『感傷旅行』で芥川賞、87年『花衣ぬぐやまつわる......』で女流文学賞、93年『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞、94年菊池寛賞、98年『道頓堀の雨に別れて以来なり』で泉鏡花文学賞を受賞。2000年文化功労者に。主な著書に『ジョゼと虎と魚たち』『ゆめはるか吉屋信子――秋灯机の上の幾山河』『むかし・あけぼの』『田辺聖子の小倉百人一首』他多数。08年には文化勲章を受賞。19年、91歳で永眠。

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