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「世界の半分を怒らせる」押井守の人生相談本、忖度ゼロの面白さ。

  • 2023.4.8

監督・押井守さんの人生相談本『押井守の人生のツボ』が、増補版としてパワーアップして刊行された。ロジカルで実践的な回答にドキッとするものの、面白くて読み進めてしまう。

2023年4月3日『押井守の人生のツボ 2.0』(東京ニュース通信社)が発売された。

人生相談であるものの、押井さんは傷口に塩を塗るかのごとく、刺激的でユーモアたっぷりに回答していく。

「結婚や出世に興味をもたず、マイペースに生きる息子や若者の姿を見ていると、日本がどんどん落ちぶれそうで不安になる」、「韓国ドラマ沼から抜け出せない」、「環境破壊をする人間に、その愚かしさを気づかせたい」といったお悩みにも忖度なしに回答。悩みに効く映画についても紹介していく。

構成・文は映画ライターの渡辺麻紀さんが担当している。本書の発売に際して、『押井守の人生のツボ 2.0』発売記念トークがYouTubeで公開されている。

前回の『押井守の人生のツボ』の発売の際には「あまりに辛辣すぎて人生相談になっていない」「押井さんは質問者に寄り添ってくれない」という声もあったようだ。それに対して「真実を口にすれば世界の半分を怒らせる」と回答する押井さん。忖度のない回答に込められた本心とは...?

また、ライターの渡辺さんは対談の中で「もやもやしていることを的確に言葉にしてくれる」と押井さんのすごさを語る。

質問者に共感する人生相談本も多いが、押井さんは全く異なるようだ。押井さんのファンはもちろん、これまでの価値観を揺さぶられるような体験をしたい方にもおすすめ。

本書の目次は以下の通り。

まえがき

第一章 仕事
たくさんの仕事を抱えてパンクしそうです/理不尽なことばかり言う上司/批評する者の資格とは?/俺の成果を横取りするな!/憎くて憎くて仕方がないヤツがいる/パワハラ、セクハラの線引きは....../すぐに仕事を減らしてもらう同僚にもやもや

第二章 家族
母親が結婚しろとうるさい/弟のことが理解できません/家事は俺がやりたい・妻の目覚まし音がうるさい/子どもに関して夫婦間にギャップがあります/そんなに仕事が大切なの?/実家を手放したくない/"普通"から解放されたい/働かない夫/母との折り合いが悪い/息子の行く末が心配

第三章 友人
金にだらしない友人/女友だちのマウンティングがうざい/妻を寝取られたらどうしよう/友人から捨てられてしまう私/誘うのはいつも私ばかり/?が上手になりたい

第四章 習癖
部屋が片付けられません/すぐポチっと買い物してしまう/人の欠点ばかり見る私/あがり症を治したい/韓国ドラマ沼から抜け出すには?

第五章 社会
作品に罪はないはず/隣に住む人がうるさい/動物を食べることってどう思いますか?/権力をもつと、欲望を隠さなくなるのはどうして?/イヌに洋服を着せる飼い主をどう思いますか?/除菌のCMが多すぎると思うんですけど/ノラネコにエサをやるのはだめですか?/人間はどうしたら、自分たちの愚かしさに気づくのか/同調圧力が苦しい

第六章 人生
人生が長すぎる/将来、映画監督になりたい/まだまだモテたい/別れたほうがいいでしょうか/打ち込めるスポーツに出会いたい!

押井守×渡辺麻紀のあとがき対談

■押井 守さんプロフィール
おしい・まもる/映画監督。1951年生まれ。東京都出身。1977年、竜の子プロダクションに入社。スタジオぴえろを経てフリーに。おもな監督作品に『うる星やつら オンリー・ユー』(83)、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(84)、『機動警察パトレイバー the Movie』(89)、『機動警察パトレイバー2 the Movie』(93)。『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(95)はアメリカ『ビルボード』誌セル・ビデオ部門で売り上げ1位を記録。『イノセンス』(04)はカンヌ国際映画祭コンペティション部門に、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(08)はヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品された。2016年ウィンザー・マッケイ賞を受賞。最新作は、構成・脚本を務めたアニメシリーズ『火狩りの王』(23)。

■渡辺 麻紀さんプロフィール
わたなべ・まき/映画ライター。『TV Bros.WEB』、『S-Fマガジン』、『アニメージュ』などに映画コラム、インタビューなどを寄稿。聞き手・構成・文を担当した本に、押井守監督の『押井守のサブぃカルチャー70年』、『誰も語らなかったジブリを語ろう 増補版』、『押井守のニッポン人って誰だ?』、『シネマの神は細部に宿る』(すべて東京ニュース通信社刊)等があるほか、『ぴあ』アプリでは、連載『押井守の あの映画のアレ、なんだっけ?』の聞き手・執筆を担当している。

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