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スーパーのレジ係と話すだけで十分幸福度は高まる…心理学者が「親しい友人はいなくてもいい」と断言する理由

  • 2023.4.8
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幸せに感じる人間関係を築くにはどうすればよいか。心理学者の内藤誼人さんは「親しく付き合うような強い絆などなくとも、うわべの付き合いからでも、私たちの幸福感は十分に高まることが心理学の研究でわかっています」という――。

※本稿は、内藤誼人『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

人間関係に濃さや深さは関係ない

「上っ面の人間関係ではダメだ」
「人間関係というのは、濃さや、深さが大事なんだ」

もし読者のみなさんがこのように考えているのなら、それは間違いだと申し上げておきましょう。人間関係というものは、うわべの付き合いでも十分なのです。

もちろん、濃密な人間関係を否定するものではありません。ものすごく親密な付き合いができるのなら、そうしてください。

だけど現実問題として、職場の人や、ご近所の人たちと、そんなに濃密な付き合いができるものではありません。

付き合うことの労力やコストを考えれば、どうしてもうわべの付き合いにならざるを得ないのです。

ですから、かりにうわべの付き合いばかりをしているのだとしても、そんなに気にしないことです。それが当たり前なのだと割り切ってしまいましょう。

砂浜に文字
※写真はイメージです
うわべの付き合いで幸せなのか

ちなみに、うわべの付き合いでは、満足が得られないのかというと、そういうこともありません。

カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のギリアン・サンドストロムは、200名を超える大学生に、講義の前と後に、どれくらいクラスの人とおしゃべりするかを記録しておくように伝えました。どんなに短い挨拶でも、おしゃべりしたということでカウントしてかまわないことになっていました。その一方で、「どれくらいしあわせを感じるのか」の記録もつけてもらいました。

その結果、講義の前や後に、ちょっぴりクラスメートとおしゃべりするだけでも、おしゃべりした日には幸福感が高まることがわかりました。

親しく付き合うような強い絆などなくとも、うわべの付き合いからでも、私たちの幸福感は十分に高まるようなのです。

ですから、親しく付き合う友人がいないからといって、嘆く必要はありません。うわべの付き合いでも、それなりにしあわせを感じられているはずなのですから。

「人間関係はうわべで十分」と割り切ると、心がラクになります。

なにしろ、知っている人に出会ったら、「こんにちは~」と挨拶するだけでいいのです。それだけで通りすぎてかまいません。

長く話す必要はありませんし、相手の相談に乗ってあげる必要もありません。たまには世間話をしてもかまいませんが、したくなければそれもしなくていいですよ。

「なんだ、そんなことだけでいいんだ!」と思えば、人間関係もそんなに苦痛にならないものです。

友人はムリに作らなくてもよい

読者のみなさんは、人間関係を思っている以上に複雑に考えているかもしれません。だから、気をつかいすぎて疲れてしまうのではないかと思います。

よくある考え方に「友だち100人できるかな?」というものがあります。たくさんの友だちを作れる人のほうがしあわせになることができ、友だちがいない人は孤独で、みじめな人生を歩まなければならないのだ、と思い込んでしまうのです。

もちろん、この考えは間違いです。

先ほど、人間関係は、うわべの薄っぺらいものでもいいのですよ、というお話をしましたが、もし友人がいないことに悩んでいるのなら、友人をムリに作ろうとしなくてもかまいません。

友人は作らなくともいいので、その辺にいる、ぜんぜん知らない人に話しかけてみてください。

それだけで、友人から得られるのと同程度の喜びや興奮、幸福などを感じることができますから。どういうことか説明しましょう。

ジャンプするシルエット
※写真はイメージです
幸福感と友人の数は関係ない?

シカゴ大学のニコラス・エプレイは、イリノイ州のホームウッド駅を利用している通勤客97名にお願いして実験に参加してもらいました。

エプレイは、通勤中に知らない人に話しかけ、頑張って「近所の人と話をするように」とお願いしました(いきなり話しかけられた相手も、びっくりしたことでしょうね)。

目的地の駅に着いたところでいろいろたずねてみると、知らない人に話しかけても、平均して14.2分とわりと長く話すことができ、とても楽しく会話できたと答え、「しあわせで気持ちがよかった」と答えたのです。

たとえ知らない人とでも、ほんの少し会話ができれば、私たちは思いのほかハッピーな気分になれるんですね。

友人など作らなくとも気にしなくていいですよ、と私がアドバイスするのは、こうした研究が参考になると考えるからなのです。

通りすがりの人との会話でもしあわせな気分になれる

たとえば、犬を散歩している人を見かけたら、「かわいいワンちゃんですね。お名前は何ていうんですか?」と飼い主に声をかけ、名前を教えてもらったら、「またね~、○○ちゃん」と手を振りながら通りすぎるだけでも、ものすごくしあわせな気分になれます。別に知り合いにならなくともいいのです。

スーパーやデパートで買い物をするときには、レジ係の人に、「ここのお惣菜って、本当においしいんですよね」とひと言だけ話しかけます。いきなり話しかけられてビックリする店員さんもいるかもしれませんが、たいていは笑顔を見せて、「ありがとうございます」などと返事をしてくれます。

友人などいなくとも、知らない人と、ちょこちょこと話すようにすれば、それで十分です。別に友人を作ろうとしなくとも、軽いコミュニケーションを意識してぜひあなたもトライをしてみてください。きっといつもと違う気分を感じることができるはずですから。

スーパーで主婦とレジ係
※写真はイメージです
人気者は人気者で大変

人気があることは、もちろん素晴らしいことなのですが、人気者には、人気者ならではの問題があることをご存じでしょうか。

「いろいろな人とお付き合いできて、いいなぁ」とたいていの人は感じていると思うのですが、あまりに多くの人と付き合っていると、精神的にものすごく疲れてしまうのですよ。

人気者は、人気者で大変なのです。

フロリダ大学のジェニファー・ハウエルは、サマースクール・プログラムという、65の大学から参加した学生たちについての調査をおこなっています。

このプログラムでは、知らない人たちとやり取りをする中で、どのようにネットワークが形成されていくのかが調査されたのですが、ネットワークの中心にいる学生、すなわち人気者の学生ほど、主観的にはハッピーになれることがわかりました。ここまでは、「やっぱり」な結果です。

ところが、ハウエルがさらに調べてみると、そういう人は、風邪をひきやすくなり、精神的に疲れるのか、酒量が増えることがわかりました。

決して、いいことばかりではない、ということがわかったのです。

考えてみれば、芸能人やタレントもそうでしょう。

一見ファンや周囲のスタッフにチヤホヤされることは、ものすごくうらやましいように思うのですが、それがずっと続くとけっこううんざりしてくるはずです。

なにせ、みんなにいい顔を見せつづけるのは、かなりの重労働ですから。

人の評価を気にせずマイペースに過ごすことが1番

読者のみなさんも、人気者は人気者で、精神的にも、身体的にも健康を害してしまうということを知っておくといいかもしれません。

内藤誼人『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(明日香出版社)
内藤誼人『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(明日香出版社)

こういう知識があると、「そこまでして、人気者にあこがれる必要もないな」という冷静な判断ができます。

それにまた、いったん人気者になると、今度は、人気を失うことを過剰に恐れるようになるものです。人気を失いたくなくて、他人から頼まれごとをされると、断り切れずにしぶしぶ引き受けてしまう、ということもあるでしょう。

運よく人気者になれるのなら、それはそれでいいかもしれませんが、わざわざムリをしてまで人気者になる必要はありません。

もちろん、人気者をうらやむ必要もないでしょうし、ねたむ気持ちを持つのもやめましょう。

毎日をコツコツとマイペースに、人の評価など気にせずに過ごすのが1番です。

内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者
立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は手品、昆虫採集、ガーデニング。『すごい! モテ方』『すごい! ホメ方』『もっとすごい! ホメ方』(以上、廣済堂出版)、『ビビらない技法』『「人たらし」のブラック心理術』(以上、大和書房)、『裏社会の危険な心理交渉術』『世界最先端の研究が教える すごい心理学』(以上、総合法令出版)など著書は200冊を超え、、近著に『めんどくさい人の取扱説明書』(きずな出版)がある。

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