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スパイスほどよく、日本人の口に合うクブリのネオ・レバノン料理。

  • 2023.4.9
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11区、地下鉄8番線La Fille de Calvaire駅の2番出口から、徒歩1分もせずに到着する場所にオープンした「Kubri(クブリ)」。ネオ・レバノン料理の店とうたっているこの店、いちど味わうと癖になりそうなおいしい料理が待っている。

左: 名所「Cirque d’Hiver(シルク・ディヴェール)」の右手。地下鉄駅の近くという立地なので、ディナーが長引いても安心だ。右: エントランスのテラス席。陽気が良い季節、ここでカクテルとメッツェの軽い夕食もよさそう。photos:(左)Mariko Omura、(右)Yvan Moreau

シェフはなかなかおもしろい経歴の持ち主だ。6年間富士山麓の小さな村で暮らした経験を持つリタ・ヒギンズで、彼女はブログでレバノン料理を日本人に向けて紹介。これが人気となって、日本人向けに料理のアトリエを開催したり、ケータリングもしていたという。2015年にパリのコルドン・ブルー校で料理を学び、星付きレストラン「Taillevent(タイユヴァン)」で修行をした後、日本に戻ってリオネル・ベカのレストラン、エスキスで働いた。レバノンに戻った彼女はベイルートのレストラン「Baron」でシェフを務めるのだ。自身のルーツであるレバノン料理に加え、フランス料理も日本料理もマスターしている彼女。2021年にフランスに戻った時に、彼女のようなシェフをまさしく探していたというシュラウィ姉妹に出会うのである。これがネオ・レバノン料理を提案するクブリの始まりである。

左: シェフのリタ・ヒギンズ。右: レバノン料理に欠かせないフムス。写真は「Kubriフムス」(9ユーロ)。スパイスのザータルとオリーブオイルがたっぷり。ピタパンとワインがすすむ!photos:Laurent Ponce

クブリのメニューはフムス3種、メッツェ8種、メイン(タバック)3種、デザート3種という構成。あれこれ味わって食事を楽しめる店なので、ランチタイムでも仲間が集ってテーブルに小皿料理を複数並べてわいわいと。もちろんふたりでもメッツェの喜びは十分に堪能できる。ゴマ、レモン、ハーブ、ヨーグルト、オリーブオイルといったレバノン料理に不可欠な材料に、シェフはさらにクリエイティブなひねりをプラスし、クブリだけのおいしいオリジナル料理がメニューに並ぶというわけである。通常、パリのレストランではランチタイムにお手頃価格のセットメニューを提案するのだが、クブリは昼も夜もアラカルトのみ。というのも、ここにやって来るのはあれこれ食べたいという食いしん坊ばかりなので、オープン当時はあったセットメニューは早々にとりやめたそうだ。デザートまで食べたいと思いながらも、気になるメッツェをいろいろとオーダー……お腹いっぱいになってしまうけど、デザートもクブリでは食べ逃せない。料理の名前はよくわからなくても、食べるとおいしい!という発見が待つレストランである。ここに来る時は、お腹を空かせておくように。

メッツェ。左: 「Halloumi kataif」(9ユーロ)。ハルミチーズのカタイフ衣揚げ。蜂蜜、ザータル、デュカのソースで。中: 「Sujuk en voile」(12ユーロ)。カシュカヴァル・チーズフライとトマトのジャム。右: 「Shish barak」(11ユーロ)。ひよこ豆、ほうれん草のラヴィオリ。このほか、乳飲み子羊のタルタル、エビ、ズッキーニの花なども。photos:(左・右)Mariko Omura、(中)Laurent Ponce

メインは1〜2名用。左: 「チキンのロースト」(25ユーロ)中: 「季節の魚料理」(25ユーロ)右: 5〜6名でシェアできる肉料理(105ユーロ)も。photos:(左)Mariko Omura、(中・右)Laurent Ponce

左: メインの添え野菜から。「カボチャのライス詰め」(7ユーロ)中: こちらは「レンズ豆とフライドライス」(7ユーロ)。添え野菜はけっこうボリュームがある。左: Helo(デザート)は3種あり、どれも9ユーロ。photos:Laurent Ponce

現代的な料理を陽気に楽しんで、というオーナー姉妹の気持ちは、店内のインテリアに見てとれる。ルーシー・ルパージュ=ドゥプルゥとブノワ・ユエンというデュオの建築オフィスMUR.MURが内装を担当した。白い石膏の壁と茶色のつやつやしタイルが作り上げる店内。壁を飾るカラフルでグラフィックな装飾は、スタッフのTシャツの背中にも!

左: MUR.MURが手がけた店内。テーブルの脚が星型なのは、レバノンで伝統的に作業される鋳鉄の仕事を倣ってのこと。中: タイルのベンチ席も。右: 奥のスペースはカウンター席だ。photos:(左・右)Laurent Ponce、(中)Mariko Omura

Kubri108, rue Amelot75011 Paris営)12:00〜14:30、19:00~22:30休)日、月@kubriparis

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